BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――仲間に囲まれ戴冠!

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「水、冷たいだろうな~」
「寒いだろうな~」
「丸野の時は夏だったからよかったけど」
 ピットアウト直前、109期の同期生たち――大上卓人、丸野一樹、島村隆幸が装着場のモニター前で話していた。もう、水神祭があることを疑ってもいないのだ。
 ピットアウトし、待機行動中にはスタンドからの声援が聞こえてくる。それに対抗するかのように「永井さ~ん」と……大上が叫んだ(笑)。1マーク、福田宗平が意表のツケマイを放った瞬間、109期勢はいっせいに「よっしゃっ!」と声をあげた。彼らはそのツケマイが届かないと見切ったようだったし、つまりそれが同期の優勝を確実にした瞬間だと悟ったようだった。

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 永井彪也、ヤングダービー制覇!
 同期たちの確信に応えるように、永井はきっちりと逃げ切ってみせた。ピットに凱旋するヒーローを同期たちはバンザイで出迎え、永井は仲間たちに向かって諸手をあげてガッツポーズ! そこには幸せの交歓がたしかにあった。
 ただ、勝利者インタビューなどの一通りの行事が終わった後の永井は、静かな雰囲気に見えていた。モーター返納を終えた豊田健士郎が祝福に駆けつけても、手をあげて「ごめんな」と予選や一般戦の後の勝者のような雰囲気で応えている。

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 また、その様子がなんともイケメンなんだ、これが。これで永井彪也の名前は全国区となり、SGやボートレースバトルチャンピオントーナメントなどのビッグレースにも登場する。来年の地元平和島クラシックの権利もゲットした。このグッドルッキングスターが多くの人の目に触れるのは、ボート界にとっても幸せなことだろう。SGは一昨年のメモリアルに出ているが、未勝利に終わっている。次のSGには(チャレンジカップも勝負駆け圏に入ってきた!)まず水神祭をあげ、そしておおいに目立ってほしい。

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 敗者は、若者らしくというのかどうなのか、それぞれに悔しさをあらわにする瞬間があった。5コースと6コースの宮之原輝紀と今泉友吾は、1マークで内から張られる格好となり、思うようなハンドルが切れていない。これは消化不良だろう。宮之原はすぐにリプレイに見入り、1マークを見届けるとその場を立ち去っている。

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 2着となった豊田健士郎も、やはりリプレイに見入った。結局、GⅠ初1着と初優勝のダブル水神祭はお預け。リプレイのなかに勝ち筋は見つけられただろうか。

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 福田宗平は、先輩たち――上條嘉嗣や木下翔太らに話しかけられ、たびたび顔をしかめていた。意表のツケマイは健闘の部類に入ると思うが、それでは納得していない風情。やはりボートレーサーは、勝たなければ芯から納得はできないものだ。

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 村岡賢人は「ボートレースは難しい」と口にしている。3カドに引いたということは、攻める腹積もりだっただろう。しかし、2コースの福田に先に攻められ、やや差し遅れた格好となっている。福田の強攻は永井よりも村岡のほうに対して「意表の」攻めとなったのかもしれない。

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 永井は、会見で師匠・中野次郎への思いも語っている。現在、賞金ランクで中野が24位、永井が36位。一緒にチャレンジカップに行ける可能性が出てきた! 中野も新鋭王座を勝ち、永井はその後継といえるヤングダービーを制覇。今後はヤングチャンプ師弟として、SGを席巻したいところだ。

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 というわけで、GⅠ初制覇だからもちろん水神祭! 参加したのはもちろん東京支部と、109期の同期勢だ。ウルトラマンスタイルで永井は投げ込まれたが、次々と仲間たちも水面に飛び込んでいくものだから、もう何が何だか(笑)。東京支部は佐藤隆太郎だけは陸に残ったが、それ以外は全員がドボン。佐藤は陸で甲斐甲斐しくお世話をしてました。

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 寒いだろうな~、なんて言ってた大上は、陸に上がるや、「最高! 気持ちいい!」。次は君の番だ! 陸に上がった永井は、同期たちとがっちりハグ! おおいに幸せを分かち合っていた。

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 永井彪也、おめでとう! まずは残り1カ月、少しでも賞金を稼いで、次郎とのチャレンジカップ揃い踏みを!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)