BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生レディースオールスターTOPICS 初日

恐るべき新兵

 今までにあまりないパターンだが、まずは全国の多くのファンにとって謎めいた存在であろうニューフェイスを紹介しておこう。

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 127期の静岡支部・川井萌ちゃん、20歳。
 どんな選手かと言うと、はい、実は私もほとんどまったく知らないのであります(苦笑)。つらつらデータ関連を覗いてみると……。
 父親の琢也さんは元競輪選手で公営競技への馴染みは深く、そのお父さんと浜名湖観戦に行って「カッコイイ!」と思ったとか。

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 3度目の受験で合格したボートレーサー養成所では、リーグ勝率5・43となかなかのエリート訓練生。リーグ第5戦では2号艇の2コースから「差し」で優勝も決めている。デビュー後はしばらくゴンロクを並べたが、去年の5月14日の丸亀2Rで嬉しい初1着。初出走から半年後、75走目の水神祭だった。6コースからトップスタートでのアウトまくり。で、去年は1年間で4勝を挙げ、今年は元旦の緒戦にいきなり一撃まくりを決めて通算5勝。この5勝の内容は、ちょっとしたお宝データかも??

★初勝利・トップスタート6コースまくり 3連単42360円
★2勝目・トップスタート4コースまくり 3連単14920円
★3勝目・トップスタート5コースまくり 3連単21690円
★4勝目・2番目スタート5コースまくり 3連単47700円
★5勝目・トップスタート4コースまくり 3連単19360円

 そう、5勝すべてが「まくり」決着で、ほぼほぼトップスタート。唯一の2番目スタートもコンマ05まで張り込んでのまくり勝ちだった。まだ無名の新人だから勝つたび万舟は当然として、常にあっと驚くロングショットを警戒すべき「まくりポケモン」なのである。

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 と、データの横流しで知ったか風に書いてしまったが、なぜあれこれ調べる気になったかというと、今日の6Rのレースっぷりがなかなかに男前だったから。1マークは外から外へ握り込み、追い風に煽られながらも4、5番手をキープ。2マークもかなり早い初動から外⇒外をぶん回して3着争いに加入。

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 そしてそして、2周1マークの手前では、先行する日高逸子&寺田千恵という鬼夜叉先輩に対して、外から内へ「ごめんなすって!」みたいなソコソコ強烈な切り返しを繰り出したのである。この新人らしからぬ奇襲は惜しくも空を切ったが、「なんだなんだなんだ、この子はいったいナニモンだぁ??」と私を驚かすに十分な4着だった。

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 うむ、後付けで調べてわかった「まくり5発」といい、今日の勇猛果敢な切り返しといい、今節の萌ちゃんがなにかしらの爪痕を残すのではないか。そんなことを思って、急遽プチ特集的な文面を書き上げた次第だ。明日の萌ちゃんは【2R4号艇】の一発勝負。外の⑤勝浦真帆、⑥高田ひかるという伸び~るコンビに対して枠番を主張するのか、というあたりから大いに注目するとしよう。

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 一方、赤城山の天辺へと連なる王道(女王道)を突き進むのは、田口節子36号機! 今日は2Rで6コースから最内をブッ差し、532倍の大穴配当とともに1着発進。内艇が握りあって大混戦という展開の利もあったが、それにしてもバック最内からすいすいすらすらゴキゲンな直線足だった。手前味噌だが、私の前検の見立て通りの鬼足だったと自負している。

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 さらに後半11Rは、あっと驚くピット離れで人気の①遠藤エミからインコースを強奪! まんまエミのリベンジまくりを寄せつけずにインから豪快に逃げきってしまった。なんというか、どっちも曲芸みたいな要素が混じったちょいサプライズの連勝劇ではあったが、とにもかくにも【6号艇での1着&2号艇から①エミを出し抜いての1着】という貯金はとてつもなくでかいと思うぞ。イン逃げを決めたのにまだ1号艇が残ってるし、あとは3・4・5号艇という36号機のパワーを存分に生かせそうな枠番だし。
 1号艇での1着は当然として、センター筋の3戦で30点に何点加算できるか。こと予選トップ争いに関しては、このあたりが大きなポイントになりそうだ。
 足よし、リズムよし、幸先よし。
 私の勝手な妄想では、初日にして節子=予選トップの可能性がはや50%まで浸食した気がするのだが、どうだろうか。もちろん、自称・穴党の私としてはそれ以外の展開~ファイナルで節子勝負という穴パターンにも食指が動いている。

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 さて、「節子が節イチSランク」という見立ては昨日と同じとして、今日の実戦での推奨パワーも昨日と大同小異だった。勝浦真帆32号機は安定板を履いてもよくよく伸びていたし、西橋奈未57号機も全部の足が力強い上位レベル。高田ひかるは言うまでもなくトップ級の伸び足で、出足・回り足は下位レベル(明日は伸びより出足系統に活を入れるのがひかるスタイルでもある、要注意)。

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 そしてそして、昨日は私が一言も触れなかった「三島十傑」の寺田千恵30号機も、やっぱり実戦では素晴らしい足色だった。とにかく出足~行き足までの加速感がゴキゲンで、そこから先もじわじわ出て行く。6Rでギリギリ逃げきった日高逸子が「②が特訓からグングン伸びてた」「(バック直線で)②がやめてくれたから助かった。あのまま直進してたらやられてたかも」など、テラッチ30号を絶賛することしきり。競馬用語で言うところの「テンよし中よし仕舞よし」の三拍子揃った抜群パワーだと思う。安定板のないレースではどう変化するのか、明日以降も期待しながら鬼足をチェックするとしよう。
 三島イチ推しの浜田亜理沙48号は安定板のあるなしで2走したが、今日はちょっと回転が合わずにターンマークで滑るような見え方だった。明日はしっかり合わせて本来の鬼足を見せてもらいたいところ。

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 最後に、穴っぽい人機をひとりだけ挙げるなら、1Rですいすいガッチリ水を掴んでいるように見えた山崎小葉音23号機。選手は4点台だが父・智也の特訓(?)とともにグングン成績を伸ばしてるし、相棒は32%ながら地区選で馬場剛がちょいちょい不気味なムードを醸し出していた。うっかり数字だけで軽視していると、どこかしらでドカーーンと強烈なしっぺ返しもありえるカップリングとお伝えしておきたい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)