ピットが沸いたのは、やはり９Ｒの小池修平だ。初日はイン５勝と、決して内優勢な流れではなかったものの、やはり６コースからの一撃は見る者のテンションを上げる。見事なまくり差しで突き抜けた瞬間、ピットには嘆息の声があがっている。
ピットに戻ってきても、大阪勢が沸き立っていた。小池は微笑みを浮かべる程度も、出迎えた面々がニッコニコだ。小池の魅力といえばダッシュからの一撃、特に４カドからの攻撃力だが、６コースから勝ってしまったら４号艇では人気になっちゃうよなあ……というのはともかく、小池らしい勝ちっぷりに木下翔太ら先輩たちも高揚しているようだった。お見事でした！
インで２着に敗れた新開航も、まいりましたという風情でにこやかに小池と言葉を交わしていた。新開が失敗したというよりは、小池が見事だったというべき一戦だけに、新開としては悔しがるよりも小池を称えるような心持にもなるのであろう。もちろん、苦笑いも浮かんでいたので、１号艇で勝てなかったことへの思いはいろいろあるはず。前半では大敗もしているだけに、明日が大事な一日になりそうだ。
このレースで大敗を喫した豊田健士郎は、焦燥感をあらわにしていた。まさかのロクロク発進になってしまったのだ。もともと数字のないモーターで、中間整備が入っての登場。しかし豊田はまるで手応えを感じられないのか、レース後も急いでプロペラ調整室に向かっている。同支部の松井洪弥に「やばい。かなりやばい」とこぼしていて、明日は大きな整備もあるかも？
厳しいといえば、10Ｒ６着でやはりロクロク発進となってしまった川原祐明も同様だ。レース後には暗鬱な表情を浮かべており、やはりプロペラ調整室に向かって、叩きに入っていた。ちょうど出入口近くで叩いていたのでその様子が見えたのだが、ゲージを当てて叩いて、ゲージを当てて叩いて、を懸命に繰り返す。こちらも明日は重要な一日となる。
その10Ｒを制したのが、上田龍星。こちらは対照的にピンピン発進である。大阪勢の連勝で、やはり木下翔太らはニッコニコ。行動をともしていることが多い井上忠政も嬉しそうに先輩を出迎えていた。
11Ｒを逃げ切った関浩哉も、ピンピン発進。一昨年の覇者が、そのときを彷彿とさせる活躍を見せたわけだ。ＧⅠ初出場だったあのときも、勝っても飄々としていた関だが、あれから２年経っても同様の雰囲気。いや、その後さまざまな経験を経て、表情に力強さが増しているように思える。童顔なのは変わらないけど。２年ぶり、そして唯一のヤンダビ複数回制覇に向けて、視界良好だ。
なお、11Ｒで転覆を喫してしまった上條暢嵩は自力でレスキューを降り、歩いて控室へと戻っている。明日は１号艇、選手責任のため食らった減点を少しでも取り戻したいところ。
今日も、若者がおっさんに声をかけてくれました。10Ｒ２着の中田達也だ。ただし、「黒須田さーん、助けてくださいよ～」だって。その前に、出足が皆目という情報を聞いていたので、それを投げかけたら、うなずく中田。助けてって、俺にペラ叩けと？……って叩けるかい！ 助けられるとしたら、励ますくらいしかできません。すると中田、「これじゃあ勢人に行くこともできませんよ～」。「勢人」とは北九州にある居酒屋さんで、西山貴浩の行きつけ。ここが実にゴキゲンな酒場で、中田も、そして私も馴染みのお店なのだ。ダハハハー。なんか、中田と顔を合わせるといつも酒の話になるんだよなー。足は厳しいが、今日は５着２着とそれなりにしのいだ。調整で足を上向かせて、まだ達成していない水神祭も果たして、今節が終わったら勢人で美味しい酒と魚を楽しんでね。（黒須田）
