BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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1回戦ピット!前半戦

●4R
勝ち上がり:①深谷知博 ②田中信一郎 ③山田康二

 ピットにあがるや、ガッツポーズ! 田中信一郎だ。2着で勝ち上がって、歓喜爆発!……かというとそうでもなくて、どちらかというとおどけてみせた、といった振る舞いなのであった。出迎えた松井繁や、近くにいた茅原悠紀が爆笑していたから、ね。もちろん勝ち上がりが嬉しいのは間違いないが、やはりある種のお祭りレースであり、独特の勝ち上がり方式であるがゆえ、それに乗ったようなアクションを見せたということだろう。田中さん、粋です!

 勝った深谷知博は、やや苦笑い強めのレース後。3コースの磯部誠にのぞかれて、かなり危うい隊形を逃げ切った格好だったから、ギリギリセーフ、ってな感覚だったか。それでも1着での勝ち上がりは準々決勝の内枠が保証されているわけだから、大きい。

 で、絶好の隊形かと思われた磯部は、まさかの大敗でやや青ざめた表情なのだった。1着も見えていたはずだから、まさに天国と地獄。通常のシリーズなら、次に巻き返せばいいわけだが、これで勝ち上がりの権利を失ったわけだから、痛すぎる敗戦なのである。いきなりトーナメントの明暗クッキリ、の4Rなのであった。

●5R
勝ち上がり:①土屋智則 ②上條暢嵩 ④今垣光太郎

 エース機で注目される上條暢嵩は1マーク差し漏れて大ピンチの格好。それでも猛然と追い上げてなんとか2着に滑り込んだ。やはりパワーはかなりのもの。それでも2マークはかなり激しい展開となっており、あまり表情なく戻ってきた上條はすぐに競った前田将太らに「すみません!」と頭を下げて回ったのだった。もっとも後輩の勝ち上がりに松井や田中は笑顔だったのだから、まずはナイス2着!

 3着の今垣光太郎は、いったんは2番手を走ったものの、上條に逆転されている。これはやはりパワー差であろう。というわけで、勝ち上がりとなったものの、今垣の表情は冴えず。まずは準々決勝に進んだという事実よりも、機力の足りなさに思いが向いているようであった。

 土屋智則はスタートをびちっと決めての逃げ切り。上條のパワーを警戒して、きっちり踏み込んだ格好で、これはまさしく快勝! 充実した表情が印象的なのであった。

●6R
勝ち上がり:①片岡雅裕 ②桐生順平 ③平尾崇典

 ここは勝ち上がり組も敗退組も、特にアクションらしいアクションはないのであった。勝った片岡雅裕にせよ、2着の桐生順平にせよ、3着の平尾崇典にせよ、レース後にあまり感情をあらわにするほうではない。粛々とエンジン吊りを終え、粛々と控室へ戻っていく、そんなタイプだ。片岡と桐生については特に、貫禄といったものが見えてきた。

 なにしろ敗れた新開航、高橋竜矢、吉田裕平はヤング世代。先輩たちが若者にそれこそ貫禄の違いを見せつけたような結果となっている。若手に一矢報いてほしかった……結果を見ればついそんなふうに思ってしまう。

●7R
勝ち上がり:①羽野直也 ②濱野谷憲吾 ③関浩哉

 こちらも羽野直也、濱野谷憲吾は格上の走りを見せたという印象で、羽野に少々の安堵感、濱野谷に若々しい笑みは見えたものの、やはり感情を表に出すようなレース後ではなかった。そう、濱野谷は本当に若々しい。

 悔しそうな表情を見せたのは遠藤エミだ。1周バックでは2番手、2マークで関浩哉の先マイを交わす間に3番手とはなったものの、そこからは関の猛追を受けながらも勝ち上がり圏は守っていたのだ。それが3周2マーク、最後の最後で関に逆転を許してしまう。自然と顔をしかめてしまうのも致し方ないところである。

 逆転した関はといえば、飄々としたレース後ではあったが、遠藤や他の対戦相手へとあいさつをして回る様子には充実感も漂っていたのであった。勝ち上がりの権利を最後にもぎ取ったことへの安堵の思いもあっただろうか。ナイスレースでした!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)