BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

トライアルが始まる!

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 クライマックス組が合流して、ピットの雰囲気は重厚になっている。今年のレディース戦線を牽引してきたトップレディースの存在感は大きいということか。今日は要するに前検日ということになるが、通常の前検と違うのは、スタート練習&タイム測定までの時間が長いこと。通常はデイ開催なら14時頃から始まるものが、今日は11R発売中に明日の11R組、12R発売中に明日の12R組。すなわち、ふだんの前検日より調整の時間がたっぷりあるわけだ。ということで、ほとんどのクライマックス組がプロペラ調整に励んだ。モーターを受け取った状態のまま試運転やスタート練習、タイム測定に臨む選手もまあまあいるのが普通だが、今日は日高逸子や寺田千恵があまり叩いていないくらいか。

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 なかでも、大山千広はかなりハードヒットで、完全に叩き直していた様子。大山の引いた71号機は2連対率の数字こそダントツだが、ほとんどA級が乗ってきたモーターだけに、数字ほどのパワーはないようだ。大山は会見で「全体的に分が悪い」と言っており、本体整備もあるかも。心なしか不機嫌なようにも見えたのは、こちらの先入観か?

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 大山以外で感触が悪いと口にしたのは、平高奈菜、今井美亜。二人の会見での様子は対照的で、平高はわりとサバサバしていたのに対して、今井は表情にも口調にも冴えがなかった。平高は「優勝しますとさんざん言ってきたけど、ちょっと厳しいかな(笑)」と軽口を飛ばしたりもしたのだが、今井は「不安です」と小さな声。いずれにしても、二人とも本体整備があるかもしれない。

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 やはりいまひとつ感触が悪かったようなのは松本晶恵だが、こちらはプロペラを叩き直してやや良化したようだ。ただ、松本も「必要なら本体」とも言っていて、パワーアップは必須と言える。

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 一方、評判機74号機を“残り福”で引いた香川素子は、チルトを上げて走って、伸びが良さそうとのこと。明日もチルト0度で走るかどうかは、また明日乗ってみて考えるということだが、本体のパワーは評判通りと考えていいだろう。6号艇はさすがに遠いかもしれないが、軽視は禁物か。

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 その香川に分が悪かったと言いながら、「エンジンの力強さは感じた」というのが小野生奈。小野の24号機も評判機のひとつだ。今日はやはりプロペラ調整を熱心にやっていたが、「回りすぎている」とのことで、これを今日のうちには合わせ切れなかったようである。それが分の悪さの原因だとするなら、明日の気候に合わせてきっちり調整してくるはずだ。今日もそうだったのだが、調整所と係留所を全力で駆ける小野を明日も見られるだろう。

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 長嶋万記は、モーター39号機、ボート39番艇を引いた。今節は感謝の気持ちをしっかり持って、をひとつのテーマと考えていたら、引いたのがサンキューサンキューだった、と言って笑ってました。抽選11番目の長嶋の順番でもまだ残っていた74号機を引くよりうれしかった、とも。マジか(笑)。ただ、これも評判機のひとつ。11月のオールレディースで佐々木裕美が優勝したモーターだ。そして、その佐々木が今節はピットにいるのである。さっそく佐々木といろいろ話したようで(ゲージも見せてもらったとか)、アドバイスをもらえるのはアドバンテージになるかも。優勝したら佐々木にもサンキューサンキューですな。

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 あと、気になるのは寺田千恵。引いた61号機は12基のなかでは低評価だったのだが、1節前にスリーブ交換があり、プロペラもまっさらの新ペラ。これで乗ったら行き足から伸びが良かったというのである。「前のプロペラの形がわからない」と調整の方向性を模索しているようだが、その前の形ではいまひとつと評されていたわけだから、わからない=自分の感覚で一から叩けるほうが利は大きいのではないか。あちこちで機評価を目にしている方もいるかもしれないが、テラッチに関してはそのまま受け取らないほうがいいかもしれない。

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 岡山勢のあとふたり、守屋美穂と田口節子は、守屋が「回転はしっかり上がっている」、田口は「行き足は悪くない」。守屋がやや神妙に見えたのが気にはなったが、調整の方向性は二人ともある程度は見えている様子だ。福島陽子や堀之内紀代子ら、すでに仲間がシリーズを走っているのも、岡山勢にとっては強みになるはずで、今節は岡山旋風があるかも(かなり気が早いが、2日目終了時点でシリーズ得点率トップは金田幸子だし)。

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 遠藤エミは、徳山登場が約2年半ぶりだとか。まあ、それが大きなビハインドになる選手ではないわけだが。今日の感触は「特徴なく普通」。技量を考えれば普通あれば十分のように思えるのだが、しかし選手が口にする普通はたいてい分が悪い相手がいるときに出る言葉。今日はひたすらプロペラ調整に時間を割いており、明日も調整所で見かけることが多くなるだろう。

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 シリーズ組。8Rが終わって、向井美鈴が整備室のモニターでリプレイに見入っていた。左手を腰に当て、考え込みながらの観戦。見終わった向井は、すぐさまペラ調整に取り掛かっている。レースを走った感覚とリプレイから得た視覚をもとに、叩く箇所が見つかったか。そして12R、向井は5号艇から敢然と前付け! 3コースに潜り込んでいる。残念ながら結果にはつながらなかったが、そのための調整とその姿勢は称えられるべきだろう。地元の意地を見せつけてくれた、気持ちのいい戦いっぷりだった。

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 地元勢では、佐々木裕美が本体整備に取り掛かった。佐々木もなかなか結果が出ないが、地元戦でこのままで終わるわけにはいかない。ここにも地元の気合が見て取れる。
 津田裕絵も懸命なペラ調整が続いており、地元勢はいずれも厳しい戦いを強いられているが、まったく投げていない。いよいよトライアルが始まる明日からも、シリーズ戦を目一杯盛り上げるべく、全力の戦いが続く。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)