これぞ勝負駆け! 12Rの高田ひかるだ。3コースからコンマ02でまくり一撃! 得点率トップを突っ走る小野生奈をも呑み込んでしまった。全速スタートだったというから、お見事の一語。2着条件の勝負駆けで、ノルマを上回る結果を出してみせた。
なんといっても、初日は6着6着だったのだ。大山千広と関野文が「今日ピンピンで、初日のロクロクを挽回だよ~」と感心していた。この巻き返しもまたお見事。高田も会心のレースに、レース後は素直ににこやかな顔を見せていた。小野に対して頭を下げる姿も、どこか高揚していた。
小野は敗れたとはいえ2着で、得点率トップである。さすがにカタい表情で戻ってきて、リプレイを真剣なまなざしで見つめていた。自身コンマ15のスタートで、これは何も問題のないタイミング。コンマ02を決められたら、これはもう仕方ないというしかない。この敗戦は、明日あるいは明後日の1号艇に向けて、兜の緒を強く締めさせるものになったのではないか。そう思わせられるほど、落胆の色はあまり濃く見えなかったのだ。
この12Rでは、実は18位争いも発生していた。高田が先頭に立って、得点率6.00の選手は2人が予選落ちということになった。12Rの時点で19位だった土屋実沙希はそれが確定してしまっていたのだが、寺田千恵が5着なら得点率6.00という状況で、その場合、やはり6.00で終えていた鎌倉涼と獲得着順がまったく一緒になるのだ。しかも寺田が後方で番手争いをする展開になったものだから、ピットではその攻防で熱くなっていた。結果、寺田は5着でゴール。この場合は……あれ、最高タイム順だっけ、選考順位順だっけ? といった感じで、報道陣も選手も18位が誰になるのかを即座に判断できなかったのだ。はい、最高タイムが優先されます(同タイムなら選考順位順)。コンマ2秒差でテラッチに軍配! ディフェンデングチャンピオンがなんとか18位の得俵に残ったという次第であった。
11Rで勝負駆けを決めたのは田口節子。2コースから差して2着で、得点率を6.17に引き上げたのだ。高田のロクロクからの巻き返しもすごいが、田口も初戦6着という船出であった。そこからオール3連対で予選突破とはさすがの実力者である。レース後はやけに淡々としてはいたが、池上カメラマンにナイス!と声をかけられるとニッコリ。準優は6号艇になるが、何を見せてくれるだろうか。
10Rは勝負駆け絡みで事故が起こってしまった。1周2マークで樋口由加里と藤崎小百合が競り合って、藤崎が落水失格となってしまったのだ(樋口が不良航法)。藤崎は2着なら得点率6.00。この競りは2番手争いだったので、藤崎も引くわけにはいかなかっただろう。で、その10R組でピットに真っ先に戻ってきたのは藤崎小百合。しかも架台に乗ったボートをみんなで運んでいる。え? 1着だっけ? と一瞬だけ錯覚してしまった。だって、事故艇はレースが終わった後に曳航作業があるはずなのに……。なんと、藤崎は転覆のようなかたちで水面に投げ出されたのだが、そのときボートは勢い余ってくるりと一回転して元に戻ったのだ(だから落水失格)。藤崎はボートに再乗し、自力でピットに戻ったらしい。ナイスガッツ! そしてケガがなくてよかった! 勝負駆け失敗は残念ではあるが、残り2日も気合の走りを見せてほしい。
このレースの1着は平高奈菜。待機行動違反の減点がありながらの予選突破は、高田や田口とは違う意味でまたお見事。平高も今日はピンピンで準優行きを決めたのだから、さすがである。
そして、やはり不良航法の減点がありながらの予選突破は喜多須杏奈! 地元ビッグで、紆余曲折ありながらの、嬉しい準優行きを決めた。終盤の時間帯はエンジン吊りなどに忙しく動いていたが、表情は実に明るかった。明日はもうひとつ、気持ちを強く込めて、悔いのない戦いを!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)
土屋実沙希は4着で6.00、上位着順差で涙を呑んだ。一般戦に入れば足は上位、明日は鬱憤晴らしを!