BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――猛暑の試運転

 初日ということもあるのだろう、後半の時間帯は係留所に試運転用の艇旗艇番を付けたボートが鈴なりであった。ざっとネームプレートを眺め渡すと、やはりおおむね初日の成績が一息だった選手たちだ。たとえば6Rで5コースから握ったが大きく流れた金田幸子。うねりに乗って流れたか、それとも機力やペラの仕上がりによるものか、水面状況を考えれば難しいところではあるが、いずれにしてもこの水面でしっかり握れる状態にしなければレースは覚束ない。ということで、汗をかきかき、試運転に励むというわけである。ちなみに、プロペラ調整所は装着場の隅にある屋外を使用している金田。扇風機や冷風機が設置されているとはいえ、試運転から上がっての屋外での調整は本当に暑そうだ。しっかり水分摂ってくださいね。

 好素性機であるはずの樋口由加里も試運転組の一人。4Rは競り負けての4着であった。樋口は金田と同支部だから、足合わせのパートナーともなっていた。樋口といえば、装着場ではいっつも駆け足。選手の中でもひときわ小柄な樋口が、ちゃっちゃと走っている姿は本当によく目につくのである。暑さにも負けず、今日も走る樋口由加里!

 GⅠ初陣は6コース5着だった平川香織も試運転組だ。女子戦では若手が遅くまで試運転を続けるというのはお馴染みの光景。というわけで、7R2着だった上田紗奈もレース後すぐにボートを下ろしたりしている。平川はそれよりも早くから試運転を始めており、10R発売中に走ったあともボートを上げなかった。可能な限り水面に出ていく腹積もりだろう。

 若手といえば、刑部亜里紗は後半には水面にいなかった。どこにいたかといえば、整備室だ。本体整備を行なっていたのだ。刑部のモーター28号機は2連対率45%。福岡の勝率上位5基はナンバープレートがピンク色なのだが、28号機はまさにそのピンクモーターだ。しかし5Rは6着大敗。もともと三島敬一郎もそれほど高く評価しているモーターではなかった。やはり動き一息ということか。数字があるモーターは本体を割るのに躊躇するという話もあるけれども、刑部は動いた。活を入れたことで数字通りの動きになるのかどうか。

 本体整備はほかに中谷朋子。前検日の昨日も本体を割っていて、前半レースにはピストンリング2本交換で登場。1号艇だった後半も同じくリング2本交換(元に戻した可能性もある)、これが5着大敗という結果に終わってしまっている。そこでさらに整備、ということか。あくまで整備回りではあるが、昨日今日と最も忙しく動いているのは中谷朋子である。

 あと、小野桜も本体を割っていた。前節優勝モーターの70号機だが、小野には合っていない仕上がりだったか。関係ないけど、20数年前、畠山と多摩川に打ちに行ったら、たまたま彼女の「新人選手紹介セレモニー」が行なわれていて(東京出身なので当時は当然東京支部)、かぶりつきで拍手を送ったものでした。そのときはもちろん小野桜でありまして、その頃を思い出して懐かしさに浸ってしまったのでありました。

 ところで、土屋実沙希がやけにいろんな選手と絡んでいるのを目にするわけである。10R、大瀧明日香が2着であがってきて、エンジン吊りを終えてもその場で細川裕子と話し込んだ。そこに土屋も参戦。大瀧が着替えのため離脱した後も細川と話し込んでいた。かと思うと、屋外のプロペラ調整所で津田裕絵と話し込んでいて、おもむろに立ち上がると肩を並べて整備室へ。その後は上田紗奈とかなり長く会話を交わしているのを目にしている。上田は7Rで不良航法をとられているのだが、そのことについて慰めているようにも見えていた。大瀧や細川は同地区だが、津田や上田は支部も期も離れているわけである。姉御肌というのとは違うかもしれないが、精神的支えになるようなタイプなのかも!? そういえば昨年の浜名湖レディースvsルーキーズでは、地元とはいえ紅組団長でしたね。彼女がデビューした直後のこと、JLCの番組に一緒に出たことがあったのだが、あのときは実におとなしいお嬢さんだった。その頃を思い出して、やはり懐かしさに浸ったワタクシであります。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)