BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

寒くて風が吹いたり止んだりのピットから

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 今日は選手たちにとっては大変な一日だったかも。前半に安定板装着となったのは前の記事にも書いたが、さらに水面は荒れ、9Rからは周回短縮。レース2周、周回展示1周となっている。長嶋万記は3Rに出走していて、安定板装着を急いだ一人。そして、8Rにも出走していて、最も荒れていた水面を3周走らねばならなかったわけである。ちなみに気温は0℃だった。寒くて風が強くて波立つ水面で、決して楽な1号艇ではなかったはずだが、しっかり逃げ切って何よりである。

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 天候はさらに変わる。10R発売中に風がぴたりと止んだのだ。10Rの記録を見ると、風速0m波高0cm。ここを走った面々は、ベタ水面を2周だけ走ったという次第である。逃げ切ったのは松本晶恵。地元のイン戦、しかもベタ水面なら負けるわけにいかなかっただろう。前半のレースごとは違って、爽やかな表情で引き上げてきている。このときも気温0℃だったので、相当に寒かっただろうけど。冬の桐生は慣れたものかな?

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 この10R発売中、ピットにはアナウンスが響いた。それは、11Rからレース3周回、周回展示2周回に戻す、というものだ。ベタ水面なんだから、短縮の必要はないよね。アナウンスはそれを告げたあと、こう続いている。「周回誤認のないよう、気を付けてください」。目の前で2周レースを見ていた11R組、たしかに神経を使うことになるだろうと想像がつく。なにしろ周回誤認は即刻帰郷となるほどの禁忌だから、絶対に避けなければならないのである。まあ、選手は常に周回数のことを頭に叩き込んで戦ってはいるはずだが、さらに注意しなければならないのは、やはり大変だと思うのである。ちなみに安定板は11Rも12Rも装着のまま。水面状況的には必要ないように思えるかもしれないが、この条件で調整をしてきた選手たちのことを考えれば、これが正解でしょう。11Rでは遠藤エミがピット離れで遅れたが、安定板を急に外していたらもっといろんなことが起こった可能性がある。

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 そう、11Rでは遠藤がバナレで後手を踏んで、回り込んでコースを奪い返しにはいったが、2コースまでしか入れなかった。クイーンズクライマックスでは、トライアル3走すべて1号艇をゲットしながら、まさかの全敗。池上カメラマンは「ビッグの1号艇は鬼門!?」と唸っていたが、たしかに去年の暮れから白カポックで取りこぼしてしまっている。

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 で、インを獲ったのは2号艇の田口節子。1マークでは遠藤がツケマイで攻めてきたが、動じずに逃げ切った。今日は6号艇6コースから勝ち、さらに1コースから勝っての連勝。クイーンズクライマックスにつづいて(トライアル初戦2戦と連勝)、絶好の発進となった。前半は嬌声をあげていた田口だが、遠藤がバナレで失敗したことを気遣ったこともあってか、実に静かなレース後なのであった。ヘルメットの奥では目を細めてはいたけれども、歓喜をあらわにしなかったのは武士の情けといった感覚もあったのだろうか。遠藤と顔を合わせると、田口はゴメンと一言。勝負だから、あの隊形では緩めずインを獲りにいくのは当然でも、対戦相手への気遣いも忘れないわけである。

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 というわけで、天候が荒れたり(11Rと12Rは氷点下でのレース!)、波乱があったり、小野生奈がドリーム欠場となったり、初日からさまざまなことがありました。終盤は止んだ風も、明日また強くなるという話もある。なかなか大変な状況での戦いを強いられるわけだが、選手の皆さんの健闘を祈るばかりである。

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 最後に終盤の整備情報。本体を割っていたのは櫻本あゆみと西岡育未。二人とも初日は6着を獲ってしまっていて、巻き返しを期したい2日目となる。櫻本は地元なだけに、このままでは終われないだろう。西岡は、この大会に過去2回出場して、2回とも序盤で途中帰郷の憂き目。妹と一緒に参戦となった今回こそは、との思いもあるはずだ。この整備が実らんことを!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)