BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――暑さに負けず!

 今日も今日とて猛暑の津ボート。ピットも当然暑いのであります。いろいろな人の意見を総合すると、津のピットは特に暑いのではないか、と。風の通りがあまり良くはなく、天井も低めだから暑さがこもる。言われてみれば、先のオーシャン=児島や甲子園=尼崎より暑く感じるわけであります。突っ立ってるだけで汗がじわじわと湧いてくるし、そうなると勢い、動きも鈍くなるわけで。そんななか、ピット内を走って移動している選手たちには感服する次第。昨日、遅くまで試運転していた山下友貴は、その昨日も係留所まで駆けていたのだが、今日もペラ室を出ると係留所へダッシュ。試運転のあとは係留所からペラ室へとダッシュ。汗が噴き出すのも厭わず、わずかな時間でも短縮しようと走るわけである。

 なんと、日高逸子も走ってる! 山下の場合は4Rに出走があって、時間の余裕があまりないというのも理由だったかもしれないが、日高の場合は8R出走。時間はまだまだあるというのに、ピットを走る走る。年齢のことを強調するのは失礼かもしれないけど、グレートマザーは還暦を超えているのである。記者席の隣でぐうたらと舟券を買い散らかしている畠山と同い年なのである。以前からピットでの日高はきびきびと動き、よく走っているのを見かけてきたが、この暑さのなかでも変わらぬ姿勢、本当に頭が下がるわけである。うん、俺も暑い暑いと愚痴ってないで頑張ろう。

 そう、この猛暑の中でも選手たちは調整や試運転の手を緩めはしない。12R1回乗りの遠藤エミもいつも通りのペラ調整。同じく12R1回乗りの宇野弥生も早くからペラ室に出入りする姿を何度も見かけている。もちろん、後半に登場する選手のなかにはゆっくりと過ごしている選手もいるけれども、それは暑くてなまけてるわけでは当然ない。

 11R1回乗りの香川素子は本体を割っていた。部品交換なのか点検だけなのかは判然としなかったが、時間があるときに一度本体を割るというのはよくあることだ。あ、今節は息子の颯太からチルト2度のゲージを借りてきてるという話ですよね。ということは、それを試すための本体調整という意味もあるのだろうか。もちろん実際に2度で登場することがあるかどうかはわからないが、節間に一度は試してみるのは確実だろう。

 1R終了後には金田幸子がふたたび本体を外した。1Rはクランクシャフト交換で登場したが、6着大敗。6着自体を大敗と表現することもあるわけだが、5着からもちぎられていて、まさしく大敗だった。昨日も気配はかなり厳しく、クランクシャフトを換えても劇的な改善は見られなかった。今日は7Rにも出走と、あまり時間は残されていないのだが、それでもさらなる整備をしなければいられなかったというわけだ。まだレースでの汗も引かないうちに整備を始めた金田。7Rでの気配が気になるところだ。

 さて、10R1回乗りの守屋美穂が3R発売中に着水した。その前に守屋は、左側のカウルに装着されていた3番の艇番を外し、別のものに交換。これ、オーシャンで西山貴浩がやっていたやつではないか。西山がどういう真意で艇番を換えたかについては、オーシャンの記事で書いたのでぜひご参照いただきたいが、守屋も同じことをしたのである。尋ねてみると、艇番の隅がちょっと歪んでいたので「ちょっと嫌だな、と思って」だそうである。ようするに、その部分が抵抗になってしまいボートの進みに影響を与えるかも、と考えたのだ。それをすることでいきなり超抜の動きをするわけではない。しかし、少しでも障害になりそうなものは取り除きたい。そうしたこだわりの積み重ねが、守屋をトップレーサーたらしめているのだろう、と西山の時同様、やっぱり感服した次第である。守屋は話しているうちに、「あ、ここも抵抗になるかもしれませんね」と、カウルの噛み合わせの部分を指さした。このときは着水し、試運転をしようというときだったのでそのまま降りていったが、「時間があるときに調整しようかな」と言っていたので、今節中にやるのかもしれない。ともかく、レーサーの微細な部分へのこだわりには本当に感心させられるし、神は細部に宿るという言葉を改めて実感するわけである。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)