BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――55人!

 チャレンジカップは通常の52人SGより参加選手が多い。SG34人+GⅡ20人=54人だったわけだが、今年からGⅡが21人となって、総勢55人の出場である。3人増えた、と言ってしまえばたいしたことはないようにも感じるが、やっぱり人口密度が高くなっているのを実感しますね。特に整備室。もともとそこまで広くはない下関の整備室、前検航走を終えた選手が次々と作業を始めると、他にも出入りする選手がいたりするので、ものすごく幼稚な言い方をすると「わー、選手がいっぱい」と感じるのであります。そのいずれもが、今年のグランプリ&クイーンズクライマックス戦線の主役たちだから、やっぱり豪華。なんだかワクワクしてきた次第であります。

 そんななかで、どうしたって注目してしまうのはやはり白井英治と寺田祥である。地元という点では、GⅡのほうに向井美鈴もいるのだが、優勝しても現在の実質12位である寺田千恵に届かないとなると、「優勝条件でグランプリ!」という地元2人にどうしたって目が向くというもの。前検から気合パンパンで臨むであろう、などと先入観を抱いたりすれば、なおさらふたりの動向が気になるわけである。

 で、その白井と寺田だが、前検航走後はわりと余裕の振る舞いだったのが少々意外であった。特に白井はあっさりとモーターを格納して通勤着に着替えており、GⅡ組の航走検査が始まる頃には検査室のソファでのんびりしているところを見かけたりもしたのだった。寺田も特別な作業をしている様子は見られなかった。ということは、だ。前検ではある程度の手応えを得られたのではないか、と勘繰ることもできる。白井は2連対率が高いモーターだし、寺田も39%だから数字は上々。いずれにしても、前検日から大慌てで調整に取り組まなくてよさそうなのは、ポジティブなことであろう。

 整備室を見渡した限りでは、早くも本体を割るような大きい整備をしている選手は見当たらなかった。地元での評判では、機力差はそこまで大きくないというものが聞こえてきていて、またSG組は上位34基が割り当てられているわけだから、極端に厳しい感触という選手がいなかった可能性も充分にある。赤岩善生も、ステアリングバーの交換をしていて、本体は後回しになっていたようだが……これからやることになるのかな。なんたって、あの菅章哉が乗ったモーターを引いたのである。スタイルがまるで違うわけだから、ここから作業に忙殺される可能性はあるかと思われた。

 いわゆる外回りの調整を行なっている選手は多かった。下関の整備室では、ギヤケース調整のテーブルが装着場から見ていちばん手前にある。ここは窓が連なっているので、けっこう目の前で調整の様子を見ることになるのだが(選手がこちらに気づくとけっこう気まずかったりもするのだが)、航走を終えた選手が次々とここに陣取るのが見て取れた。SGドリーム組=前検1班の馬場貴也もすぐにここにやって来たし、GⅡドリーム組=前検2班の三浦永理も同様だった。

 また、峰竜太や瓜生正義はリードバルブ調整に没頭している。このところのSGでは、峰が真っ先に調整しているのがリードバルブ。ダービーでは2日目にもやっていたっけ。何かノウハウがある……のかもしれないですね。

 さて、今日もっともドタバタしたのは日高逸子かもしれない。どうやらエンジンがかからなかったようで、整備士さんがやって来て、あれこれ点検もしていた。寺田千恵が心配そうに見守るなか、どうやらキャブレターを交換した模様。その作業を係留所で行なっていたのだ。係留所と整備室を行き来しながら大急ぎで作業をして、結局それでも間に合わずに前検航走は最終班に急遽組み込まれている。(本来は、登番が男女合わせて最上位なのだから、GⅡ組の最初の班)。ひとまず前検は合格したわけだが、明日からもやや忙しい時間を過ごすことになるのかも。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)