BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

宮島グラチャンTOPICS 3日目

ドリーム6の明暗

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 本来なら優勝候補になるべきドリーム組の多くが悪戦苦闘している。まず、2日目にして奈落の底に引きずり込まれたのが、ドリーム2号艇→5着の石野貴之だ。その2日目、前半3Rは3着争いの最中に足を滑らせるようにして転覆失格(選手責任-5点)。先行艇の引き波が重なって生じた轍(わだち)のような凹凸にスコンッとハマッた感じの転覆ではあった。この減点でドリームの貯金(6点)を叩いた石野は、続く9Rもまったくレースに参加できないまま大差の5着(井口の転覆があり事実上の最下位)。この時点で予選突破の道はほぼ閉ざされたと言っていいだろう。今日は2・1着と気を吐いた石野ではあったが、昨日の転覆が激痛過ぎたと言うしかない。

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 優先順位トップ=ドリーム戦1号艇をキッチリ逃げきった毒島誠も、その後はよもやの大苦戦を強いられている。昨日はほぼ艇番通りの6・3着。今日も2R4号艇から艇番通りの4着→後半9Rは2号艇から必殺技のスーパーピット離れでインを奪ったものの、2コースに押し出された①太田和美の怒りの?強ツケマイを浴びて5着に沈んだ。
 最大の敗因は、もちろん相棒19号機の劣悪なパワーだろう。この3日間、いちばん水面にボートを下ろしたのは毒島だった。初日は1~9Rのすべての終了後に試運転&足合わせを繰り返したし、昨日の早朝特訓に至っては短時間に4度もピット=水面を往復した。レース後もほぼ皆勤賞。これだけラブコールを発しても、19号機は頑なに背を向け続けたのだろう。去年のグラチャンから8節続いたSG予選突破は途切れる可能性が高いが、この男は明日もつれない相棒にひたむきに話しかけるはず。少しでも己のスキルを上げるために。

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 暗闇と呼ぶほどではないが、平和島クラシックからの飛び石SG戴冠を狙う吉川元浩も煮え切らないレースが続いている。ドリーム4号艇の3着から5162着とほぼほぼ枠番通りの成績で節間6・00。実戦を見る限り、相棒71号もまんま中堅ど真ん中で特長らしきものがまったく見当たらない。明日は5号艇の一発勝負で準優ボーダーを突破する可能性は低くないが、現状の足ではその上のハードルを飛び越えるのは至難の業だと思っている。

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 3人のドリーム戦士が四苦八苦する中、順風満帆に得点を加算しているのがドリーム3号艇→2着の桐生順平だ。この10ポイントに続いて、2日目も4コースから“鬼畜差し”(笑)&イン逃げでさらに20点追加。今日の6Rは6号艇1回乗りという最大の難関だったが、道中の鮮やかなターンテクニックで最低ノルマと呼ぶべき3着をもぎ取っている。ただし、桐生自身が「足は普通」と言い続けているように、機力的には良くて中堅上位レベルか(私の鑑定もB+【出A・直B】)。今節の宮島水面はとんでもないストレート足を持つ鬼たちが何人も跋扈しており、「彼らの破壊力には比べるべくもないほど非力」というのが私の正直な見立てではある。

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 で、その見立てはドリーム組の中で足がかなりシャンとしている瓜生正義、田村隆信を持ってしてもほとんど変わらない。「上には上がいる」というセリフは選手たちの常套句なのだが、今節の「上には上」はマジでヤバすぎる。戦車に竹槍とまでは言わないが、今日の段階で3位(桐生)、5位(瓜生)、14位(田村)、15位(吉川元)の4人が鬼足軍団にどこまで迫れるか。「SGの中のSG」をトップ成績で通過した6戦士と、いざ開幕したらば水面を我がもの顔で暴れまくる鬼足軍団と。3日目にして主役の座が逆転したと感じるのは、おそらく私だけではないだろう。

節イチ決定戦、第一章!!

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 前検日から書き続けてきたが、今日も鬼足軍団について少しだけ触れておこう。↑紆余曲折のドリーム組を尻目に、今節は徳増秀樹45号機、上野真之介72号機、峰竜太50号機の『ハイパー三銃士』がぐんぐん頂点へと駆け上がっている。そして、今日の11Rは①徳増vs③上野というプラチナカードが実現した。「節イチ決定戦・第1ラウンド」と呼んでもいいだろう。
 スタート展示は外の艇が前付けに動いて12456/3。なんと上野が6コース単騎ガマシという超スリリングな隊形になった(このレースも観てみたかったw)が、いざ実戦はそこそこ穏やかな枠なりの1234/56。で、ほぼ横並びでスリットを通過したスロー勢の中から、徳増と上野が出て行く出て行く! その行き足はまったくの五分五分に見えた。結果はコースの利でイン徳増に軍配が上がったが、立場が逆転すればやはり上野が逃げきったはず。

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 2着争いは2マークを的確に捌いた上野がたちまち後続を置き去りにし、接戦となった3着争いも④田村隆信が⑤池田浩二を力強く突き放し、3周目は順位が変わりようもない縦長の展開になっていた。激闘には程遠いシンプルな攻防ではあったが、まさに今節の極端すぎるパワー差がまんま水面に投影されたレースとも言えるだろう。徳増vs上野の着順を除いて。
 やはり、今シリーズの主役は『ハイパー三銃士』だ。
 改めて確信しつつ、最後に誰が天辺に到達するのか、という超難問をぼんやりと考えてみた。もちろん、現時点で正解が出るわけもなし。この3者のパワーは「狂暴なストレート足」という部分で合致している。つまり、イン断然有利なSGでありながら、今節は予選トップや準優・優勝戦の1号艇が文句なしのV候補とは断言できないのだ。さらに、準優や優勝戦のセンター~外枠に不気味に伸びる菊地孝平や前付け必至の深川真二などが配置されれば、ゴジラvsラドンvsモスラ級の熾烈な空中戦になることだろう。

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 前付け多発、まくり乱舞(今日は真之介まくりと丸野一樹2連発!!)などなど、昔ながらの“競艇”の香りが随所に漂う今シリーズ。明日からのV戦線の行方が、いつにも増して楽しみでならない。(photos/チャーリー池上、text/畠山)