BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若松オーシャンカップTOPICS 2日目

落ちこぼれモーターの逆襲

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 今節の2連対率ワーストモーター27号機(26・4%=51位タイ)が、吉田拡郎とともに暴れまくっている。昨日のドリーム戦は4コースから道中の混戦を見事に捌いて2着キープ。4号艇での10ポイントは大きなアドバンテージだ。
 今日の27号機の足色もゴキゲンだった。6号艇の3Rはさすがにコースが遠く、道中では最後方に置き去りにされた。が、そこからジリジリ追い上げての3周1マーク、全速の握りマイで一気に原田幸哉、市橋卓士を追い抜いた。この4ポイントも枠と展開を踏まえれば、かなり美味ではあったな。

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 出色は9R。エース16号機を駆る田村隆信がインコースで人気を独占していたが、その大本命を3コースから一撃のまくり差しで粉砕。2コースが毒島誠だっただけに、ツケマイ気味に叩き潰した光景はインパクト満点だった。4・6・3号艇での24点=8・00は、もちろん有力な優勝候補と見ていいだろう。
 ワースト27号機がこの舞台に立てたのは、若松の整備士さんの意地・プライドに拠るところが大きい。去年12月の初下ろしから10%台で低迷し続けていたところ、2月にシリンダケース、5月にクランクシャフト&ギヤケースなど中間整備で続々と大部品を投入。この時点で飛躍的なパワーアップを遂げるとともに、前節の江夏満が151111221②(準V)という成績で2連率も一気に引き上げ、無縁とも思えたSGの舞台に滑り込んだのだ。これで吉田拡郎が優勝なんてことになれば、ちょっと出来過ぎなくらいのシンデレラストーリーではあるな。さながら整備士さんが魔法使いで、交換した部品=カボチャの馬車やガラスの靴ってな感じだろうか(笑)。
 ワースト級と言えば、乗り手の拡郎もやまと学校時代は「落ちこぼれ」として有名だったらしいが……うむ、この話は以前にも書いてきたし、最終日にまた書くことになるかも知れないので、今日のところは控えさせてもらおう。

新・海神の暗躍

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 やはり、この男がやってきた。『2代目ミスターオーシャン』の石野貴之。初代はもちろん松井繁(通算4V)だが、ここ8年で3Vの石野は文句なしの後継者だ。正直、前検の気配はまったく目立たなかったし、石野本人のリズムも一息なので「今年の4Vはお預けだな」などと勝手に思っていたものだ。
 が、初日からひたひたと足音を忍ばせながら、この男はV戦線の上位へと食い込んできた。昨日の7Rは、バック5番手から2マークの最内をくるり回ってしぶとく3着ゲット。さらに11Rは、3コースから的確なまくり差しでイン茅原悠紀の背後に貼りつき、2着確保。どちらも派手なアクションではなかったものの、ふと気づけばしっかりガッチリ貯金を蓄えていた。
 そして、今日の10Rはインから坪井康晴らの追撃を完封し、必要十分条件の10ポイントを加算した。3・2・1着で同期の拡郎と並ぶ8・00(暫定3位)。「あれ、いつの間に?」というあたりも、松井の後継者らしいムードを醸し出している。で、このままランキングの上位を維持できるかどうかは、明日の6号艇次第ではあるな。パワー的には前検が中堅ど真ん中くらいで、今日は中堅上位あたりまで上積みできたかどうか。素性的には大幅な底上げが期待しにくい23号機だけに、明日の外枠はまさに正念場だと思う。ここでもしっかり6点以上のポイントを積み立てることができれば、松井に並ぶ4度目のオーシャン戴冠も現実味を増してくる。

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 やってきた、と言うなら、この男も黙っちゃいない。千両役者の峰竜太。昨日のドリーム戦は2コースから差しが流れて5着大敗。いきなりV戦線から立ち遅れたように見えたが、今日は鮮やかな巻き返し。6Rは4コースから最内をズッポーーーン差し抜けてしまった。今や驚きもしないけれど、あのターンの早さ速さは一体全体どんなことになっているのか、何度見てもよくわからない。で、12Rはインから当たり前のように逃げきって都合20ポイントを加算。あっという間に暫定2位に浮上した峰リューだった。うーーーん。

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 そしてそして、そんな石野、峰を抑えて暫定トップに立ったのは、超抜36号機を駆る魚谷智之!! いやぁ、今日のアレも凄かった。つか、必死に逃げる中島孝平が可哀そうだった、と言うべきか。バック直線、追いすがる齊藤仁と魚谷の舳先を振りほどき、これでなんとか逃げ込めるかと思いきや、2マークは魚谷36号機の差しハンドル一発で置き去りにされてしまった。マイシロがなくて流れた、という見方もできるが、あのド派手な逆転劇はやはりパワー差と言うべきだろう。げに恐るべし、魚谷36号!! 無傷の連勝をどこまで伸ばすつもりなのか。明日は12Rの4号艇で、破竹の4連勝にチャレンジだ。(text/畠山、photos/シギー中尾)