BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――新鮮な光景

 毎年感じることだが、甲子園のピットは新鮮だ。“ボートレース過疎地”の都道府県から選出されるメンバーはかなり固定されてきたとはいえ、ビッグレースのひとつであるこの舞台にそうした選手がいるというのは、やはり楽しいもの。ピットを眺め渡していると、中山将太が元気いっぱいに「よろしくお願いします!」と挨拶してくる。彼とはヤングダービーでも顔を合わせはしたのだが、SGクラスがゴマンと揃うこのピットに気持ちのいい若者が混じっているというのは、やはり目を引くものである。

 毒島誠が装着場をスタスタと歩いている。これは先々週の唐津グラチャンでももちろん見た光景。ただし今日は、肩を並べているのは萬正嗣である。ふたりは群馬支部同士で、2期違いの同世代。萬はこの数年、A2級とB1級を行ったり来たりだが、その前はA1級で記念にも参戦していた。それに、このふたりが揃って大村新鋭王座(07年)に出場したのもよく覚えている。彼らの絡みは本来、特に珍しいものでも何でもないはずだが、甲子園の舞台ではやはりフレッシュに映る。これはこの大会の醍醐味である。

 瓜生正義と岩崎芳美が話し込んでいるのも、もともと福岡支部の先輩後輩だから不思議でも何でもないのだが、思わず唸ってしまったりする。選手会長が後輩です。今日ライブ配信のYouTube『週刊BOATBoy』では岩崎に突撃インタビュー。少しだけネタバレになってしまうが、岩崎によれば瓜生にプロペラのアドバイスをもらったのだという。なるほど、あの会話の場面もそのあたりの内容だったということだろう。今では支部が違うふたりだが、他支部のトップレーサーに女子選手やB級選手がアドバイスをもらうこともできる環境となるのが甲子園でもある。特に若手は怯むことなく、いろんな先輩に話しかけてもらいたいものだ。

 ビッグレースといっても、お祭り的なムードも強いレースだから、特に前検ではリラックスムードも漂う。これもまた心地よかったりするわけである。たとえば丸野一樹。以前からちょくちょく声をかけてきてくれて、いろんな話をしてきたわけだが、実績を積むにしたがって、ピリピリ感が増してきていたのは確か。SGでも人気を背負うことが増えてきているから、それも当然で、会話を交わす機会も減ってきているが、むしろ頼もしく思ってきたものだ。でも今日は、ふらりとやって来て雑談になったりして。それはそれでやはり嬉しく楽しいわけである。

 特に会話を交わしたわけではないが、白井英治の表情も実に柔らかく見えた。地元ビッグということで期するものもあるはずだが、今日のところはそこまでテンションを上げているようには思えなかった。帰宿を待つ間に整列している際は、田村隆信ととびきりの笑顔で談笑。なかなか爽やかな表情なのであった。

 もっとも、前検の手応え次第では笑っていられない選手もいるわけで、新田雄史が早くも本体を外しており、細かな整備調整を行なっていた。部品交換をしている雰囲気はなかったが、明日の直前情報はチェックしていただきたい。朝のうちに交換をしている可能性があるからだ。あと、三浦敬太がステアリングバーを交換している様子だった。操縦性に違和感があったのだろう。道産子の畠山が肩入れする北海道代表。これで畠山を笑顔にすることになるだろうか。

 さて、今日の信州代表・飯山泰。控室に戻る際にカメラを構えたら、それに気づいてじーっとレンズを凝視。カメラを下ろして親指を立てて首を傾げてみせたら、飯山は力強く何度も何度もうなずいた! 好感触! こちらも思わず何度もうなずくと、飯山はさらに笑みを深くしてまたうなずくのだった。明日は2R1号艇。逃げ切りじゃーっ!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)