BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――2日目序盤の明と暗

 ヘルメットを脱ぐと、爽快な笑顔。仲間に囲まれて、両腕で力を思い切り込めたガッツポーズ。カウルのあたりをコーンと一発。再び両腕でガッツポーズをして、2~3度上下に腕を振る。原田幸哉、大喜び!
 2Rを差し切って勝った原田、こう言っては何だが、2日目の予選のひとつのレースだというのに、なぜか歓喜爆発なのだ。いい手応えがあったのか、それとも何か思うところがあったのか。そんな原田を見ながら九州地区の仲間たちはニッコニコ。西山貴浩がぽんと原田の腰のあたりを叩いて笑った。まあ、何であれ、大喜びしている様子を目撃するのは楽しいものです。昨日の5着を巻き返したかたちになっただけに、これで勢いに乗っていきたいところだろう。

 1Rを逃げた高田ひかるも、ホッとしたような表情を浮かべたあと、柔らかく微笑んだ。昨日は見せ場のない6着大敗で、その後に整備と試運転に明け暮れ、結局リング1本交換で臨んだ1号艇。ここで負けたら後がなくなるだけに、是が非でも勝っておきたい白カポックだった。そんな高田を見て、井口佳典も優しい笑顔を見せていた。昨日の高田の労苦を見ていただろうから、井口も安堵した部分があったのだろう。高田はこの1回乗りで、すぐさま試運転用の艇番と艇旗が取り付けられた。持ち味の伸びを引き出すべく、今日もたっぷりと汗を流すことになるはずだ。

 セット交換で1Rに登場した長田頼宗は2着。レース後は中野次郎がわりと深刻な表情で話しかけていた。まあ、中野が後輩たちとレース後や試運転後に話している様子って、なぜかそんなふうに見えるんだよなあ。ただ、長田にも特に笑顔はなく、2着は獲れたものの、まだまだ上積みが欲しいところか。いったん控室に消えた後、かなり早くピットに再度あらわれており、調整のピッチは緩む様子はない。

 このレース後には、すぐさま今垣光太郎がボートを整備室に持ち込んでいる。福岡の整備室はスペースがあるので、ボートごと運び入れて整備に取り組む選手は少なくないが、レース後のボートをカポックも着たままで運び込むのはなかなか見ない光景。だから今垣はカポックを脱いで着替えを終えると速攻で整備室へ。今日は1回乗りということもあって、じっくりとモーターと向き合う構えだろう。それにしても、こうした素早い動きがほんとに今垣らしいというか、今節最年長ながら若々しさを発揮するゆえんなのであろう。

 1R組では、西山貴浩と土屋智則がレース後、ボート交換をしている。レース中に同期同士で接触したのだ。土屋との絡みでは、彼らしいひょうきんぶりで土屋や報道陣を笑わせるようなところもあったのだが、その後、一人でぼーっと突っ立っていたら西山がやって来て、「エースボートが交換になっちゃいました……」と力弱く呟くのだった。そう、西山が引いていた133番艇は、勝率6・16、2連対率45%と高率を残している好艇。我々が普段考えている以上にボートは足色にも影響を与えるもので、だからこの交換はなかなか手痛いものなのだ。後半の9R1号艇は何としても逃げたいところだけに、気合で乗り切ってもらいたい。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)