BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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優勝戦 私的回顧

最強バッテリー、完封。

12R決勝戦 並び順
①深谷知博(静岡)12
⑥白井英治(山口)11
②馬場貴也(京都)19
③佐藤 翼(埼玉)13
④新田雄史(三重)07
⑤瓜生正義(福岡)09

 危うい進入隊形なんのその、静岡県代表・掛川市出身の深谷が鮮やかに逃げきった。4年前の第1回大会で開催地の浜名湖にはじめて運ばれた深紅の優勝旗は石川~佐賀~群馬と渡って、再び静岡へと舞い戻った。

 ピットアウトから下関のファンを沸かせたのは、もちろんエース白井。はじめはゆっくり、オレンジブイを回ってじんわり加速し、ターンマークを過ぎてから一気にエンジンを噴かす。おそらくガチで抵抗するつもりだった馬場と翼は、そのあまりの勢いに気圧されて舳先の方向を保留した。

 最終隊形は実にスリリングな16・2/345。内艇は深いけれどコースの利、外艇は遠いけれど圧倒的な助走の利。6人のすべてに勝つべきメリットと負けるべきデメリットのある隊形だ。12秒針が回ってダッシュ勢から動きはじめた隊列の中で、わずかに3コースの馬場だけが凹んで見えた。

「つばさ、行けるだろっっ!!」
 ③翼のアタマをしこたま買っている私は節イチの大声を張り上げたが、スリットから伸びていく気配なし。逆に90mの助走しかなかった深谷と白井がぐんぐん伸び返す。そのまま1マークは馬場の渾身のまくり差しも翼の全速握りマイも届かず、深谷が逃げて白井が差しての行った行った①-⑥決着がほぼ完成した。展開の利よりコースの利。もちろん、そこには「パワーの利」という大きなファクターもあったはず。それくらい今節の深谷53号機は抜けていたし、おそらく白井17号機もセット交換によって相応のパワーアップに成功したのだろう。
 とにもかくにも、おめでとう深谷。選手も相棒53号機もシリーズを通じてまったく付け入る隙のない、憎らしいほどお似合いの“バッテリー”だったぜい!

 最後に、来年の第5回・尼崎甲子園(まんまやんけ~!)まで覚えておきたい「舟券ワンポイント講座」をば。
 まず、毎年書いていることだが、この大会ならではの大きな特徴は「1年間でもっとも実力の較差が激しいGⅡ」であること。だからして、3連単の配当は【A/スター選手が上位独占でガチガチ3桁か、B/ボートレース辺境地のB級レーサーなど人気の盲点が絡んで大穴か】のどっちかに偏りやすい、と何度も何度も書いてきたし、今年もそんな偏りが見られた。
 で、ここからが本題。穴舟券に関して言えば、さらに絞りやすい特長があることがはっきりした6日間だった。今節の万舟を列挙してみよう。

今節の万舟
★初日 9R ①④⑤ 13200円
★2日目3R ①⑥⑤ 50630円
★4日目2R ②③⑤ 10600円
★4日目4R ①③⑥ 10420円
★4日目5R ④⑥⑤ 13270円
★4日目11R ⑤④③ 16470円
★4日目12R ⑤①② 24900円
★5日目4R ⑤②⑥ 52390円
★5日目10R ③④① 17080円
★最終日1R ①④⑥ 10410円
★最終日10R ⑤③④ 162400円
★最終日11R ②③④  32790円

 節間12本のホームランは威張れるほどではないのだが、ハッと目を惹くのが「①アタマの万舟=ピンマン」のフォーカスだ。たとえるなら先頭打者ホームランが、節間で4発とは驚くほどに多いぞ。実は、過去3回大会でもピンマンは頻出していて気にはなっていたのだが、今節の4発の集中打で確信となった。

鉄の掟【ボートレース甲子園はピンマンの宝庫だ!!】
 理由はシンプル=実力差がありすぎ大会だから人気の盲点になる選手が鈴なりで、彼らが逃げても外枠から2・3着に絡んでも配当が跳ね上がる。初日に新潟代表・金子和之が2着の①-④決着で3連単132倍、さらに2日目は金子が今度は6号艇から2着に飛び込み①-⑥決着はあっと驚く506倍……このサプライズな“万舟事変”とともに、来年の本家・甲子園大会までしっかりと鉄の掟を覚えておくとしよう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)