BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――スマイル!

 1Rが締め切られて、係留所からも選手の姿が消えた、ちょうどそのとき、宮地元輝が係留所へと降りていくのが見えた。モーターを動かすことがもうできないタイミングでどうしたのだろう、と見ていたら、おもむろに水面に手をズボッ。
「冷たっ!」
 そりゃそうでしょ。昨日からやや暖かい三国ではあるが、晩秋は晩秋。しかも朝から気温が下がる一方の今日なのだ。
「水温も大事!」
 まあ、そりゃそうだろうけど……。
 それを見ていた前田将太。
「12℃って書いてあるよ」
 そうなのです、装着場のモニターには終始、風向きや気温、湿度、さらには水温が表示されているのです。それを見たほうが早かったか。わざわざ手を水につけなくとも(笑)。でも、そんな宮地元輝が最高です!

 まあ実際、今日は調整が難しそうな気候ではある。これを書いていたら雨が降ってきたから、昨日より湿度はアップしている。気温が下降していて、今日は朝が最高気温で夕方まで下がっていくという予報。昨日は20℃ほどまで気温は上がっていたことを考えれば、モーターの動きに何らかの影響があるに違いないと思える、4日目である。おそらくだが、宮地と前田はそのあたりの会話をしていたのではないかな。それで宮地が水温を確かめに行ったという。彼らに限らず、選手たちは気温や湿度や気圧、さらには予報とにらめっこしつつ、調整の方向性を思案しているはずだ。

 1R、西橋奈未が3コースまくり快勝! イン信頼度抜群の田口節子を沈める、鮮やかなツケマイであった。レース後はもちろん笑顔満開だったのだが、エンジン吊りに参加していた西村拓也や上條暢嵩もニコニコ顔で、男子勢も手放しで称えるナイスショットだったというわけだ。

 一方、まくられた田口もレース後は笑顔。ただし、壮大な苦笑いというやつで、あれだけ綺麗にまくられたらもう、笑うしかないといった雰囲気だった。なにしろ、装着場のモニターで見ていた茅原悠紀が悲鳴をあげたほど、一発でまくられてしまったのだ。その瞬間の悔しさは想像できるし、それを苦笑に変換しなければいられないというのもよくわかる。

 あと、エンジン吊りを終え、着替えも済ませた守屋美穂が装着場のモニターでリプレイチェック。1マークが映し出されると、ターンに合わせて体が左側に思い切り傾いてました(笑)。隣で見ていた西村拓也も、つられたのか体が斜めに(笑)。守屋はそれほどのめり込んで見ていたということなのだろうが、すみません、ちょっと笑ってしまいました。守屋もニシタクもかわいかったです(笑)。

 2Rでは、山田康二が差し切り快勝。レース後にヘルメットを脱ぐと、爽快な笑顔があらわれた。さらに峰竜太に話しかけられて、さらに笑顔。師匠の祝福の言葉はとびきり嬉しいものであろう。これで後半に勝負駆けがつながったわけだが、すなわちグランプリへの道がつながったということでもある。そりゃあ笑みも浮かぼうというもので、気分よく後半の勝負に向かうことができそうだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)