初日のレースを終えて、その感触をもとに調整ピッチはアップ。昨日よりぐっと気温も上がったということもあってか、本体に手を入れる選手も少なくない。たとえば日高逸子。早くから本体をバラしての懸命な整備を行なっている。９Ｒ１回乗りと時間に余裕があることも無関係ではないだろうが、初日後半の大敗の原因を探って、解消しようと懸命だ。
同じく９Ｒ１回乗りの中村桃佳も本体に手を入れた模様。初日は５着３着とやや消化不良であり、至急のパワーアップの必要を感じ取ったか。２Ｒ発売中にはモーターをボートに装着していたが、装着検査を行なう検査員さんとはにこやかに言葉を交わしており、そこまで切羽詰まった感じは見られなかった。
10Ｒ１回乗りの長嶋万記も本体に手を入れた模様。初日は２着１着と好発進だったので、点検程度だった可能性が高いが、モーターをボートに装着したのは中村とほぼ同じタイミング。時間がある日だからこそ、さらに万全を期すという意味合いが強かったかも。
それにしても、長嶋の人望はたいしたものだな、と思う。装着作業を終えてボート回りを点検している長嶋には次から次へと、選手が訪れて声をかけているのだ。同支部の後輩である山下友貴がやって来るのは想定通り。１Ｒ１着で初日から２連勝となったが、そのレースで感じたことを長嶋先輩に話したり、また長嶋からアドバイスを受けるというシーンは、女子戦ではごく日常的なこと。
プロペラ調整後に生田波美音が長嶋にアドバイスを求めているシーンは新鮮だった。支部は静岡と東京で、年も期もかなり離れているにもかかわらず、生田は躊躇なく長嶋に声をかけていたから、これは何も今節初めてというわけではないだろう。ようするに、これまで女子戦で一緒になったときにも言葉を交わしているはずで、それは長嶋の人柄があるからこそ、生田もハードルをあまり感じずに接することができているのだと思う。
岩崎芳美もまた、長嶋とは真剣な表情で長く話し込んでいる。後輩だけでなく先輩もまた、長嶋と接することで安心だったり癒しだったりを得ているということだろう。僕も長嶋とは言葉を交わすことは少なくなく、その向上心だったり責任感だったり真摯さだったりはよく知っている。それは選手仲間にとっては、期や支部を問わず、実に頼もしいものに違いないとはっきり感じる。
昨日今日の段階ではあるが、本体整備に早い時期に取り掛かったのは、キャリアの長い実績組が多いですね。節が進めば進むほど様相は変わってくるだろうと推測するが、本体に手をつけようという判断のスピードには、やはりキャリアと経験がものを言ってくるということだろう。若い選手はまだまだ引き出しを増やしている最中であって、誠意パいい奮闘していくなかで、やがて本体整備のスキルも身に着けていくはず。
もちろん、だからプロペラ調整ばかりしているというわけではなく、野田彩加がキャブレター調整に取り掛かっているのを見かけた。外回りの整備ではあるが、足に物足りなさを感じるなら、先輩や整備士さんの助言を受けつつ、なんでもやってみるべし、といったところか。野田は１Ｒで５着。キャブレター調整は２Ｒ終了後に速攻で始めていた。ほとんど休む間もなく、といった感じでありました。
さてさて２Ｒ。櫻本あゆみがまくり快勝。豪快な一撃は、櫻本の真骨頂である。納得の勝利であったのは間違いない。エンジン吊りの最中に松本晶恵に声をかけられた櫻本は、胸の前で小さくパチパチパチと拍手。さらに声をかけられてパチパチパチ。控えめだけど、はっきりとした喜びのアクション。かわいかったです！（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
