BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

津マスターズTOPICS 3日目

マザーは強し!

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 昨日まで6・5着と年下の猛者軍団に揉まれていた日高逸子が、今日は2着を2本まとめて準優へ一縷の望みを残した。レースそのものは、さほど特筆すべきものはない。3Rはインから握って回って、2コース松井繁の差しを許しての2着。後半7Rは3コースから全速で握って2番手を取りきり、後続の追撃をきっちり凌ぎきった。

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 1・3号艇での2・2着は及第点というレベルではあるのだが、今村豊、西島義則と並ぶ最年長58歳での連続2着はやはり「女傑」と呼ぶにふさわしい。たまたま昨日、31年前の若き日高の映像に出くわした。第2回・女子王座の準優なのだが、インタビューにハキハキ答える27歳は実に初々しく、そして実に別嬪さんだった(興味のある方はYOUTUBEなどで「89 女子王座10R」と検索してくださいまし)。
 この美女を眺めながら、脳裏で重なったのは現在の大山千広のやはり初々しくも美しい笑顔。30年の歳月を隔てて「どっちが強いか」などと野暮な比較をするつもりはないが、「31年後に千広がどこまで活躍しているか」などと考えたらば、グレートマザーの偉大さを身に染みて感じてしまった。そんな経緯もあって、今日の2・2着がレース内容以上に「この人、やっぱスゲエ!」と感服した次第だ。ちなみに、27歳の若き日高はこの「女子王座」で完全優勝を成し遂げている。23歳でレディースチャンピオンを8戦7勝で制した千広は、31年後までにどんな金字塔を打ち立てているだろうか。

仁義なきV争い

 さてさて、混戦模様のV戦線を占いつつ、今日も特定の支部にスポットを当ててみよう。初日・兵庫→2日目・岡山ときたら、流れ的に広島でしょ(笑)。そうでなくても、今日は広島支部の優勝がかなり現実味を帯びてきた。有力候補がふたりもいるのだから。

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 まずは、10年ぶり2度目の名人戴冠を狙う『安芸の闘将』西島義則。昨日はパワー評価で少し触れたが、今日の11Rのスーパー出足も文句なしの無敵モード。トータル9発のイン逃げの中で、もっとも迫力のある圧逃劇に見えたのは私だけだろうか。
 このレースには2コースからの攻めが厳しい強豪・吉川元浩がいて、今日もあのクラシック準優のように迷いのないジカまくりを浴びせた。天下の毒島誠をもなぎ倒したジカまくりは、しかし西島のゴキゲンな回り足~出口の押し足の前に空を切った。パワーもそうだし、仕上がったときの西島のターンの早さ速さも秀逸の一語。グレートマザー同様、男の58歳も相変わらず凄まじい。このイン逃げで2211着=予選2位となった西島は、直後のインタビューで人間臭い一面も見せてくれた。
「昨日、結婚記念日だったのに感謝の言葉を伝え忘れたので、今日はちゃんと嫁に伝えたいと思って……」
 ここで照れ臭そうにはにかんだ鬼将軍。水面でも陸の上でも不器用ながら人間臭い西島には、是非とも10年ぶりの美酒を浴びてもらいたい(←『BOATBoy』の私の◎選手だし)。あえて欲を言わせてもらうなら「予選トップの逃げ逃げ」ではなく、できれば外枠からオッズを釣り上げて優勝してください、西島さん!

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 続く最終12Rを、これまた1点の危なげもなく逃げきったのが前本泰和だ。スタート直前に上体を起こしてアジャストしたのだが、それでもスリットから出て行くこと。例によってじわじわ伸びて1マーク手前で1艇身の貯金を蓄え、外の攻めを寄せつけずにすたこら逃げ去った。キレッキレという軽妙さはないのだが、どこの部分にも欠点が見当たらない安定感抜群のパワーだ。初日から222着とまとめ、この盤石のイン逃げで予選3位に浮上した前本。明日の5Rでは⑤前本&⑥西島という「仁義なきカード」が組まれたが、もちろんV戦線を占う上でとても重要な直接対決となるだろう。両雄のパワー気配を鑑みれば、予選トップ=優勝の可能性はかなり高いと思っているから。

マスターズ恒例の……!?

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 明日は準優勝負駆けがメインになるので、今日のうちにアップしておこう。
 マスターズ名物、A1勝負駆けレーサーを狙え!
 昨日までのボーダー付近はこんな感じ。
★渡邉英児=6・24
★鳥居塚孝博=6・22
★市川哲也=6・18
×白水勝也=6・17(出走回数不足)
―暫定ボーダー6・17―
★立間充宏=6・13
★野添貴裕=6・12
★川崎智幸=6・09

 手元のデータによると、勝負駆けの6選手はすべて今節がラストチャンス。数字だけを見ると上位の渡邉は当確、下位の川崎は絶望のようだがさにあらず。たとえば渡邉が明日からの4戦(想定)を6666などとすると、今日の5着を含めて6・10まで急降下。逆に川崎が1111と活躍すれば、今日の5着込みでも6・18まで跳ね上がる。

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 で、そのふたりに挟まれた4選手は、さらにヒリヒリ度の高い状況下。さらに特定するなら、ほぼほぼボーダーど真ん中の市川哲也は、最終日まで石に齧りついても3着平均(GIの1点増しで7点平均)で乗り越えたい3日間となる。

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 一方、今節は超抜34号機とともにボーダーへと近づいていた立間充宏は、今日の4・6着が激痛の一語。手元の計算で6・08あたりまで下落してしまった。今日の立間34号機はターン回りで何度もキャビる感じで、特に後半10Rは最後方からまったく追い上げの利かない足色だった。調整が狂っていた可能性が高いと思うのだが、V戦線&A1残留へ余りにも痛いゴンロク。ただ、両方の高いハードルをクリアする可能性はまだ残されている。明日から3連勝=優勝ならば、勝率も6・20で両手に花の大団円。明日が3着あたりで準優を逃したとしても、残り3戦想定でピンラッシュならA1残留となるだろう。
 毎年、私は5日目の敗者戦から「A1勝負駆けを狙え」ミッションを始動している。勝負駆け以外の選手とのモチベーション差が大きいから。今節も5日目に相応の情報をアップするつもりだが、読者におかれては明日あたりからそれぞれの動向をチェックしていただきたい。(phtos/シギー中尾、text/畠山)