BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――電光石火

 今年のダービーは、吉田裕平のSG初陣ウィンで開幕! 地元でSG初出場を迎えた吉田は、これも地元の期待のあらわれだろう、初日1R1号艇に組まれた。今日は開会式で選手宣誓も務めた吉田、この10月24日の朝というか昼下がりというか、とにかく非常に緊張感高まる時間を送ったことだろう。宣誓はつつがなく終え、そしてその直後にレースでも逃げ切り! 吉田にとって実に思い出深い日となったわけである。大役を最高の形で乗り切って、レース後はさすがにスッキリとした表情を見せていたぞ。水神祭は別記事で!

 それにしても、SG組は……そう言い切っていいのかどうかはなんとも、であるが、動きが素早いことには感心させられるわけである。もちろん、中3レースと時間がなかったからという部分は大きいのだが、山崎郡はいったん控室へと姿を消して、ものの1分ほどでふたたびピットに姿をあらわしたのである。一息つく間もなく、という言葉どおりの動きだった。まさに電光石火!

 こちらは中4レース、笠原亮もあっという間にピットへと舞い戻っている。それも、下半身は乗艇着を脱いだ状態! いや、不謹慎な姿で出てきたわけではないですよ。選手たちは乗艇ズボンの下に、切創事故防止のケブラーズボンを履いている。さらにその下にスパッツを履いている選手も。つまり笠原は、ケブラーズボン姿でピットに戻ってきたというわけだ。しかも、そのままボートをリフトへと運んで着水までしてしまった。わずかな時間も惜しんで、というそのきびきびとした動きが、SGレーサーらしいなと思うわけである、

 2走目は11Rと時間がたっぷりあるはずの吉川元浩がピットに戻ってくるのも早かった。吉川の場合は本体整備。ピットにあらわれると自艇のもとに向かい、そのままボートごと整備室へと運び込んだのだ。これもまた1秒でも無駄にすることなく、といった姿勢であるわけだが、控室で少し休憩したところで残された時間は長いというのに、吉川は一刻も早く相棒と“会話”したかったということである。すでに51歳となった吉川、その動きだけ見ているとまだまだ30代で通用しそうだ。

 2Rは菊地孝平がまくり差しで勝利。4カドから関浩哉の先まくりを冷静に突いた格好だ。ピットに戻ってヘルメットを脱ぐと、おっ、おおっ、これはアイブラックというやつ? 野球選手がデーゲームのときに目の下を黒く塗るアレだ。そう、蒲郡は1マーク方面が西にあたり、この季節は3時から日没まではスタート時など、もろに西日が正面に来るわけである。昨日、選手入りの取材を終えてピットからスタンドの記者席に向かう際、その眩しさは実感させられた。これはスタートが大変だなあ、1マークの旋回も初動の位置は大丈夫だろうか、なんて想像していたら、菊地のアイブラックである。まあ、これが勝因とは言わないけれども、蒲郡水面を知り尽くした菊地の準備勝ちということにはなるだろうか。まあ、愛車でレース場入りはできないということは知らなかった菊地だけど(笑)。それにしても、これでレースに出る選手、初めて見たなあ。

 吉田につづいて1号艇から水神祭を狙った高橋竜矢は、深川真二の前付けがあって深めの起こしとなり、関のまくり、菊地のまくり差しを浴びて大敗となってしまった。先輩の前付けに怯まない決意で臨んだSG初陣だったが、残念無念。レース後はやや顔をひきつらせているのだった。悔しさはあろうが、水神祭は1号艇でやるものとは決まっていない。あと5日、別の枠番で勝って穴をあけつつのデビュー初勝利に期待しよう。頑張れ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)