BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

区切りの圧勝

10R
①平山智加(香川) 06
②向井美鈴(山口)  11
③樋口由加里(岡山)10
④山川美由紀(香川)08
⑤魚谷香織(福岡)  10
⑥宇野弥生(愛知)  11

 格上の平山がインから堂々押しきった。さすがの強さでデビュー1000勝到達、おめでとう! あまりの圧勝で正味のパワー鑑定は難しいが、日に日にゾーンの真ん中に寄っている印象あり。2日目あたりは「中堅ありなし」と見積もっていたが、今日はスリットからの伸び返しも軽快で、ファイナルでも十分に勝ち負けできる雰囲気には仕上がった。

 ただ、昨日からイン圧勝×2につき、何艇かの引き波を超えるような展開になったときにどこまで力強く出て行くか、そのあたりは未知数でもある。まあ、それもこれも明日の枠番次第。リアルタイムで書いているので、明日のカポックの色が決してからいろいろ考えるとしよう。

 さてさて、準優らしく、2着争いはすったもんだの大混戦となった。まず、スリット~1マークの攻防で、もっとも惜しかったのは4カドの山川だ。早起こしの樋口がかなりアジャストしたため、スリット隊形は見た目以上に山川が突出。猛禽類の本質ゆえそのまま伸びなり絞りはじめたが、1マーク手前ではたと進軍がストップ。

 おそらく、強い追い風での絞めまくりは無理筋と思い直したか。半端に絞め込んでから減速した瞬間、内から伸び返した樋口が全速の握りマイで進撃し、それで山川は完全に行き場を失った。非常に難しい判断だと思うが、まくるか差すか、どちらかに決めて攻めるべきだっただろう。

 無理気味にまくった樋口は真横に流れ、バック直線は山川以外の4艇がほぼ横並びの大接戦! アウト差し宇野の勢いがなかなかにゴキゲンだったが、外から伸びる樋口も上々。魚谷と向井も含めた激闘は最終ターンマークまでもつれたが、結局は1マークで自力で攻めた樋口がファイナルの切符をもぎ取った。6着の山川も含めて機力の差はほとんどなく、ほんのわずかだけ樋口が強めに見えたのだがどうだろう。

鬼足はどっち?

11R
①渡邉優美(福岡) 10
②遠藤エミ(滋賀)    11
③清埜翔子(埼玉)    17
④廣中智紗衣(東京)18
⑤日高逸子(福岡)    16
⑥喜井つかさ(岡山)12

 今節の津水面らしく、2コースのエミが追い風を利してぶっ差した。まず、渡邉のインモンキーがターンマークをかなり外したしまったのが勝因のひとつ。外から誰かが覗くような隊形ではなかったため、おそらく遠藤のジカまくりを警戒しすぎたか。強めの握りマイは追い風で外へと流れ、しっかり落として回った遠藤が天性のターンスピードで先頭に躍り出た。

 差したエミと、逃げ損じつつもすぐに態勢を立て直した優美。準優として語るべきは両者のみ。ターンマークごとに3番手をぐんぐん引き離し、優出の紛れがまったくないレースだった。

 とりわけ、レース足が輝いていたのは優美の方だ。一撃で差されたのにゾンビのごとく追撃し、「まつかのエミ抜きまであるのか?」と思わせるほどの鬼気迫る回り足! 1マークはややターンミスとして、その後の走りっぷりはファイナルでもトップ級と思わせる足色だった。たとえば、エミを据え置きの【出A・直A】とするなら、優美のそれは【出S・直A】にする必要がある。そう思えるほどの鬼足だった。

テクニカル!

12R
①川野芽唯(福岡) 12
②藤原菜希(東京) 11
③三浦永理(静岡) 09
④寺田千恵(岡山) 11
⑤小芦るり華(佐賀)13
⑥長嶋万記(静岡) 15

『テクニカルエリー』があの11年前の暮れを彷彿させるスピーディなまくり差しで突き抜けた。昨日に続く2日連続の3コース圧勝でもあるな。うーーーん、私は軽視してしまったが、さすがの初代女王さま!

 もっとも悔しい負けを喫したのは藤原だろう。2コースからスリット直前に上体を上げてアジャストしながら、それでもスリットラインを制覇。同体だった川野を一瞬にして半艇身ほど置き去りにし、1マークのはるか手前で得意とするジカまくりの態勢が整った。

 だがしかし、10Rの山川同様、厄介な追い風が気になったか。それとも川野の鬼気迫る伸び返しに怯んだか。いざまくらんという瞬間、レバーを放って差しにチェンジ。スリットを制圧した2コースあるあるなのだが、「覗いて握って寄って放って差す」は多大なロスを生み出す。常套手段である「直進して外を止めて差す」より、はるかに遠回りかつリスキーな差しハンドルになってしまった。

 そして、藤原のそんな選択ミスを、三浦は瞬時に的確にとがめた。藤原がアジャストした瞬間に、目の覚めるようなツケマイ一撃! おそらく三浦の視野にはイン川野の姿はほとんど入っていないはずなのだが、藤原の挙動から「隙間が生まれるはず」と咄嗟に判断したのではないか。その迷いのないツケマイは人気のふたりのど真ん中を切り裂き、そのまま明日の3号艇!へと突っ走った。
「①をまくるつもりで行ったらあんな形になって……たまたまです」
 謙虚なエリーは静かに1マークを振り返ったが、「あんな形になって」も慌てず騒がずアジャストせず、果敢に握ったあたりがテクニカルと呼ばれる所以だろう。

 あまりに切れ味の鋭いまくり差しは、逆にインコース川野にとって幸いしたか。深手を負うことなくすぐに態勢を立て直し、あとは後続の勝負手を許さない走りでファイナル4号艇を手にした。1号艇を獲れなかった後悔は残るだろうが、8年前の暮れに4代目の女王になったカポックも青色だった。ひょんな偶然だが【赤の三浦・青の川野】が、夏の女王決定戦でも不気味な輝きを放つことだろう。
 さて……3つの準優が終わって、ファイナル1号艇を勝ち取ったのは、大一番で1000勝を決め込んだ平山智加だった。持ってる女は違う、と言うべきか。3戦連続のイン戦で1001勝目を挙げる確率が昨日までより大幅にアップした。と、言いきっていいだろう。ただ、雨予報や今日より強くなると予想されている風、トップ級とは言いきれない機力などなど、たとえ「平山の1号艇」であっても盤石とは呼べない、と私は勝手に勘ぐっている。優勝戦のメンバーはこうだ。

12R優勝戦
①平山智加(香川)
②遠藤エミ(滋賀)
③三浦永理(静岡)
④川野芽唯(福岡)
⑤渡邉優美(福岡)
⑥樋口ゆかり(岡山)

(photos/シギー中尾、text/畠山)