BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

甲子園は新鮮!なピットから

 甲子園のピットは、普段はSGなどビッグばかり取材している者としては、毎年新鮮な光景となる。SGにはなかなか出てこないような選手も数多く参戦しているからだ。たとえば渡辺崇とは、初めまして、であり、一目見て渡辺浩司の弟と判別できるのだから、なんだか楽しくなってくる。ほんともう、そっくり! ヒゲまで似てるんだから、驚いた。片岡雅裕と話しているのを見て、101期生なのだと改めて認識。こうした出会いが嬉しいわけである。

 鹿児島県代表の木場悠介とも今回が初対面。119期のやまとチャンプである。なかなかのイケメンですね。そして、下條雄太郎と話し込んでいるのを見て、長崎支部であることを改めて認識。発祥地期待の星なのである。今節は、登番下から2番目ということで、新兵のひとりでもある。というわけで、自身の作業の合間に、ピットの中を駆けまわる姿も見られた。

 門間雄大と飯山泰が話し込む姿も新鮮。門間は畠山と同郷の北海道代表、飯山は私と同郷の長野県代表。ようするにこのブログチームが贔屓するふたりというわけだが、そう、二人とも東京支部なんですよね。我々も東京在住で東京支部のようなものだから、似たような関係ということになりますか。誰が何と言おうと、私が今節最優先で応援するのは飯山泰なのである。門間はその次にしといてあげます。

 もはや甲子園の常連、というか、彼らがいないと甲子園は成立しない、まさにこの大会のキーマン!とも言えるのが、青森県代表の鹿島敏弘、秋田県代表の高橋直哉、山形県代表の多田有祐である。なにしろ、それぞれの出身レーサーは彼ら1人のみ! このまま行けば、当面は毎年代表、である。この大会で彼らに会えるのは年に1回のお楽しみとなってきている。そして、彼らが連に絡んでくれると一気に配当がアップ! そうした活躍も心待ちにしているという次第である。今回、多田は三島イチオシの61号機をゲット。今日のところはそうした手応えはあまり感じなかったようだが、好モーターを相棒におおいに暴れていただきたいわけである。

 岐阜県代表の吉田慎二郎もはじめましてなのだが、田口節子とかなり長く話し込んでいる光景が新鮮極まりなかった。何かつながりがあるのだろうか、と考えて、思いついたのが「田口が、吉田が使用したモーターを引いた」のではないか、ということ。ビンゴでした。5月の当地で吉田が優出を果たしたモーターを、その次節に田口が引いていたのだ。吉田といえば最近は伸び型に仕上げることが多く、その5月節でも展示で好時計を連発していた。田口はそのまま乗ったのか、やはり展示では一番時計を何度も叩き出し、3日目4日目にはセンターからまくり3連発を打ち上げ、やはり優勝戦に駒を進めているのである(男女混合戦)。同じ尼崎であっせんが一緒となり、田口がここぞとばかりに話しかけた格好。おそらくはそのときの話で盛り上がっているのだろうと思われたが、なんとその後、二人は整備室でゲージを見せ合ってもいた。田口がそのときゲージを取って、それを吉田が自分のゲージと比べていたのではないかと見受けられた。今節の田口は伸び仕様で戦うかも!? なお、そのモーターとは13号機で、今節は関浩哉が引いています。乗艇歴がある選手が2人もいるのだから、関としても心強いかも。

 今節、最も新鮮なのは、やはり梅原祥平の存在だろう。今期適用勝率は2・75。デビュー以来初めてB1級に昇級した。この甲子園はB2級には出場資格がないから、もし梅原が昇級していなければ今年は鳥取県代表が不在となっていたのである。梅原が今回大会を救った! というのは大袈裟だけど、シリーズコンセプトを守ったのはたしかである。一方でデビュー1年8カ月でいきなりGⅡにあっせんされたのだから、これはなかなかの試練でもある。そんな立場だから、今日は新兵仕事に走る走る。2番目に登番が若い木場とも200番以上、期にして10期も離れているからか、まるで新兵は僕一人、というほどの走りっぷり。実に気持ちがいいし、また必死にこの場に溶け込もうとしているようにも見えたのだった。

 何しろ、8班の前検航走が始まって、自分=9班の航走が迫っているのに、その8班のモーター架台を一人で準備していたのだ。それを見かねて中澤和志が「もういいよ! 大丈夫!」と笑顔で梅原を制することにもなっていた。大先輩に気遣われて、自艇のもとにダッシュする梅原。前検からあんまり頑張りすぎると疲れちゃうよ(笑)。なお、9班のモーター架台の準備は、やはりというか、中澤が率先して行なっている。同支部の後輩である佐竹友樹と佐藤翼がこれに続く。実は一昨年の三国マスターズチャンピオンで、デビュー前の研修で沼田七華がピット作業のお手伝いに来ていたのだが、当時の中澤は新兵で、それをおおいに助けた沼田にかなり気を遣っていたのを目撃している。若手に優しいのだ、岩手県代表・中澤和志!

 さて、その9班の前検航走後には救助訓練が行なわれた。これ、最近は必ずやってるんでしょうか。あるいは尼崎だけ? 参加選手は装着場で見学するように、とアナウンスも流れて、選手たちが装着場に集まる一幕となった。

 9班の6名が本番ピットから待機行動、スタート、1マークと模擬レースのように走り、うち1艇が1マークの出口でストップ。これを事故艇と見立てて、他の5人はゆっくりと事故艇とレスキューの外を回るという訓練である。さらにはストップした選手をレスキューが救助、ピットに戻るとその選手を担架に乗せて救護室へ、という訓練も。初めて見たなあ、この訓練。

 で、事故にあって担架で運ばれる役を任されたのが、梅原祥平なのでありました。もちろんケガなどしているはずがなく、救護室まで運ばれたあとはふたたびレスキューに乗って事故艇役となっているボートまで戻り、自走してピットに戻っています。梅原くん、いろんな役割をこなした前検日、お疲れ様でした!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)