BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝って笑えず

 8RでGⅠ初勝利を挙げた前田翔は、前半記事に記した原田才一郎同様、水面際で記念撮影を挙行している。参加したのはもちろん篤哉、滉の前田兄弟。翔がプレートをもって、両脇を篤哉と滉が固める……と思いきや、最初にプレートをもって真ん中に立ったのは滉! だったらしい。悪戯っぽく3人が笑って、滉と翔がポジションチェンジをしたわけだが……集まったカメラマン、そしてワタシも、だーれも気づいてません!
「えっ、本当にわからなかったんですか!?」と篤哉。そりゃそうだってば! 前検から数えて4日目の今日、ワタシはまだ、どっちが滉でどっちが翔なのか確信が持てていません。「えーっ、ぜんぜん違うのに!」って、そりゃあ子供のころから一緒に暮らしてきたあなたはそうでしょうけどね。
 というわけで、写真を掲載してなお、本当に真ん中が翔なのか確信できないわけですが(笑)、ともかくおめでとう! これで3兄弟全員がGⅠで白星を手にしたことになるわけです。次は当然、SGでこの光景を!

 前半は波乱の気配が漂っていた3日目も、後半に入ってまたまたイン優勢の流れになってきた。そんななかで、10Rも仲谷颯仁が逃げ切り1着。しかし、レース後の仲谷はとにかく疲労の色が濃かった。なにしろピット離れで遅れ、いったんは尾上雅也に絞められているのだ。噴かしてなんとかインは奪い返したが、まさに薄氷の勝利といったところ。ドリーム戦でもバナレで遅れて6コースに出ている仲谷、まさか1号艇でも同じ症状が出てしまうとは。勝ったとはいえ、冷や汗ものの表情となるのは当然といったところ。明日もさらなる機力向上に忙しくなりそうだ。

 9Rも定松勇樹が1着だが、仲谷同様、定松は会心の表情にはまったくなっていないのであった。今日の前半、定松は本体整備をしており、パワーに不満があるのは明らか。それがどこまで盛り返せたのかはともかく、やっとの思いで手にした1着だったということだろう。とにもかくにも、これで明日につながった。さらなる上積みを求めて、明日も走り回る一日となるだろう。

 2着の岡部大輝も、劣勢な機力に苦しんできた一人だが、今日は2着2本と巻き返した。まあ、1Rは1号艇での2着だから喜べるはずもないのだが、この9R後には笑顔が見えていた。少しは光明が見えてきたということだろうか。何より、出迎えた栗城匠がかなり嬉しそうに微笑んでいたのが印象的。栗城といえば、“笑わない男”として知られる(?)。快進撃を見せた20年の3Daysバトルトーナメントでもほぼ笑顔がなかった栗城なのに、先輩の健闘には笑顔を見せるという。初のヤングダービーで苦戦する岡部を心配していたということだろう。

 一方、意気上がらないのは黒野元基だ。懸命に整備調整を続けながらも、上向かない機力。競って非力なのは明らかで、愛知支部の仲間たちも溜息をつくようなところがあった。レース後、速攻で整備室に向かった黒野は、ギヤケースの調整。それを中村泰平や前田篤哉が心配そうに見守っているのだった。

 そうそう、6Rで落水失格となってしまった宮之原輝紀だが、「身体は大丈夫です!」と元気に声をかけてくれた。減点は痛いが、無事だったのは何より。「ショックですけど……頑張ります!」と12Rの準備に駆けていくのであった。12Rは6コースから1着! 勝負駆け、頑張れ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)