BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――イン逃げ発進!

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 イン壊滅だった初日について、選手もけっこう意識していたようだ。昨日の終盤の時間帯、2日目1号艇を知らされた長谷川巌は、好枠が回ってきても「みんな逃げられてないからなあ」と苦笑い。当然、2日目を迎えて、今日もまたイン苦戦の傾向となるのかどうか……と選手たちの多くが気にしていたようなのである。回ってきた枠がどうであれ、自分の戦略や成績にもかかわってきますからね。

 1R、長岡茂一が逃げた! まるで昨日の流れを断ち切るかのような、長岡の逃走劇で2日目は幕を開けたわけだ。モニターで観戦していた新美進司が「今日はイン逃げから始まったか~」とつぶやく。そのしみじみとした言葉に、選手たちの意識が表われているように思えた。

 

 

 

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 長岡にとっては、大きい1着だ! 初日ゴンロクとまさかの出遅れを喫してしまったSGウイナーのルーキーは、この1号艇でなんとしても巻き返しておきたかったことだろう。なにしろ予選3日間。ズルズルと着を落としていたら、準優進出戦には間に合わない。まして、昨日は結果的にぜんぜん好枠ではなかった1号艇をゴンロクのあとにもらって、少しは複雑な気分にもなったのではないか。そうしたなかで、きっちりと逃げ切り。当然、レース後の表情も明るくなるわけである。盟友・熊谷直樹も柔らかい表情になっているように見えたなあ。ともに安堵の思いもあったはずである。

 

 

 

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 そうそう、この1Rでは、道中の3番手争いで、吉田稔が艇間を縫うような切り返しを見せている。逆転3着か、と思われた瞬間、キャビってしまったが、往年のゲリラ殺法を思い出させる見事な航跡だった。ピットで並んでモニターを見ていた今村暢孝が、吉田が切り返しのハンドルを入れたときに、「おぉぉっ」と唸っている。ノブさんをも感心させる吉田のアタック。さらにノブさんが「面白いね~」と呟いたように聞こえたのは、気のせいでしょうか?

 

 

 

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 それにしても、ビッグでは初の試みとなる準優進出戦。戦況のゆくえが楽しみではあるのだが、やっぱり不思議な感覚になってしまいますね。初日を終えたばかりで、2日目はまだ序盤戦と言えるわけだが、しかしすでに予選を折り返している選手もいるのである。昨日2走している「予選4走組」は、いきなり予選後半を戦うことになるのだから、選手が、というより、見ているこちらの感覚がちょいと違ってくるのだ。選手が忙しそうに調整しているなあ、とか眺めていると、すでに予選後半に差しかかっているのか、と我に返るという感じ。たとえば、北川幸典が懸命な調整をしていて、やはり昨日の後半6着は痛かったか、とか思っていると、ふと北川はすでに勝負駆けに差しかかっているのだと気づいたりする。今日は1号艇だが、外枠に大嶋一也、金子良昭がいるからなあ……。

 

 

 

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 初日は1走だったが、二橋学の鋭い表情も非常に印象に残った。二橋は昨日もかなり遅くまでペラ調整をしていた一人だが、今日も朝からペラと向き合っている。調整をいったん終えて試運転に向かう際も、ずっと何かを思案中の様子で、挨拶の声をかけるのもはばかられるほどだ。昨年は優出している二橋、もちろん狙うはさらに上。そのためにも、たった4走の予選をのんびり戦っているわけにはいかないのだ。

 

 

 

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 そうしたなかでも、昨日1着を出した川名稔は、やっぱり余裕があるように思えますね。畠山は「川名が節イチ!」と力説しているが、その見立てはかなり正しいようである。もっとも川名は、童顔というか、常に柔和というか、険しい表情というのが想像しにくいので、その胸の内はハッキリとしないのであるが。青山登さんが話を聞いたら「出てる」と言っていたそうなので、今日のレースも注目してみよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)