BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トップレディースに感服!の3日目前半ピットから

 あまりにもいつも通りで、ついスルーしそうになるのだが、舞台がSGであれ、GⅡの女子戦であれ、着々と自分の仕事をまっすぐこなしている遠藤エミはやっぱりさすがなのである。ギリギリまでのペラ調整。必要とあらば整備。ペラ調整を切り上げると係留所にダッシュ。試運転を走って、またペラ室へ。この人は昨年末にグランプリを走ったのである。こう言ってはナニだが、今回はぐっと相手は楽になっている。モーターもかなり良さそうな気配だ。しかし、やることも姿勢も懸命さも、この人は何も変わらない。彼女のなかでの緊張感やテンションには微妙な違いはあるかもしれないが、それは一見しただけではわからない。今日も9R1回乗りながら、早い時間から調整と試運転に駆けまわっているのだ。これがこの人の強さの源かと改めて感服する。

 守屋美穂も同様なのだ。前節では地区選とはいえ男女混合GⅠで優出しているのである。それは取材していないので断言はできないが、きっと今日と同じように、真摯に調整作業と試運転を繰り返していたのだろう。彼女もまた、SGのピットで見るのとそのふるまいは何も違わない。こうして一歩一歩、進化していったのだと実感する。違いがあるとすれば、後輩が多いこのシリーズでは守屋にアドバイスを求める若手がいることだろうか。SGでは男子先輩レーサーに怯まずアドバイスを求めている守屋が、今日は1Rで大敗した勝浦真帆に求められて助言を送っていた。男子トップクラスとも伍して戦う守屋の言葉は勝浦にとってまさに金言だろう。

 もちろん、平高奈菜も同様なのである。今日は本体整備も行なっていたが、SGで戦っているときと同様に、必死にパワーアップをはかっている。このメンバーに入ると、やはり貫禄は一枚も二枚も三枚も違うので、そういう意味で非常に目を引く存在なのだが、やっていること自体は何も特別なことがないので、「あ、平高だ」とスルーしてしまいそうになるわけである。結局、存在感は実に特別なものがあるわけで、このクラスが近年戦ってきた舞台のレベルの高さを改めて知るわけなのである。

 その意味では、平山智加も同様のはずなのだが、少し違うのはやや表情が冴えないことか。1Rは5着大敗で、後半10Rがにわかに一日早い勝負駆けとなってきた。1Rのレース後は、決して悔しさを露骨に見せるわけではないものの、憮然とも見える表情のなさで、リズムの悪さに苛立っているのではないかとも思われた。後半10Rで、どんな“表現”を見せてくれるのか、注目したい。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)