BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――波乱!

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 177670円! 10Rで、SGではめったにお目にかかれない⑥-⑤-④という出目での大穴が飛び出した。ちなみに、2010年以降、SGで⑥-⑤-④が出たのは12回。意外と多いのね、という気もするが(最少は⑥-②-④と⑥-④-⑤の3回)、1年に1回ほどしか出ないレアな出目であるのは間違いない。
 その立役者は、魚谷智之! 6コースから見事に突き抜けてみせた。魚谷本人よりも太田和美や今垣光太郎が楽しそうにニコニコと笑っており、彼らはもちろん配当がどうだったかは見ていないだろうが、アウトからの快勝劇を称えていたわけである。そうして声をかけられるうちに、魚谷の表情もどんどん緩んでいった。やはり6コースからの勝利は気持ちいいもののはずだ。

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 この展開を作ったのはイナダッシュだ! スタートを決めての締めまくりという、まさに持ち味を発揮した稲田浩二。彼のカド戦はこれがあるんだよなー。自身のパフォーマンスを発揮したということについては、拍手を送りたい。ただ、稲田はもちろん、納得はしていない。稲田が欲しかったのは、展開を作ったという事実ではなく、勝利という結果なのだ。勝つためにまくったのだから、敗れて帰ってきたピットでは悔しさをグッと噛み締めていた。その表情には迫力すら漂っていたほどだ。明日の勝負駆けを快走して、準優でも4号艇あたりに入らないかなあ。そこでリベンジだ!

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 まくられてほとんどなすすべなかった篠崎元志は、馬場貴也と苦笑いを交し合う。ダッシュ勢に上位を独占されて、スロー勢としては笑うしかない、といったところか。ただし、元志は一人になった瞬間に、眉間に深い皺を刻んでもいた。顔つきが一気に憤怒方面へチェンジしたのだ。そりゃあ、悔しくないわけがない。スタートが行けなかったことも含めて、悔いばかりが残るレースであろう。前半の永井彪也といい、元志といい、今日はイケメンレーサーたちがその麗しき顔にただただ悔恨を宿らせる日となった。雪辱を果たして、ファンに爽快な笑顔を見せてくれ!

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 その10Rが終わっても水面に残ったのは、男子では桐生順平と毒島誠。豪華な足合わせだ。あと興津藍も。毒島と興津は前検から整備に明け暮れていた二人で、3日目の終盤の時間帯までもパワーアップに懸命だ。桐生は、前検日から初日のコメントはポジティブだったのだが、昨日のイン戦以外はどうにも着が追い付かない。この試運転とさらなる調整で、なんとかきっかけを作りたいところだろう。

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 ペラ調整に励んでいたのは永井彪也。水神祭はならなかったが、今日は2着2本で勝負駆けにつなげることができた。水神祭ももちろん大事だが、予選を突破してステージを上げることも非常に大切だ。ときどき中野次郎と話し込んだりしつつ、ペラを煮詰めていく腹積もりだろう。

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 その時間帯まで試運転していた選手は、やはり女子選手が多かった。10R、11R発売中にも切り上げて続々とピットに戻ってきた。女子のエンジン吊りに駆け付けるのは、やはり女子選手が多いのだが、このころ、整備室では9Rで転覆した平高奈菜の転覆整備が行なわれており、女子選手が何人かヘルプについていた。また、11Rには女子戦が控えているということで女子は手薄な状態。そうした状況を見て取ったのかどうか、整備室から超抜の伸びで駆け付けたのが中野次郎。さらには平本真之や松田祐季ら男子が続々とエンジン吊りに集まった。その素早さといったら! 整備室からボートリフトまではそれなりに距離があるのである。なにか作業をしていたら、気づかない可能性が高いのではと思える。しかし彼らはちゃんと気づく。その気の配り方というか察知の仕方というかアンテナの感度というか、とにかくすごいなと思うのである。僕も見習います。

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 で、平高奈菜ですが、体は無事。転覆整備のあいだには笑みも見えていた。もちろん悔しかろうが、明日も走れるのは何より。今日は、今井美亜と高田ひかるがフライング、しかもコンマ05以上のFで即日帰郷と、事故が相次いでしまった。悪い流れを吹っ切るべく、明日も奮闘を!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)