BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――アツいぞ勝負駆け

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 高田ひかる、まくり一撃! 10R、初日に続いての2コースまくり。これで得点率は6.00と、ひとまず目標のノルマには到達した。持ち味通りの勝ちっぷりに、レース後も笑顔は弾ける。谷川里江もなんだか楽しそうに、高田に声をかけるのだった。まくられるほうは脅威だけど、見ているほうはやっぱり楽しい高田ひかるのまくり!

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 そう、まくられてしまった寺田千恵は、1着勝負の1号艇を砕かれてしまった。寺田としては大きなミスがあったわけではない。スタートもコンマ14、何ら問題はない。ただ相手が伸びが来ていた高田ひかるだった。しかも2号艇の富樫麗加がF2で6コースに出たことで、高田が2コース。ジカに伸びられてしまえば百戦錬磨の寺田であっても、なすすべがないのだ。というわけで、レース後の寺田はまずは呆然。当然そうなるだろう。しかしやはりスタートに反省点があったのか、レバーを握ったり放ったりするアクションをしながら堀之内紀代子に語り掛け、最後は目をきつくギューッと結んだ。やっぱり悔しいよね! あの寺田千恵をも貫く高田の伸びはやはり怖い。準優は6号艇だが、アウトからでももちろん!

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 11Rは浜田亜理沙が逃げ切り快勝。10Rの寺田同様、大敗なら予選落ちもあっただけに、特にまくり屋・櫻本あゆみの攻撃が怖かったはずだが、寄せ付けずに逃走を決めた。レース後にそれほど感情が表に出るタイプではないが、安堵の様子がうかがえた。少し前まで、浜田はイン戦でなぜかスタートが決まっておらず、1コースまくられ率が思いのほか高い選手であった。しかし近況は急激に改善されており、まくられ率はどんどんと下がってきた。ここもコンマ02の踏み込み! 櫻本のまくりは強力だけど、これなら逃走必至である。

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 このレースは比較的楽な条件の勝負駆けだったのだが、唯一、中谷朋子が6着大敗で勝負駆け失敗。大きな着が並んでしまった4日目、不本意な予選最終日となってしまった。エンジン吊りをしている間も、終わった後も、それほど悔しそうな表情を見せていたというわけではなかった。ただ、同支部の後輩・古賀千晶とかなり長い会話が……いや、ほぼ古賀が聞き役に回って、中谷が語り掛けるという場面が見られた。仕上がりや展開についての話だったと思われるが、胸の内を吐き出さずにはおれない、という感じだったか。古賀との別れ際には柔らかな微笑を浮かべてはいたが、内心は複雑な思いがあったかも。

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 5着の水野望美も複雑な表情。戦前は得点率3位で、結果によっては準優1号艇が視界に入っていた。実際の順位をどこまで把握していたかはわからないが、オール2連対なのだから、準優白カポックの可能性がおおいにあったことは理解していたと思う。5着でも予選突破は変わらないのだが、順位を下げることになってしまった。もし上位でこのレースを終えていれば、と思えば落胆したような、あるいはちょっと拗ねたような顔つきになるのは自然なことだ。それでも準優は内側の枠に入れそうだから、ここは切り替えて明日に臨んでもらいたいところ。

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 12Rの勝負駆け成功は川野芽唯。レース前がボーダー18位で、3着条件をまさにその3着で順位キープ。2周1マークでは海野ゆかりが内から押っ付けてきたが、冷静に握って交わして3番手を守った。その川野、得点率の状況を知らなかったのかな? エンジン吊りの最中に小野生奈に話しかけられて、目を丸くしていたのだ。セーフですよ。マジで!? みたいなやり取りに見えたんだけど。

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 レース前に19位だったのは竹井奈美で、2着であれば川野を超えていた。しかし1マーク、攻める山川美由紀の引き波にずるりとハマって後退。この時点で予選突破は消えたと言える。福岡支部同士が明暗を分けた12Rだったというわけだ。レース後は淡々として見えたが、もともと喜びも悔しさも表に出すタイプではないだけに、その胸中は察せられる。厳しい足色でよくぞここまで、と思わないでもないのだが、竹井本人はそんな思いにはなれないだろう。

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 堂々逃げて予選トップ! 遠藤エミが完全に王道に乗っかった。小野生奈が「すごいじゃーん!」とニコニコ顔で称えれば、戦った川野も笑顔で称える。誰もが認める、圧倒的な強さなのである。その小野も川野も、明日は遠藤と戦うんですけどね(笑)。外枠となる二人だが、もちろん一発狙うことだろう。ともかく、彼女たちの言葉に、遠藤も笑顔を見せる。勝利したことにせよ、準完全ペースの成績にせよ、モーターの手応えにせよ、笑顔しか出ないでしょう。ちなみに、海野ゆかりのエンジン吊りに加わっていた守屋美穂は、特に表情を変えず淡々としていました。9R2着の時点で、トップを遠藤に譲るのは覚悟していたかも。いずれにしても、遠藤が女王の称号をぐっと引き寄せた12Rであったのは間違いない。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)