THE勝負駆け①予選トップ争い
東西エースの一騎打ち
V戦線に多大な影響を与える予選トップ争いは、実にシンプルな展開になった。まずは7R、昨日まで2位の石野貴之が登場。3号艇でどこまで得点を伸ばして暫定トップの山崎智也にプレッシャーを与えられるか、という戦いだったが……今日も“新・鉄人28号”は恐るべきパワーを披露した。枠なり3コースから起こしタイミングはちょい遅れめ。少し凹むかも、と見ていたらばスリットまでに伸びる伸びる! キッチリ横一線のスタートに持ち込み、さらに伸びなり超抜パワーでインの井口佳典まで叩き潰した。
で、やや強引なまくりだったため、4カド平本真之のマーク差しを浴びた石野だったが、ここからまた28号機が唸りを挙げる。外からジリジリと差を詰め、2マークで平本を回しての鋭角差し。回った瞬間、ワースト級に苦しむ平本を捉えきっていた。節イチvsワースト級、平本にとって相手が悪すぎた。まくって差して、ド派手なパワー駆けで10点ゲット。この瞬間に石野の2位以内が確定し、あとは11Rの山崎智也を待つばかり。しかも、「5号艇の智也が①着なら智也、それ以外は石野」という激辛の条件を突きつけての相手待ちだ。
雌雄を決する11R、智也は起こしのタイミングを逸してコンマ29のワースト発進。自力で攻めきる展開に持ち込めず、3着争いで競り勝つのがやっとだった。石野、逆転トップ当選。「節イチ級のパワーで予選トップ」といえば2年前の三国オーシャンカップ(逃げ・逃げでV)が鮮明に思い出されるが、今節も同じVロードをひた走ることだろう。パワー、リズム、枠番……優勝すべき要素は揃った。
THE勝負駆け②準優ボーダー争い
そのときが、来た!
ったく、どこまで仲がいいのか、篠崎ブラザース!? 昨日までの成績をいい順に並べると
元志1446
仁志1444
で、元志のドリーム加点を含めて、ふたり揃って5・50。この時点ではともに準優圏外だったわけだが、今日の兄弟ランデブーは見応えたっぷりだった。まずは5R、4コースの弟・仁志が内3艇の叩き合いを尻目にズッポリの差し抜け1着。3連単287倍の主役になると、兄ちゃんも黙ってはいない。続く6R、同じく4コースから、こちらはスリット一撃の締めまくりで圧勝。
「どうだ仁志、俺のほうが派手だろ」
みたいな勝ちっぷりだった。ならば、と今度は9Rの弟(④着条件)だ。5カドから締め気味に内を攻めてのまくり差し。逃げる濱野谷憲吾には届かなかったが、3艇の激しい2着争いから力強く抜け出し、兄より一足先に準優入りを決めた。
続く10Rの兄(同じく④着条件)は……絶体絶命の展開ではあった。2コースからほぼ同体に見えたものの、3コース田中信一郎がすさまじい行き足で元志を飛び越え、ひとまくり。引き波を浴びながらの差しは迫力に乏しいものだったが、持ち味の粘り強いターンワークでしっかりと2着を取り切っていた。兄弟揃って1着2着、予選突破。改めてふたりの予選成績を並べてみよう。
兄112446 最高タイム1分49秒7
弟112444 最高タイム1分49秒6
で、勝率はともに6・67。なんだか瓜二つの双子のような成績だ。
そしてそして……偶然にもこの順位が弟6位、兄7位だったため、準優の直接対決が約束されたのである。枠番はもちろん2、3号艇。明日の12Rで立ちはだかる1号艇は、石野28号!! 「ここは福岡、相手にとって不足なし」の気合でツープラトン攻撃を繰り出すことだろう。パワー的にはかなり劣勢(ふたりの最高タイムは準優組ではワースト1・2位)にも思えるのだが、ピタリ呼吸が合った今節の兄弟ならシンクロ率200%の相加相乗パワーで奇跡のワンツー決着がありえるかも?? 絶対本命vs博多っ子ブラザース。明日の12Rはこれだけでもう、目が離せませんっ!!
もうひとり、予選を突破した“目玉レーサー”と言えば、やはり紅一点の小野生奈か。今日の11Rは、すべてタイトな勝負駆けのSGウイナー5人に対し、6コースからほぼ見せ場さえ作れなかった。さらに、千切れた最後方を走っているだけなのに、ターンで少しバランスを崩したり、ハンドルがしっかり入らなかったり……「完走」を意識しすぎて硬くなっているような印象を受けた。うーーん、明日の10Rはさらなるプレッシャーがかかると思うのだが、地元ファンの歓声を味方に悔いのない全速アタックをぶちかましてもらいたい。
それから、パワー的に石野28号の最大のライバルと目している茅原悠紀29号は、5着2着という煮え切らない着順で予選5位に終わった。昨日「茅原のレースは瞬きさえ厳禁」と煽ったほどの派手なパフォーマンスは見られなかった(すんません!)が、パワーも含めて有力なV候補であることに変わりはない。「SG準優2号艇の茅原」というのも妙に新鮮で、明日の11Rは「6号艇・湯川浩司を入れての3カド攻撃」という戦法も十分にありえるだろう。うーん、準優3個レースに散りばめられた“若手の目玉レーサー”たちがどう戦い、どこまで通用するのか……ウキウキしながら、しかとこの目に焼き付けるとしよう。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)