BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋オールスターTOPICS 2日目

今日のMVP
遅れてきたガバイ怪人』
4445宮地元輝(佐賀・100期)

 なんか、どこかしらの一般シリーズ企画『明日のブライトホース』みたいなノリだが、今日のMVPはこの男しかありえないでしょ。なんたって6R。4号艇ながら枠番の利を捨て、⑥松井繁~⑤下條雄太郎をどーぞどーぞで12365/4の6コース単騎ガマシを選択。選ぶだけなら誰でもできるが、そこから唯一のゼロ台コンマ07で一気に絞めまくり!! SGでは至難の業とされるアウトまくりを炸裂させた。
「スタートでちょっと様子を見た分だけ(伸びずに)馬場さんに迷惑をかけた。申し訳ないです」
 勝利者インタビューでは開口一番、勝った喜びよりも絞めてる途中での接触に顔を曇らせた。最後にもういちど謝罪したあたり、素朴にして実直な性格が見て取れる。

 後半10Rは5コースから2連続まくり勝ちとはならなかったが、狭いところに迷うことなく舳先を突っ込んで2着を取りきった。都合、6コースで1着~5コースで2着。どっちも勇敢な2連対だった。

 宮地元輝、昭和61年11月9日生まれ。登録番号4445と聞いて、何かを連想するファンも多いだろう。そう、4444桐生順平と1番違い。桐生が10月7日生まれだから、1カ月と2日だけ遅れて産声をあげた。
 これだけ誕生日が近いふたりだが、やまと学校に入ってからの経緯は“ケタチ”としか言いようがない。リーグ勝率7.37の首席・桐生に対し、宮地は4.84。数字的に落ちこぼれの部類だった。
 卒業しても、桐生はデビュー節の6走目であっさり水神祭。片や、宮地は“悲願”のデビュー初勝利を挙げるのに1年8カ月、152走目の1着だった。その3カ月ほど前に、100期のエリート桐生はデビュー初優出も果たしていた。まさにケタチ。

 だがしかし……デビューから16年が過ぎたいま、宮地はSGレーサー(GPシリーズ覇者)として同い年のスーパースターと最高峰の舞台で戦っている。ファン投票で選出されるSGオールスターで。しかも、6コース一撃まくり&5コースまくり差し2着で、桐生よりもド派手なパフォーマンスで観衆を魅了している。
『4856人、宮地マニアの皆さん、ありがとう。まさか俺がこんなところに来れるなんて、思ってもみなかった』
 開会式でのちょっぴり感動的な言葉からわずか2日。今や全国の宮地マニアは、軽く1万人を超えたに違いない。でもって最終日の最終レースの直後には、10万人を突破してるかも??(笑)

優勝は毒島vs石野!?

 今節のV争いの行方が見えてきた。
 当たる当たらないはともかく、SGの予選のどこかでそんな確信が降りてくる。それが初日だったり予選ラストの4日目だったりするのだが、今節はジャストなう。2日目にして、V戦線の輪郭が浮かび上がった。私なりの見解を押し付けておこう。

先頭グループ(ふたり)

★毒島 誠

 昨日のドリーム戦も含めて②22着の好発進。選手の実力的に当然なようだが、今節のブス君は「ミラクル2マーク」で2度も順位を大きく押し上げた。ドリーム戦はバック4番手から、先行する西山貴浩を叩いてからの割り差しで2番手に浮上。

 さらに、今日の3Rもバック5番手から、2マークはありえないような「小回り超鋭角まくり差し」であっという間に2番手に躍り出た。順位変動は【4・5番手⇒2・2着】だからして、予選ポイントに換算すると1周2マークだけで【+9点】(ドリームは7点⇒10点)も上乗せしたことになる。これはでかい。
 で、2マークでこんな神業を連発できたのは、乗り手の技量のみならず、出足・回り足も優勝できるくらい強力だとお伝えしていいだろう。まだ必勝の1号艇も残してるし、今節はピット離れもかなーり良さげだし、現状のブス君に死角らしい死角は見当たらない。2020年のチャレカVから2年半、7度目のSGタイトルがはっきり見えてきた。

★石野貴之

 相棒14号機のパワーは昨日の当欄で書いたとおり、トップ級のひとつと値踏みしている。で、今日の7Rは↑毒島との直接対決を大いに楽しみにしていたのだが、3コースからまさかのコンマ29ドカ遅れ! おそらくスリット全速を意識しすぎての“溜めすぎ”で、4カド土屋智則に一気に叩かれてしまった。一方、5コースの毒島は土屋の攻めにぴったり連動し、最内差しからあっという間に2着をもぎ取っている。石野にとっては激痛の直接対決か。

 ただ、まくられてからの石野14号機の追い上げは絶品の一語。換わり全速で2コース田頭実を引き波にハメつつ、外から襲い掛かる上野真之介にぴったり艇を合わせて完全ブロック。絶体絶命の展開から3着を取りきったのはでかい。ブス君同様、確勝の1号艇を残した身の上で、明日からシリーズリーダー争いを繰り広げることだろう。

 はい、こっからは時間の都合でレーサー名のみ羅列しま~す。悪しからず。

第二集団(6人)

 深谷知博、茅原悠紀、瓜生正義、篠崎元志、原田幸哉、池田浩二

第三集団(8人)

 平山智加、新開航、桐生順平、前田将太、濱野谷憲吾、山田康二、倉持莉々、上野真之介

 と、私なりにV確率が高いと思う順番に並べつつ、もうひとつ別次元のグループがあるのですな。

下克上・追い込み軍団(7人)

 宮地元輝、高田ひかる、椎名豊、山崎郡、下條雄太郎、村上遼、今垣光太郎

 この7人はスリット近辺の行き足~伸びが強力、または生粋のまくり怪獣だ。「いざ準優・優勝戦に乗ってしまえば、大外枠でも侮れないクセモノ軍団」とお伝えしておきます。(photos/シギー中尾、text/畠山)