BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クラシックTOPICS 4日目

なんだかんだ石野

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 今日は朝から「速報」という形で勝負駆けの流れを伝えてきたので、〆は何人かの選手をピックアップするにとどめたい。まずは、あれよあれよと予選トップの座を掴み取った石野貴之。
 ↑冒頭のタイトルは、かつては王者・松井繁の専売特許だった。「なんだかんだ松井」。銘柄パワーでもないのに、1着も量産しないのに、道中を地味に地道にしっかり捌いて2、3着を並べまくり、ふと気づいてみたら予選1~3位で準優1号艇GET。「なんだかんだ」は王者の強さを形容するフレーズだった。
 今節の石野はまさにそれ。「悪くはないけど」というレベルの68号機に活を入れつつ、前付けしたりスタートを張り込んだり道中で捌いたりで123232着。ド派手なパフォーマンスはほぼ皆無だったが、まるでミスもソツもない4日間6走で52人の頂点まで上り詰めた。一言でいうなら「強い」。
 で、このポジションさえ手に入れてしまえば、あとはドリーム戦のようにしっかりがっちり逃げきり×2という花道ができあがる。正直、今節の石野はパワー的に「盤石の花道」とは思っていないが、パワー不問で軽々と乗り切れる男であることも知っている。そんな安定感抜群の“浪速信用金庫”を真正面からぶち破れる敵は、おそらくアイツしかいないだろう。合言葉は「あの男を呼べ」だな(笑)。

今日のMVP
吉川昭男さん 6R5号艇…2着

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 はい、今日は2コースに潜り込んでまんま2着。一時は先頭に立ったところを抜かれているから、好プレイとして賞賛すべきレースでもない。それでも昨日からの流れで勝手にMVPに指名させていただく。
 後に逆転されたとはいえ、1マークで差した直後の15号機パワーは今日もゴキゲンだった。おそらく乗り味も良いはずで、初動から豪快に差しハンドルを入れた光景が目に焼き付いている。16612着で17位、滑り込み。嬉しい限り。単に「47歳でのSG初準優、おめでとう」とかの思い入れだけでなく、準優6号艇の昭男さん15号機は本気で怖いと思うのだ。前付けで進入隊形をしっかり揺さぶれば、昨日から新たなバランス型モーターとして覚醒した15号機が起こしから火を噴く。かなり手前に持って行ったとしても、伸び型の底力はその体内に潜んでいる。6号艇からただ参加するだけ、などと軽視していたら大きなしっぺ返しを食らう可能性があるとお伝えしておこう。とりあえず、今日のところは昭男さんの執念の成就に乾杯!

今日の敢闘賞
守屋美穂 5R6号艇…3着

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 いやぁ驚いた。5R6号艇でメイチ①着勝負だった守屋美穂が、なんとなんと【チルト1・5度】に挑戦! しかも展示タイムは6秒55という節イチの時計を弾き出した。軽い女子が1・5も履いたら、そら伸びますわ。
 そんでもスタート勘はどうかいな、と見ていたらば、ドッカーーーンのコンマ03!! 重量挙げのインターハイで鍛えたド根性が、まんま水面に投影されたのだ。スリットからにゅっと飛び出した守屋は、上半身を被ったまま小刻みに上下に震動させた。これまた女子選手ではちょいとレアな「しゃくりまくり」。

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「絶対に1着を獲りたい! モニター観戦している皆さん、見ててください!!」
 そんな気持ちが身体に乗り移ったのだろう。今垣光太郎&下出卓矢の師弟ほど派手ではないが、守屋はぷるぷるとしゃくりながら5コースの市橋卓士を飛び越え、チルト1・5の伸びなり絞めまくりだ。この猛攻は、残念ながら4カドから同じく果敢に握った永井彪也とバッティング。体を合わせられてからのまくり差しは威力が半減し、3着に粘るのがやっとだった。
 嗚呼、それにしてもの天晴れなチルト1・5アタック。これは私の勝手な憶測なのだが、このミポリンの英断の陰には同県のとある“クセモノ”の御指南があったのではないか、などと考えている。ムフフフ。

今日の元浩13号機
日々是好日

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 初日あたりは喧嘩していた感のある【ゲンコー×13号機】が、日を追うごとにじわりじわりと邂逅し、ついに高いレベルの完結形に至った。そんな心地よさを実感させてもらった1日だった。レースに関しては、観ればわかるさ。前半4Rは4カドから伸びなり松井繁ら内3艇を粉砕し、最終12レースはインから目の覚めるような伸び返しでセンター勢の猛攻を完封。
 より高く評価したいのは後者の出足~行き足で、準優2号艇まで漕ぎつけた以上はここの部分の足が何よりも重要になってくる。2コースまくりが多い元浩だけに、そうと知っているイン選手にとっては脅威が倍増する2号艇とも言えるだろう。今日に至って「もっと××」とか「本来は××」などという愚痴をこぼすつもりはさらさらない。あとは元浩が相棒の強さを信じて遠慮なく乗ってもらえばそれでいい。結果は自ずとついてくる。そう確信している。(photos/シギー中尾、text/畠山)