２Ｒを終えて、６着に敗れてしまった山下友貴がボートを係留所につけるなり、ピットに駆け上がった。向かった先は寺田千恵のもと。寺田は５着で、山下が着いた係留所とは別の場所につけていた。このレース、１マークで山下と寺田は接触している。山下がやや失速したところ、差しを狙った寺田の進路と重なってしまったのだ。リプレイを見ると、最初軽くボート同士が接触した後、両者がバランスを崩してモーター同士が接触しているように見える。山下は自分の責任と感じ、寺田に詫びにいったのだろう。
その様子は死角に入っていて見えなかったが、４～６着がボートを陸に上げたあと、山下はさらに寺田のもとに向かっている。寺田は何度も何度もハンドルを切って何かを確認していたのだが、それを山下が見守っている格好。どうやら接触により何かトラブルがあったようだ。寺田はどこか呆然とした様子で、いったん控室に戻る途上でリプレイを確認もしている。結果的に、山下はステアリングバーを交換した模様で、そして寺田は本体整備を始めることとなった。どんな整備になるのかはわからなかったが、昨日の後半はいい動きをしていただけに、少々心配だ。
その２Ｒでは、岩崎芳美が２着。昨日までオール５着だった岩崎が、連に絡んできた。ただ、４カドの中村かなえにまくられての２着で、３コースから巧みに残したと言うべきではあるが、まだまだ物足りない部分はあるか。トップスタートを決めた中村に対し、なんとか先まくりを放とうとした、その上を行かれたわけだから、レース後の表情はさほど明るくはないのであった。エンジン吊りの間も、神妙な表情だった。開会式では岩崎工務店社長としておおいに盛り上げてくれたが、やはり水面では勝負師であり、陸の上でもその顔を貫く。だからなんとか１着を獲って、ウィナーインタビューで社長降臨を見せてほしい！
３Ｒ、昨日までオール６着だった金田幸子が３着。といっても、１号艇での３着だから、これはまったく喜べない。２コースの實森美祐にのぞかれる格好となり、なんとか先には回ったものの、實森に差され、２マークでは川野芽唯にも差されてしまっている。というわけで、レース後の金田はやっぱり天を仰ぎ、溜息をついた。なかなか上向かない機力に途方に暮れているような表情も見せている。何はともあれ６着ロードからは脱したのだから、これを前向きにとらえてほしいところなのだが、どうか。
その３Ｒで４カド発進だった高田ひかるは４着。スタートを行き切れなかったのが敗因だろう。昨日は涙のウィナーインタビューで感動を呼んだ高田が、このレース後はやや表情を暗くすることになってしまった。
そんな高田に声をかけたのが中谷朋子。この絡み、初めて見たなあ。このレースに近畿地区の選手は不在だったので、中谷は高田のエンジン吊りをヘルプ。その流れで声をかけたということだろうか。その会話は割と長く続き、最後に高田は微笑みを浮かべていた。先輩の言葉がこころをほぐしてくれたか。中谷は２Ｒ４着だったが、二人とも後半レースで巻き返しを！（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
