ディープすぎる840倍
静水面だった昨日のイン10勝から、強めのホーム向かい風が吹き続けた今日のインコースは７勝５敗とやや苦戦を強いられた。配当的には「インが勝てばほぼ10倍台、インが飛べばほぼ万舟」という極端な１日でもあった。
で、好配当を演出した今日イチの立役者は、間違いなく徳増秀樹だ。前半３Ｒは超変則隊形（1543/62）の４コースから、ただひとりゼロ台突出で一気の絞めまくり。内艇のブロックをギリギリ飛び越えている間に、この攻めにぴったり連動した５コースの⑥原田幸哉が絵に描いたようなマーク差しでズッポリ突き抜けた。まくった徳増が２着に残し、アウトから二の矢で連動した②守屋美穂が３着で３連単⑥③②は節イチの604倍！
ここ半年ほど「センター徳増の自力攻め＝外選手のマーク差し」というシンプルな組み合わせで好配当が頻発しているのだが、これも同一パターン。ただ、1543/62という隊形で⑥幸哉が５コースになると予測するのは至難の業ではあった（この隊形だからこそ、徳増の攻めが破壊力を増した）。「最初からわかっていれば～～！」ってヤツだ。
後半８Ｒは、上記パターンの変則ver.が炸裂した。４カドの徳増が、またしても内３艇を出し抜くトップＳから絞めまくり。が、舳先ひとつで抵抗したカド受けの瓜生正義がグイグイ伸び返し、徳増を制して先まくりでイン松井繁を叩き潰した。
ただ、かなり無理な態勢からの先攻めだったため、瓜生も無傷ではいられない。サイドが掛からず真横に流れている間に、いつの間にやら差しに構えた徳増がバックで鋭く抜け出す。さらに、５コースからこの混戦に乗じて割り差した濱野谷憲吾（＝憲吾スペシャル）が徳増に並びかけ、瞬く間に④＝⑤隊形が出来上がった。３着は１マークで流れた瓜生が巻き返し、３連単④⑤③は237倍。他力決着ではあったが、徳増がシャカリキ攻める姿勢を見せたからこその大波乱。前半の進入隊形が読めたかどうかはともかく、今日は「徳増＝徳増の外」という組み合わせだけで２発トータル840倍の大穴を演出したわけだ。
昨日のイン逃げも含め、この大活躍で１・２・１着＝予選トップに躍り出たディープインパクト徳増。相棒５号機は30％という数字まんまの低調機と見ていたが、例によってこの男の手に渡ると気配が一変する。今節も、まずは昨日あたりからスリット付近の行き足が大幅アップ。で、その後に出足系統が仕上がるかどうかは節によって異なるのだが、今節はそれなりにしっかり手前の反応も来たようだ。どんな調整かはわからんけれど、私はこの激変を「徳増マジック」と密かに思っている。
さてさて、この徳増の不思議なパワーも含めて、２日目を終えての私なりのパワー鑑定を記しておこう。今日は終日安定板が装着されたので、昨日の鑑定をベースに今日の足色をスパイスとして補足したい。
独断パワー評価TOP6
★上田龍星＝A+【出Ａ・行Ｓ】 とにかくスリットから出て行く加速感が強烈で、センター筋なら同体から一撃のまくりも期待できる。出足系統もしっかりしており、多少強引に攻めても舟が返るはず明日の２Ｒ３号艇＆９Ｒ４号艇は絶好の狙い目だ！
★菊地孝平＝A+【出Ａ・行Ｓ】 今日の12Ｒのバックで逃げる毒島を捕えきったストレート足はまさに鬼！ スリットから伸び返す足も半端なかったから、行き足は龍星以上かも。三島の14号機短評「行き足・直線系と軽快で、ゾーン広そうにみえる機」まんまのスピード仕様だ。ワースト級の毒島との対比を加味してA+も、明日の実戦次第ではＳ昇格の準備をしておきたい。いやぁ、参った！
★平高奈菜＝Ａ【出Ｂ・直Ｓ】 直線は期待に恥じないトップ級の15号機なのだが、乗り手が重視する乗り心地や回り足がまったく合っていない。今日はほぼすべてのターンで滑っていたから、正味Ｂすらないだろう。とりあえず、明日の２Ｒまでにある程度の正解を見つけてキッチリ逃げきりたいところ。３号艇・龍星の攻撃を凌ぎきれるか。
★石野貴之＝Ａ【出Ａ・直Ａ】 直前の中間整備がバッチリ当たったのだろう。今年になって下降気味だった56号機がスリット付近で元気いっぱい、さらに道中の追い上げも面白いように効いている。全部の足がいいバランス型で、ことストレートはもっと出せそうな余裕さえ垣間見せている。ＳＧ連覇が可能な相棒だ。
★西島義則＝Ａ【出Ｓ・直Ｂ】 無傷の連勝から６着につまずいたが、足落ちとは無縁のスタート負け。石野と同じく直前の中間整備で、ワースト級の40号機がゾンビの如く蘇生した。現状の出足系統を維持し、スタートも互角以上に戦い続ければ「ＳＧ最年長Ｖ」という快挙もあながち夢物語ではないだろう。たとえ予選18位～ファイナル６号艇でも「イン逃げ」がありえる男なのだから。
★徳増秀樹＝Ａ【出Ｂ・行Ｓ】 前記事参照
この他では、大山千広９号機もストレート足がトップレベル。峰竜太30号機は全部の足がちょいちょいいい感じで上位の一角か。で、Ｗエースの一翼38号機＝松本晶恵も直線系統が強めでＡに指名したいのだが、平高15号機同様に合わせきっていないというか出しきってないというか、出足系統がしゃんとしていないのは残念な限り。安定板が外れてどれだけ息を吹き返すか、平高ともども楽しみにしておきたい。
女子のことを書いたついでに、今日はこんな付録も付けておこう。
付録『レディースメーター』
予選順位 今日の成績 Ｇｽｺｱ【節間】 明日の早見
★５位・大山千広…４号艇４着＆１号艇１着 Ｅ【－１】 ３Ｒ②・12Ｒ⑤
★24位・竹井奈美…１号艇１着！ Ｅ【＋１】 ７Ｒ④
★26位・平山智加…４号艇２着 －２【－２】 ９Ｒ②
★38位・小野生奈…５号艇３着 －２【－１】 １Ｒ③・８Ｒ⑥
★39位・松本晶恵…３号艇６着 ＋３【＋５】 10Ｒ⑥
★43位・平高奈菜…２号艇５着 ＋３【＋２】 ２Ｒ①・11Ｒ⑤
★48位・鎌倉 涼…３号艇４着 ＋１【＋６】 ５Ｒ⑥
★52位・守屋美穂…２号艇３着＆６号艇６着 ＋１【―】 ４Ｒ④
※Ｇｽｺｱは「枠番－着順」のゴルフ的スコア。Ｅは±0のイーブン。
まあ、昨日に続いて「今節は女子がＳＧを獲る大チャンスと思っていたが実際はどうなんだ」という流れを引き継ぐ表で、特に深い意味はありませんです。参考にして欲しいのがゴルフのスコアを真似た「Ｇスコア」で、予選突破の基準としては「４アンダー（－４）」が目途になるはず。現状、その４アンダーを上回っている女子は皆無も、ドリームの点増しがある大山はもちろん、アンダーパーで回っている平山智加や小野生奈あたりはまだまだチャンスがあると見ていいだろう。繰り返しになるが、Ｗエースモーターの松本＆平高はスリーオーバーの大叩きだけに、明日が１日早いガチンコの勝負駆けとなる。（photos/シギー中尾、text/畠山）
