BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

強い人が強い!の3日目後半ピットから

 B級選手も少なからず出場するこの大会、歴代覇者には錚々たる面々が名を連ねているように、なんだかんだで上位級の選手たちが活躍する傾向が強い。8Rなど、終わってみれば三浦永理、松本晶恵、遠藤エミのクイーンズクライマックス覇者がワンツースリーで3連単②④⑥。1号艇の深尾巴恵も粘ったが、道中で強豪勢に捌かれてしまっている。

 それにしても、遠藤のピットが上がってきているように見えるのは気のせいか。2日目連勝と好成績で迎えた3日目、試金石となる6号艇でしっかりと3着。今日は小野生奈、竹井奈美が大きな着を獲ったこともあって、その時点で得点率トップに躍り出ている。レース後は、それでも決して満足することなくペラ調整に没頭し、10R発売中にはふたたびボートを下ろして試運転にも励んでいる。同じくびわこ開催だった18年大会でトップ通過しながら準優Fという痛恨があった遠藤。その借りをきっちり返さんとばかりに、着々と仕上げを進める。明日は2号艇と4号艇だから、ポイントを上積みするチャンス。間違いなく得点率トップを見据えて、万全を期す構えだろう。

 9Rでは守屋美穂が2号艇でジカまくり快勝。昨日6号艇で4着に敗れた分はきっちり取り返したと言えるだろう。ピットに帰還した守屋は、エンジン吊りも、装備をほどく間も(びわこはカポック脱ぎ場が装着場の一角にあるので、様子がうかがえる)、粛々淡々。勝って当然とは言わないけれども、なすべき仕事を遺漏なくこなしたような、そんな雰囲気なのであった。そこに漂うのはまさしく貫禄。格上の風格。やはりここではモノが違うのだという感覚を改めて強く受けるのであった。

 6号艇から2着となった平山智加もまた、堂々たる連絡み。2番手を必死で確保しようとする川井萌を、余裕とまでは言い過ぎかもしれないが、しっかりと捌き切っている。まさに力量の差を見せつけるかのようなコーナーワーク。まだ勝ち星こそないけれども、着をまとめているあたりはさすがとしか言いようがない。

 その平山に競り負けた川井萌は、着替えなどを終えると三浦永理とともに装着場のモニター前に陣取った。しばらくするとリプレイが始まり、三浦は時に身振りを加えながら、川井に言葉を駆け続けていた。小さくうなずきながら、視線はモニターに向けつつ、三浦の言葉に耳を傾ける川井。その様子はまさしく先輩に講義を受ける生徒といった趣き。展示から戻ってきた佐々木裕美もカポック姿のまま途中から加わって、リプレイに見入っていたのであった。こうして若手は一歩一歩、前に進んでいくということだ。

 さてさて、力量上位といえども、思うにまかせぬ結果となってしまう場合だってもちろんある。10R1号艇は高田ひかる。しかしながら、前半5Rで痛恨のフライングを喫してしまい、こうなるとなかなか踏み込めないのは自明ではある。コンマ26と立ち遅れて、大瀧明日香のジカまくりをあっさりと許し4着。レース後の浮かない顔がなかなかに痛々しく映った。11Rの實森美祐もやはり5Rの集団Fのひとりで、後半はスタートで後手。ドリーム組2人が痛恨の3日目となってしまっている。

 そして、機力劣勢に苦しんでいる田口節子。1R1号艇では上田紗奈に差し切りを決められ、7Rでは6着大敗。クイーンズクライマックス連覇の超実力者が、3日目にして予選突破絶望となってしまった。やっぱりボートレースもモータースポーツなのだなと改めて実感する次第。といっても、勝負を投げてしまうわけがなく、7R後は本体整備を行なっている。大きな部品の交換もあるかもしれず(直前情報のご確認を!)、その執念もまた強豪であることの証しであろう。整備後はさらにプロペラ室にこもっており、残り3日の間に田口らしいレースを見せる可能性は充分にある。明日は10R1回乗りで、さらなる調整の時間もたっぷりあるだけに、ここまで着順だけで軽視するのは絶対に禁物!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)