BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

嵐を呼ぶパワー

9R 並び順
①馬場貴也(滋賀)21
⑥西島義則(広島)09
②菊地孝平(静岡)05
③上田龍星(大阪)07
④徳増秀樹(静岡)11
⑤秋山直之(群馬)21

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 文句なしの大激闘! 待機行動は西島のオラオラ前付けを菊地が容認し、大方の想定通りの16・2/345。ただ、露骨に抵抗する艇がなかったため、馬場と西島もたっぷり100mを残す穏やかめな最終隊形となった。

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 嗚呼、それでもやっぱり菊地14号機の行き足は半端ない。スリットほぼ同体に見えた西島を1マークまでに軽々と飛び越え、インで凹んでしまった馬場まで伸びなり叩いて一丁上がり。これでファイナル突破の第一号が決まったのだが、焦点の2着争いがまさに大混戦。

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 菊地に連動して差した龍星が前の渋滞に手こずっている間に、5コース徳増がさらに最内をスコンと差し抜けて2番手浮上。瞬く間に静岡コンビのワンツー隊形になったのだが、SG準優の2着争いに安全圏はない。外から龍星が追いすがり、2マークは徳増×龍星の握り合いに乗じて秋山が逆転の2番手浮上。

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 続く2周1マークは徳増が逆転返り咲きの激差し一発~2周2マークは徳増に再び龍星が絡んだところ(ハンドル切り直し後の接触で不良航法><)、秋山が『伝家の宝刀・外から外への全速ぶん回しターン』で再々逆転の2番手を奪い、そのままファイナルのチケットをもぎ取った。明日も外枠を余儀なくされる秋山だが、今節は何度もお家芸の全速ぶん回しで着を押し上げており、穴党にとっては美味しいダークホースになる可能性もある。
 悠々と勝ち抜けした菊地14号機は、もはや疑うべき余地がない節イチ級。私が唯一Sランクに指名したそのパワーは、もちろん明日も脅威中の脅威とお伝えしておく。

ホワイトシャークの底力

10R 並び順
①白井英治(山口)    06
②興津 藍(徳島)    11
③佐藤 翼(埼玉)    11
⑥原田幸哉(長崎)    14
④濱野谷憲吾(東京)11
⑤上野真之介(佐賀)12

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 特訓ではアウト6コースを選択した幸哉が、スタート展示からゴリゴリ動いてこちらの待機行動も不穏な空気に。これで私が勝手に理想としていた126/345になれば波乱の余地も多かったのだが、ストレートに決め手ある翼がダッシュよりコースの利を選択して1236/45に。

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 代わって5カドの憲吾が鋭いスタートから自力で攻める姿勢を見せたが、1マークまでの伸び足がやや足りない。センター付近ですったもんだの間に3コースの翼が先に握って攻める展開となり、白井が逃げて翼がまくっての①-③隊形が出来上がった。
 準優の2着争いだけに、後方から幸哉&憲吾のベテラン勢があれこれ嫌味なターンで紛れを求めたが、翼が冷静沈着なターンでそれらを完封。過去にビッグの賞典レースで何度か失敗した経験が、大器の翼をひと回り大きくしたのかも知れない。

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 白井10号機は、出足主体にバリバリの中堅上位ど真ん中=B+【出A・直B】でそれ以上でもそれ以下でもないと思っている。選手的には、いつもこの程度の機力で記念戦線の準優~優勝戦を賑わせており、好枠を含めて十分に勝ち負けできるレベルとも言えるだろう。菊地14号機の超抜パワーを止めきれるかどうかはともかく……。

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 2着の翼には何気に力強いストレート足を評価しているのだが、現状は菊地14号機には遠く及ばない。明日になって伸び足がアップする可能性もあるけれど、基本的な戦略としては「菊地の自力攻めを見据えつつ、外から展開を突いて抜け出す」という方針で臨むことになりそうだ。リズムのいい秋山同様、菊地が徹底的に攻めてくれればそんな理想的な展開も十分にありえるだろう。

最後のラスボスは……?

11R
①峰 竜太(佐賀)
②西山貴浩(福岡)
③瓜生正義(福岡)
④桐生順平(埼玉)
⑤松井 繁(大阪)
⑥深川真二(佐賀)

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 外枠の松井、深川がオラオラ動いたが内の4艇もまったく譲らず、最終隊形はほぼ横一線の枠なりオールスロー。こうなると、外からの攻撃は緩和される。100mを切る起こしから、6艇が横並びのままきれいにスリットを通過し、その時点で峰のファイナル1号艇がほぼ約束されたと言っていいだろう。いつも通りの異次元の光速インモンキーを繰り出し、ターン出口で後続を一気に3艇身ほど突き放した。

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 2着争いもさほどの混戦にはならず、4コースからシャープに差した桐生がするするとバック二番手浮上。このレースではパワー上位の松井がしぶとく食い下がったが、常に2艇身ほどのアドバンテージを保ったまま桐生が最後のファイナルチケットを入手した。さすがの好腕、今節の桐生はソツなくしっかり捌いて得点を上積みし、この大一番でもまったく同じように慌てず騒がず必要十分条件のノルマをクリアした。

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 峰30号機に対する私の評価は、「行き足を主体にバランスの取れた中堅上位」で一貫している。そこに艇界随一のスピードetcが加味されて、予選トップ~ファイナル1号艇を力ずくでもぎ取った。白井もそうだが、このレベルの機力さえあればイン逃げするに充分な相棒とも思っている。

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 で、こういうときの私は「最後の強敵は己自身」などときれいごとで終わらせるのが常なのだが(笑)、明日に関しては違う表現を使わざるをえない。
 菊地孝平14号機の猛攻を受け止めきるだけの機力と気力(スタート力)を維持できるか。
 明日の最終決戦は、まさにここの部分が勝敗を分かつ生命線になるだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)

 最後に、遅ればせながら優勝戦メンバーを記しておきます。

12R優勝戦
①峰 竜太(佐賀)
②白井英治(山口)
③菊地孝平(静岡)
④佐藤 翼(埼玉)
⑤桐生順平(埼玉)
⑥秋山直之(群馬)