BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クラシックTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い

主演男優、リハ完了!

 

 

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 戦前から予想はしていたが……2日間のやまと出張から帰ってみたらば、首位攻防戦は7.40~8.00の間に8選手がひしめく大混戦。これはそのまま「突出したモーターがなく、先頭集団(上位級)のツバ競り合い」という今節のモーター相場を反映していると思う。

 そしてそして、そんな団子状態の終盤戦で、ひとりの選手&ひとつのエンジンが力強く抜け出した。坪井康晴=28号機。初日の5・6号艇で2・3着にまとめたときから、予感めいたものはあった。

「やはり28号機は、他よりちょっと抜けている」

 そんな印象を残した2・3着だった。私が出張している間にも黒須田が「節イチ宣言」を発し、今日の好枠1・2号艇でそれを過不足なく実証してみせた。特に、それを実感したのは2号艇2コースの7Rだ。今日の平和島は緩い向かい風で、2コースにとっては勝つのが難しい水面環境だった。イン選手は多少握っても流れないし、外の選手も思いきり攻められる。2コース選手は左右のアタックを浴びて、後手を踏みやすい境遇だったのだ。

 

 

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 しかも、7Rの1号艇は今をときめく篠崎元志。艇界の若きエースのターンスピードをもってすれば、イン圧勝が自然な発想だろう。その元志の高速インモンキーを、坪井28号機はスリット同体から差しきった。ターンの出口からグイグイ伸びて、バック中間あたりで舳先をねじ込んでいた。今日、2コースで勝ったのはこの坪井のみ。まさに、28号機=節イチを確定させるに相応しい激差しだった。

 

 

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 この1着で準優1号艇圏内に突入した坪井は、さらなるチャンスをゲットする。予選トップ級のライバル達が次々に着を落とし、「11Rを逃げきればトップ確定」という立場に立った。そして、そのチャンスをミスミス逃すような坪井28号ではなかった。コンマ08のスリットからしっかり伸びきって、イン逃げ圧勝。単に予選トップを決めただけでなく、明日&明後日の予行演習としても申し分のないレースをしてみせた。100%のリハーサルだ。この勝利の時点で、坪井のV確率は10%程度から50%ほどまでアップしたと思う。

 

 

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 ではでは、この絶対本命・坪井を脅かす残りの50%とは……? その有力候補は、1号艇を分け合った今垣光太郎と深川真二だな。光ちゃんは今日も一撃の4コースまくりを決めたように、スリット付近の行き足が節イチ級に強い。スリット同体から伸びるのだから、イン選手には厄介な存在だ。深川も上々の行き足で、しかも前付けという武器がある。たとえば①坪井②今垣……④深川なんて番組になったら坪井の背中が煤ける気もするのだが、それがありえるとしても明後日の優勝戦まで待たなければならない(←ちょっと楽しみだなぁ)。

 

THE勝負駆け②ボーダー争い

敵は駿河駿府城にあり??

 

 坪井の話に重きを置いたが、今節はボーダー18位に近い選手にもそれなりのVチャンスはある。平和島という水面がそういう特性だし(下剋上にはできる限り強い向かい風が望ましい)、クラシックというSGも下剋上シリーズとして知られている。さらに、今節のモーター相場だな。現状の私の見立ては「坪井がやや独走態勢で、後続集団では今垣、守田、三嶌らが頭ひとつ抜け出し、あとは団子状態」。

 

 

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 つまり、坪井の独走Vさえ阻止できれば、誰が優勝してもおかしくない戦国モードなのだ。坪井=信長とすると、ひとりの明智光秀が謀反を成功させれば、大乱世になる。そんな図式。問題は、光秀ほどの謀略や逆襲を実行に移せる“モノノフ”がいるか。うーーん、その判断は難しい。今日の勝負駆けで、「ピンピン連勝で30人ゴボー抜き予選突破!」みたいな成り上がり選手はいなかったし(笑)。逆に「昨日まで上位にいながら、重い着でボーダー付近までダウンした」みたいな選手が多かった。流れ的には下剋上ムードに逆行しているかも??

 

 

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 とするなら、穴党は素直にパワー上位の選手、スピードっ速い若手レーサーに期待すべきかもしれないな。守田俊介、三嶌誠司のパワーは、スリットから出し抜けできるくらいの底力を持っている。このふたりが勝負駆けを成功させてセンター枠に潜り込んだのは、V戦線にユニークな彩を添えたと思う。

 

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 毒島誠の2号艇、峰竜太の4号艇、桐生順平の5号艇は、もちろん誰も看過はしないだろう。すべてスリット一撃の決め手があるし、逆に後手を踏んでも道中の旋回で優出を奪い取るスピードを持っている。今節、私がとりわけ怖いと思っているのが毒島で、明日の11Rはイン強奪??なんてサプライズ事件も含めて油断なく監視しておきたい。先に「坪井のV率50%」と客観的な数字を記したが、私の今のところの直感ではなぜだか「坪井と毒島のV確率は同じくらい」。根拠はないのだが、初日からこの比率はほとんど変わっていない。(photos/シギー中尾、text/畠山)