BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――いつも通り、それとも

 峰竜太がいるSGのピット。1年10カ月前までは至極当たり前、常に優勝候補としてこの舞台にいたわけだけれども、やはりこのブランク、さらに経緯なども考えれば、やはり感慨深く見えようというもの。峰竜太がいなくても、SGは何事もなく行なわれ、おおいに盛り上がり、ドラマを生んできた。まあこの人はちょいちょい不在となる期間があったりしたわけだけれども(笑)、やはり今回は特別に「帰ってきた」という感覚が強く襲ってくる。
 峰自身は「ここで戦っていたわけだし、いつもと変わりない」と会見で言っていたけれども、しかしやはり高揚感があるように見える。前検航走後に外回りの調整をしている姿など、もちろんいつもSGで見てきた姿であり、そしてまた“いつもと変わりない”という言葉通りにも見えるけれども、いるべき場所に戻ってきたという思いがないわけがない、と思う。一節間、帰ってきた峰竜太を堪能させてもらおう。

 峰が戻ってきたと言っても、他の選手にしても何か変化があるわけでない。強力なライバルが一人増えたのはたしかだが、この舞台では全員が強大な敵である。ただただ己の力を出し切り、相棒の良さを引き出し切り、という思いは変わらない。ドリーム会見を何人か見たが、淡々と今日の手応えを語るのみ。いつも通りの会見、である。あ、いつも通りじゃないとすると、池田浩二のコメントがかなりポジティブだったな。会見では泣きのコメントを聞くことが多い池田だが(会見だけじゃないか)、今日ははっきりと「良い」という意味の言葉を残している。池田68号機は2節前に堀之内紀代子が乗っているので、ペラははっきりと叩き変えてくるだろうが、自身のスタイルと違っているのに好感触だったということは、かなりの手応えを得ていると考えてもいいだろう。

 ちなみに、ドリーム組のなかではモーターの数字が最も低い羽野直也も、前検の手応えは上々だったようだ。6号艇だからもちろん厳しい戦いにはなるわけだが、表情がやけに明るかったから、侮れないかも!? そういえば、福岡メモリアルは登番最若手で、かなり忙しそうな前検日だった。その後に話を聞いたら、「もうこりごりです」と笑っていたものだった。今回は下に4人もいて、その分、楽もできているから、リラックスできているのかも、ですね。

 一方、どう見ても厳しい前検だったようなのは宮地元輝だ。試運転をいったん切り上げてピットにあがってきたとき、ちょっとだけ泣き顔にも見える苦笑を浮かべながら整備室に飛び込み、整備士さんに声をかけていたので、おそらく感触が悪かったのだろうと推測された。そして、前検航走を終えると、さっそく本体を分解。整備士さんとの会話は、本体整備の相談をしていたのだろうと思われるわけだ。どんな整備だったのか、実際にどんな感触だったのかは、話ができなかったのでわからないが、最も忙しそうな、というか、最も焦りを感じさせる動きを見せていたのが宮地だったのは間違いないと思う。

 ほかに本体整備は赤岩善生。まあ、これはルーティン。よほどの好感触ならともかく、前検からやれる整備はとことんやり尽くすのが赤岩流だ。まして蒲郡は地元中の地元。蒲郡の看板を張っていると自任しているのだから、調整も手の内である。不安あっての本体整備とは決めつけられないし、観察した範囲ではそんな雰囲気もない。

 あとは石野貴之も本体をバラしていて、これは少々気になるところ。今年のSGでは、前検ではまずペラをとことん叩く姿を多く目にしてきただけに、本体整備というのはやや異質な動きと見えるわけである。まずは明日の気配をしっかり確認したい。

 SG初出場の吉田裕平と高橋竜矢だが、吉田のほうは少々緊張気味と見える。まあ、初SGが地元SG、それも当然か。ヤングダービーでは同世代の面々と明るくはしゃいでいたりもするが、もちろんそんな様子もない。明日は1R1号艇! 緊張する場面だが、怯まず頑張れ! 高橋のほうも、やはりこれだけの強豪たちと同じ舞台に立って、いろいろと思うところはありそうだが、吉田よりはにこやかな表情も見えるし、そこまで平常心を欠いているようには見えない。明日は2R1号艇。しかし6号艇には深川真二。それでも強い気持ちで逃げたい、と言ってくれたので、力強い走りを期待しよう。

 あと、SG2節目の渡邉優美は、オールスターよりは肩の力が抜けているように見えた。すれ違いざまに笑顔で挨拶してくれたので、「水神祭!」と返したら、やはり笑顔で「頑張ります!」。そう、オールスターでは初勝利をあげられず、最終日が終わって「ダービーでリベンジします」と宣言して帰っていったのである。有言実行、期待してますよ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)