雨脚はわりとしっかりしており、こんな日は屋内に閉じこもっていたくなるものだが、選手たちはそうもいかない。というか、雨にも負けず猛暑にも負けず、時に汗や雨粒に身体を濡らしても、意に介さずに動きまくるのがボートレーサーである。
予選トップ通過で足色には余裕があるはずの近江翔吾にしてもそうだ。大きな作業をしているわけではないが、朝からピットにあらわれて着々と動いている。ピットには、どうしても屋根のないところを通らないと移動できない箇所があるわけだが、雨に濡れようが構わず、軽快な足取りで歩いていた。「今日逃げないと、トップ通過した意味がない」と近江は言う。そのための準備を着々と進める朝である。
また気候が変わったわけだから、ペラ調整を進める準優組も多い。残念ながらトップ通過を逃してしまった末永和也も雨のなか試運転を行なって、得た感触をもとにペラ室にこもった。準優までに、また雨に濡れながらの試運転を何度か行なうことになるだろう。
そんな様子を眺めていたら、中亮太が突然歩み寄ってきて、「はじめまして。中亮太と申します」と丁寧なごあいさつ。って、もう5日目なんですけど(笑)。もちろんあなたのことはよく存じ上げますよ、特に水神祭界隈で。今日は自分の水神祭をやろうね、などと激励していたら、中村日向が合流。このふたりは122期生で、同期がオッサンと話しているのを見て、なんだなんだとやって来たのだろう。じゃあ、今日は中くんの水神祭で、明日は日向くんの水神祭、ってことでどうよ? と言ったら、中は「はい、そういうことなんです」と断定。中村はニッコリ笑って、ひとまず否定はしなかった。うむ、実現するといいね!
というわけで、準優1号艇組はいつも通り、自然体でそれぞれの作業を進めている様子なのであった。特に緊張している様子もうかがえず、それは好材料だと思われる。
整備室を覗くと、高橋竜矢がキャブレターかリードバルブの調整を行なっていた。窓越しなので、どちらかは判然としなかったが、作業の姿勢を見てそう判断。いずれにしても準優前に、外回りの部分を点検も含めてもういちどしっかり調整しているということだろう。GⅠ初出場にして準優進出はお見事だが、準優の日にも冷静に仕事ができているのもたいしたものだ。
整備室には宮之原輝紀のモーターがあった。ん? 朝、装着場にあったボートを見た時にはモーター乗ってなかったっけ? ちょっと記憶が定かではないのだが、整備する腹積もりなのだろうか。といっても宮之原はペラ調整に取り組んでおり、やっぱりさっきはまだ乗ってなかったんだっけ? 大事な地元ヤングダービーの準優である。一発勝負に出てもおかしくはない。直前情報はしっかりチェックしよう。
同じく地元の栗城匠は、まだ本格的な動きを見せていなかった。モーターにプロペラが着いたままで、エンジン吊りにあらわれるのみ。こちらはマイペースな準優の朝を送っているようだった。
6号艇になったことで、伸び型にシフトさせるかどうかが気になる高田ひかるだが、ペラ室にはこもっているものの、何度か出てきては報道陣とやり取りもしていて、どこまでペラを叩いているかは確認できず。これも直前情報、スタート展示等をチェックしていただきたい。昨日、6着のレース後はやや落胆していた高田だが、開き直りもあるのだろう、今朝はかなりスッキリした表情だ。伸びを完全に引き出すことができれば、6号艇でも脅威の的となるだけに、どんな仕上げで臨むのかが楽しみだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)