BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――悲喜こもごもの勝負駆け

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 10R発売中、ひとり試運転をしていた関野文が1マーク付近で落水。ピットで作業していた選手たちが、心配そうにボートリフト付近に集まった。レスキューに救助された関野を出迎えるわけだが……「あっ! 自分で戻ってきた!」。高田ひかるが叫ぶと、選手たちは大笑い。落水だから、ボートはそのまま水面に漂っている。そこに乗り移った関野は、自ら操縦してピットに戻ったのだ。つまり、身体も無事! リフトに辿り着いた関野は、思いのほか多くの選手が待ち構えているのを見て、「すみません。ありがとうございます!」。元気いっぱいで陸に上がった。落水ということはボートもモーターも無事ということ。また、それだけ果敢な旋回をしたということでもある。今節はなかなか結果が出ていないが、これで流れが変わると信じよう。明日も頑張れ、文ちゃん!

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 そんなシーンもありながらの勝負駆け。まず、残念だったのは近江翔吾だ。1着勝負の9R、1号艇インコースから渾身の踏み込みで逃げて先頭に立ったが、気合が少しだけ勇み足となってしまった。昨日、今日に賭ける思いも聞いていただけに、痛恨のフライングに胸が痛い。11R後だったか、近江も痛々しい表情を見せながら、悔しい胸の内を語りに来てくれた。迷惑をかけたと、反省の言葉も口にしていた。26歳の近江はあと3回ヤングダービーに出られる。いや、何もこの舞台だけでなく、もっと大きい舞台で今日の悔恨を晴らせる日が必ず来るだろう。今日もまた眠れぬ夜になるのかもしれないが、明日の朝には前を向いていてほしいと願う。

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 村松修二は勝負駆け実らず。ドリーム戦落水からいまひとつリズムに乗れなかったところもあっただろうか。大上卓人に出迎えられた村松の表情は、脱力感でいっぱい。苦笑いが張り付いたまま、しばらく立ち尽くしていた。ドリーム組として、やはり予選落ちは屈辱以外の何物でもなかろう。

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 だとするなら、ドリーム1号艇の上條暢嵩の心中はいかばかりか。まさかの予選落ちに、上條もやはり脱力したような表情を見せる。着替えを終えて出てきた際に顔を合わせると、眉根にシワを寄せながら苦笑い。仕上げ切れなかった悔しさを口にした。上條は来月、ヤングが付かないダービーに出場する。この屈辱をバネに、SGで頑張ろう!

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 勝負駆けに成功しながら渋い表情だったのは磯部誠だ。今日は悪くない仕上がりだったようだが、それでも磯部曰く「仕上げが甘い」と己を責める。準優で勝つには、まだひとつもふたつも上積みが必要だと感じているようだ。もちろん、まったく諦めてなどいない。「気持ちは入ってますから」。そう言い残して、ピットを後にしている。

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 見事に1着勝負を成功させたのは、宮之原輝紀。今節最年少の21歳。お見事! 東京勢がみな嬉しそうに祝福していたし、同世代の選手たちもニコニコと笑顔を宮之原に向けていた。お父さんにいつも世話になってるワタシ(と畠山)も嬉しいぞ! 拍手で祝福したら、照れくさそうにニコリと笑った。明日はとにかく思い切りのいいレースを見せてほしいぞ!

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 丸野一樹も1着条件の勝負駆けをクリアしてベスト18入り。ピカピカのGⅠウィナーとしては、やっぱり予選突破しておきたいところですよね。丸野は6Rで今日のレースを終えていることもあって、その後も得点率の状況が気になっていた模様。どこがボーダーラインになるのか、最後まで混沌としていたから、6.00でも落ちる可能性があるかもと不安があったか。大丈夫です。6号艇だけど、準優出です。で、話題は3年前の常滑ヤングダービーも。丸野はヤンダビ初出場で、予選18位で準優出。そして、2着で優出! 大きくアピールしてみせた最初の舞台だった。今回は17位だけど、あのときと同じ6号艇だ。再現あるかも!?

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さて、予選トップは吉田裕平だ。F2でトップなんて、スゴすぎるでしょ! そう称えたら、吉田は「そうですよね~」とちょっと他人事モードも入った感じで素直に笑った。思い出すのは、08年新鋭王座決定戦。F2で予選トップ通過し、怯まずスタートを決めて、優勝戦は驚異のコンマ03で逃げ切った山口剛の姿だ。吉田もまた、今節はF2とは思えないスタートを決めまくってる。今日はいきなり3カドも見せた。きっと明日明後日もF2は不安要素として取り上げられるんだろうけど、にこやかにこちらと話す吉田を見ていると、そうではないような気もしてくる。でも事故には気をつけてね。ということで、昨年の関浩哉のようなシンデレラボーイ誕生となるのか、この若者の大一番を熱く注目しよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)

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11R、安河内将がボートリフトの前から出走ピットのほうを覗き込んでいた。気にしていたのは、同期の木村仁紀。「飛ばなかった~」。今日のピット離れは普通でしたね。準優は6号艇。明日も注目だ!