BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――スーパー酷暑の前検!

 

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 暑すぎ! 今年のビッグレースピットでは最強の暑さである。丸亀オーシャンよりも確実に暑い。もっともあちらはナイターだったので、時間帯の違いもあろうか。半袖シャツの報道陣たちも汗だくで取材をしているわけだが、乗艇着にカポックにケブラーにヘルメットに……と重装備の選手たちの暑さはいかばかりか。その格好で走り回ったり、全身を使って旋回したりしているのである。平田さやかによると「最初だけですよ。そのうちすぐに慣れてくるもんです」とのことだったが、慣れたって暑いものは暑いのである。

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 だから、水面から陸に上がってくる選手は、ヘルメットをとればみな汗ぐっしょり。顔は赤く上気し、湯気が立ち上りそうな様子である。女子戦ではよく書いているように、ナデシコレーサーたちは本当によく動く。暑かろうが寒かろうが、とことん頑張る。それだけに今日のような日は、全員が汗をしたたらせながら奮闘することになる。そんな彼女たちの汗は、とてつもなく美しい。5月に徳山でトークショーを一緒にやった守屋美穂とお礼がてら軽く話をしたが、水面から帰ってきたばかりは汗だく。そして、可憐なキュートさに磨きがかかっているように見えたのであった。

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 若手選手はハツラツとよく動くが、ベテラン勢だって走り回る。角ひとみが1500勝記念のTシャツを作り他選手にプレゼントしたようだが、お揃いの黄色いTシャツが走っているのがあちらこちらに見えたりした。着用している多くが、角と同世代の選手たちだ。新田芳美は、新兵がやる仕事であるモーター架台をボートリフトのそばに準備する、なんて動きも見せていた。それを見つけた中村桃佳が大慌てで駆け寄る、なんてシーンもあった。谷川里江も、飄々と架台準備をしたりしていたなあ。手が空いていて近くにいる人がやればいい、なんて感じで、逆に風格あるたたずまいに見えた。

 とまあ、誰もが汗だくになりながら、しかし酷暑にぐったりすることもなく、“いつも通り”の動きを見せる。まさにプロである。俺も暑いだのビール飲みたいだの言っている場合ではない、と痛感させられた。

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 さて、ドリーム組。岡山勢の表情が見事に対照的だった。長嶋万記と遠藤エミが口をそろえたのが「寺田さんの伸びがいい」。寺田千恵自身、「前検では伸びないことが多いので、珍しいこと」とそれを認めている。そして「チョー嬉しい」とも。来年マスターズデビューが信じられない若々しくキュートな笑顔を見せていた。一方、田口節子は会見にあらわれたとき、明らかに不機嫌。「だいぶ苦戦すると思います。全部の足がない」とのことだから、笑顔が浮かぶはずがないのである。池上カメラマンとももクロの話をしているときの表情とは正反対だ。明日のドリームまでにどこまで立て直せることができるか。

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 遠藤エミは、その田口と足合わせをして優勢だったようだ。しかし、足が何もない田口との比較は、むしろ参考外だろう。そのことを遠藤自身も自覚しており、会見後はペラ調整に向かっている。それも、調整という言葉では軽いほどに、ハンマーを力強く打ち下ろしていた。叩き変えている、とまで見える強烈な叩き方だ。明日の気配には注意しよう。遠藤の2号艇といえば、オーシャンで印象的なレースがありましたね。黒エミは怖いのである。

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 ドリーム1号艇は長嶋万記。まだB級だった10年ほど前、今では大きなムーヴメントになっているマキプロジェクトの構想を聞いた。そのとき僕も長嶋も、「それを動かすためには、万記ちゃんがもっと強くならないといけないね」なんて話をしたものだ。もっと強く、どころか、レディチャンのドリーム1号艇。今期勝率も女子トップだし、数字上はこの1年、もっとも強い女子レーサーとなってしまった。真っ先に会見にあらわれたとき、実に感慨深かったなあ。もちろん、ここがゴールであるわけがなく、まだタイトルのない長嶋にとって優勝は悲願でもある。芦屋は13年クイーンズクライマックス優勝戦でドカ遅れを喫した苦い思い出のある水面でもある。ドリーム1号艇で喜んでいるわけなどないのである。汗だくで会見にあらわれた長嶋の表情は、終始たくましく、力強いものだった。一節間、気持ちの入ったレースを見せてくれるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)