BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

薄氷の逃げPART1

9R
①白井英治(山口) 17
②毒島 誠(群馬)    07
③深谷知博(静岡)    10
④岩瀬裕亮(愛知)    08
⑤濱野谷憲吾(東京)06
⑥峰 竜太(佐賀)    06

f:id:boatrace-g-report:20210828222031j:plain

 起こしからの出足にやや不安があった白井57号機が、絶体絶命のスリット隊形から命からがら逃げきった。
 外5人がコンマ10以内で、白井だけがコンマ17。2コース毒島から2/3艇身ほど遅れをとったが、その後の57号機の伸び返しを肌で感じた毒島がまくりを自重。白井としては、穏やかな枠なり3対3でたっぷり120mほど助走をとれたのが大きかった。

f:id:boatrace-g-report:20210828222118j:plain

 スリットを過ぎてから早い段階でグイグイ伸び返し、1マークでは舳先を突き出すほどの勢いで先マイ。後続の追撃をなんとか振りきって準優の一番乗りを決めた。この原稿はリアルタイムで書いているので、現時点で明日の白井の枠番は不明。順当なら3号艇あたりになるのだが、57号機のA+【出A・直S】を踏まえるなら、まさに3号艇でこそ出力最大のレースが見られると思うのだが、どうだろう。

f:id:boatrace-g-report:20210828222157j:plain

 2着は2コースから外を止めて差した毒島かと思いきや、待って待っての差しで推進力が失われたか。白井の引き波をなぞってややバウンドしたように見えた。代わって、凄まじいスピードで毒島を並ぶ間もなく交わしたのは、5コースの憲吾だった。

f:id:boatrace-g-report:20210828222224j:plain

 今年はペラの当たり年で先月のオーシャンカップを制覇。今節も前検から自慢のスリット足が光っていて、それが自信満々のレースに直結している。今日の「憲吾スペシャル」も、一時代を築いた20年ほど前を彷彿するほど若々しいスピードで明日のチケットを入手した。来年から名人世代に突入する白井ともども、古豪の強さが際立つレースでもあった。

薄氷の逃げPART2

10R
①平本真之(愛知) 05
②羽野直也(福岡) 03
③池田浩二(愛知) 10
④上野真之介(佐賀)14
⑤田村隆信(徳島) 13
⑥佐藤 翼(埼玉) 10

f:id:boatrace-g-report:20210828222251j:plain

 次なる大本命、平本もまた冷や汗もののイン逃げだった。こちらは互角以上のスタートを放ったが、平本の肝を寒からしめたのは2コース羽野。スリットからゴキゲンな行き足でグイグイ煽り、平本を回してシャープな差しハンドルを突き刺した。

f:id:boatrace-g-report:20210828222321j:plain

 さらには3コースから的確に握って回った池田も僅差で追随したが、出口からの押し~スリット裏までの行き足は羽野が圧倒。ジリジリと平本ににじり寄ってついに舳先を喰い込ませたが、そこから先のストレートはほんのわずか平本に分があった。捩じ込んだ羽野の舳先はぴったり止まり、逆に先細りとなり、抜け落ちるほどではなかったが「競ったら危険」と踏んだ羽野が2マーク手前で舳先を抜いた瞬間、やっと平本の勝利が約束された。

f:id:boatrace-g-report:20210828222354j:plain

 平本43号機は2連対率29%とは思えないほどしっかり出ているが、日によって出足が良かったり直線が良かったりどっちもまあまあだったり、バラつきが気になっていた。そうしたブレの大きさが、まんまモーターの底力の無さ、と見ることもできるだろう。現時点でファイナル1号艇か2号艇の権利を得たが、相手次第ではたとえ1号艇でも簡単に勝ちきれるパワーではない、と思っている。

f:id:boatrace-g-report:20210828222432j:plain

 さて、2着は平本を脅かした羽野かと思いきや、舳先を抜いてマイシロが乏しいところ、さっさと外に持ち出していた地元の絶対エース池田が「水上この一手」とも言うべき絶妙な初動で外から外への全速ぶん回し!! 窮屈な小回りを強いられた羽野をあっという間に交わし去り、昨日の11Rに続いて平本との地元ワンツー決着を成し遂げた。もちろん、このワンツーの意味は昨日とはケタチ。池田にとってはこの2着が「最低ノルマ」だろうが、誰もが毛嫌いする低調機でここまで上り詰めたのは流石と唸るしかない。明日の池田は現時点で4号艇が5号艇。もしも【③白井④池田】みたいな並びになったら、現状のパワーでも少なからぬ勝機が生まれることだろう。

圧倒の逃げ

11R
①原田幸哉(長崎) 05
②今垣光太郎(福井)12
③中島孝平(福井) 12
④新田雄史(三重) 06
⑤篠崎元志(福岡) 07
⑥丸野一樹(滋賀) 13

f:id:boatrace-g-report:20210828222515j:plain

 この準優ラストバトルだけは、インの幸哉72号機がまったく危なげなく逃げきった。いやぁ、とにかく特訓からスタ展から、スリット近辺の行き足がえげつない! 「他が止まって見える」という表現が誇張じゃないほど出て行き、1マークまでに軽く1艇身以上のアドバンテージを勝ち取ってしまう(本番だけじゃなく特訓も含めた5本とも、だった)。

f:id:boatrace-g-report:20210828222544j:plain

 112111着という成績と、一連のレースをご覧になったファンなら、もう72号機について多くを語る必要はないだろう。もちろん明日も同じ枠で、同じようなスタートを切れば、おそらく同じような行き足で1マークまでに他を圧倒するだろう。ひとりの敵(パワー)を除いては……。

f:id:boatrace-g-report:20210828222612j:plain

 さて、2着争いは3コースから握った中島vsその攻めによって4カドから差した新田の一騎打ちかと思いきや、バック最内からとんでもないダークホースが優出ゾーンに飛び込んだ。6号艇の丸野! スタートでやや後手を踏んでのターンマーク差しから伸びる伸びる。

 

f:id:boatrace-g-report:20210828222653j:plain

  中島vs新田を横目に伸びなり2マークを2番手先取りしたらば、しっかりと舟が返って先輩ふたりを抑えきってしまった。三島敬一郎も期待していた54号機が、ここ一番の勝負どころで完璧に仕上がったと見ていいだろう。オーシャンカップの初戦の直前に転覆~3カ所の骨折で帰郷してから1カ月。不死鳥の如く蘇った男のさらなる大舞台、どんなサプライズが起こっても驚くつもりはない。

f:id:boatrace-g-report:20210828222732j:plain

 勝ちっぷりはともかく、すべてイン逃げの準優が終わって明日のファイナリストが確定した。

12R優勝戦
①原田幸哉(愛知出身長崎支部)
②平本真之(愛知)
③白井英治(山口)
④池田浩二(愛知)
⑤濱野谷憲吾(東京)
⑥丸野一樹(滋賀)

 適材適所に、千両役者が配置された。(photos/シギー中尾、text/畠山)