50歳のデスマッチ
10R
①村松修二(広島)11
②前本泰和(広島)11
③石野貴之(大阪)14
④毒島 誠(群馬)17
⑤瓜生正義(福岡)16
⑥徳増秀樹(静岡)14
村松がインからしっかり押しきった。
SG初出場の2020年クラシックは準優6着だったが、地元の水面も味方につけて3度目のSG挑戦でファイナルの城門を突破した。パートナー28号機は目立たない素性(31%)も含めて「上積みしたけど中堅上位まで」と値踏みしていたのだが、1マークのターン回りの鋭さ~一気に他艇を突き放した出口の押し足を見る限り、今日がいちばんの状態だったか。
このパワーで明日も1号艇なら優勝まで突き抜けるレベル。ただ、2、3号艇に回った場合に自力で内艇を攻め潰せるか、と聞かれれば疑問が残る。とりあえず、11R以降の結果を待つとしよう。
2着争いは前本×石野×瓜生の3艇による掛け値なしのデッドヒート。僅差ながら常に前本が先手先手を奪い、2周2マークあたりでは「広島ワンツー確定か」というムードも漂わせたが、もちろんGPウイナーふたりも諦めない。当面の2番手を引きずり下ろすためにあの手この手で挟撃態勢を築き、最終ホームは横一線の接戦からハナ差だけ石野が抜け出した。50歳の前本にとって、いろんな意味で長い長い3周=1800mだったことだろう。
ギリギリ2着をもぎ取った石野67号機は、早い段階から「上位レベル」と評価してきた。2日目あたりまではスリット近辺の行き足が目立っていたが、その部分がややダウンした代わりに出足系統など他の足がかなりパワフルになり、トータル上位ど真ん中のバランス型と鑑定している。外枠が配分される明日は、A自力攻め想定でストレート足強化か、Bこのままバランスを保って展開を突く作戦か、二者択一になりそうだ。ここ一番では超攻撃的なファイターだけに、作戦Aが十分にありえるとお伝えしておこう(枠番次第ではある)。
女子コンビの猛攻
11R
①白井英治(山口)11
②大上卓人(広島)09
③辻 栄蔵(広島)08
④菊地孝平(静岡)13
⑤實森美祐(広島)05
⑥平高奈菜(香川)02
お、お、恐れ入ったぞ、ハイパー女子コンビ!!
このレースは「4カドのデジタルスターター菊地がどれだけ内3艇を脅かせるか」が最大の焦点だと思っていた。だがしかし、スリット隊形は↑御覧のとおり、菊地がちょい凹み。代わって、コンマ05まで踏み込んだ5コース實森が、ゴリゴリと攻め込んだ。
いや、正確には、コンマ02のキワまで突っ込んだ平高が“指令を出した”と言うべきか。スリット直後、より高い位置から實森を見下ろし、コツンと艇をぶつけて攻めを催促したのだ。
「ほらほら、美祐ちゃん、グズグズしないでドカーン行っちゃいなさいよ!」
私の目にはそんな“指令”に見えた(笑)。仮にそんな進行だったとしても、實森31号機の5コース特攻は熾烈を極めた。あっという間に菊地を叩き、さらに辻、大上という同県の先輩コンビも絞め倒し、イン白井までまっしぐら!! 白井がやや握り気味に旋回したため絞めまくりは諦め、差しに構えた瞬間にキャビテーションを起こしてしまったが、恐るべき25歳の“ゆきゆきて神軍”だった。もしも昨日の11R同様4カド発進だったら、あるいは白井まで数秒間で飲み干していたかも。
2~5コースの玉突きを尻目に、ギリギリ難を逃れた白井がくるり1マークを先行して独走状態に。バック直線で悠然と2番手を取りきったのは、6コースからこれまた實森神軍の被害を浴びなかった平高21号機!! こう書くと他力本願のごっつあん2着のようだが、実際には「實森に行かせて差して」のプロデュース的2着だったとも言えるだろう。結果論ではあるが、「外枠の女子コンビがツープラトンの猛攻でファイナルの1議席をもぎ取った」とお伝えしておきたい。
衰え知らずの韋駄天
12R
①磯部 誠(愛知)13
②山口 剛(広島)24
③平本真之(愛知)20
④原田幸哉(長崎)08
⑤篠崎元志(福岡)14
⑥篠崎仁志(福岡)14
4カドからの大波乱は、コッチだった。立役者は天性の韋駄天スタート野郎、原田幸哉!! 準優組でただひとり今節平均コンマゼロ台(しかも07)を叩き出しており、「そこはちょいと不気味だなぁ」などと思ってはいたのだが、まさかまさか↑こんな極端なスリット隊形が発生してしまうとは……。
ダッシュの利も含め、4カドから軽々と平本~山口を飛び越えた幸哉は、そのまま元同県の後輩・磯部も叩き潰してファイナル3号艇を決定づけた。コンマ13ながら、壁のまったくない隊形で大敗した磯部は、不運だったと言うしかない。
まくり圧勝した幸哉ではあるが、スリット直後に伸びが売り切れたようにも見えて、そこはわずかな不安材料か。明日は3コース想定からまくる展開になると、1マーク手前で捕まってしまうかも。ただ、最近の幸哉の3コースはほぼまくり差しということで、逆に今日よりも出足系統に鍛えを入れる可能性もある。
2着は幸哉の攻めに乗りつつ、自身も1マークを豪快にぶん回した元志。自分を生かしつつ弟にも攻め手を与えたい、という“兄心”たっぷりの戦術だったか。そうでなくとも、今節の元志55号機は2日目に伸び足が付いてから自力で仕掛ける戦法が目立ち、久しぶりにSGで獰猛果敢な兄貴を目の当たりにしている。
5号艇の明日も③幸哉や④石野の攻めに連動して突っかけるか、はたまた隙あらば自力でまくりを目指すのか……どっちにしても、自慢のストレート足に活を入れる可能性は高いと思っている。(photos/シギー中尾、text/畠山)