BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

乱戦からの1-2

9R
①菊地孝平(静岡)14
②市橋卓士(徳島)17
③谷村一哉(山口)15
④湯川浩司(大阪)10
⑤馬場貴也(滋賀)12
⑥太田和美(大阪)08

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 乱戦の1マークをギリギリ凌ぎきって、菊地が最初のファイナルチケットを手に入れた。スリットから仕掛けたのは、やはり4カドの湯川だった。今日は6R後の特訓でもスタート展示でもさほど出て行くムードはなかったが、いざ本番は質の良いスタートで突出。初日と同様、伸びなり絞めまくりを敢行したが、地元の谷村が身を挺してブロック。その間にインからしっかり伸び返した菊地が、喧騒に巻き込まれる前に危険ゾーンから脱出した。

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 菊地21号機の私の評価は「どの足も上位レベルのバランス型」で初日から一貫している。今日もスリット~1マーク~出口まで安心・安定感に満ちた足取りで、死角の見当たらないパワーだ。が、逆に言えばパンチ力というか特長らしきものが欠けているという見方もできるわけで、1号艇以外でスリット同体から自力で攻めきるのは難しいパワーかも。だとするなら、明日の菊地は枠番&想定コースに応じて、何らかのギャンブル=勝負手を放つ可能性もある。昼特訓から「ボートレース界の諸葛亮孔明」の動向に目を光らせるとしよう。

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 2着は市橋。湯川vs谷村のガチ競りを尻目に、2コースからスルリと最内を差し抜けた。市橋48号機は初日から「なかなかのレース足だな」と思ったりもしたのだが、トータルAを出し惜しみしている間にあれよあれよとここまで昇り詰めてしまった。連日の本人のコメントも「乗りやすさがいい」を連発していて、見た目には分かりにくい良質のパワーと言えるだろう。ただ、菊地21号機をA【出A・直A】とするなら、やはりそれより若干見劣る気がするのだがどうだろう。もちろん菊地のパワーをアップすればいい話なのたが(笑)。
 ともあれ、今節は地道に2着を量産して2度目のSGファイナルを決めた市橋。5年前の蒲郡メモリアルでは、①峰vs②元志の伝説デッドヒートの片隅で人知れず転覆(最終ターンマークでブイに衝突)したが、明日は全国のお茶の間ファンの視線を浴びるようなレースを魅せてもらいたい。

一人旅の1-2

10R
①新田雄史(三重)12
②白井英治(山口)15
③石渡鉄兵(東京)15
④桐生順平(埼玉)21
⑤松井 繁(大阪)17
⑥羽野直也(福岡)18

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 9Rのキーマンが湯川なら、こちらはもちろん絶対エース11号機を駆る石渡。全国のファンが注目したであろうストレート足は、直前の特訓ではあまり目立たなかったが、スタート展示や展示タイム(節間トップの6秒68!)は期待どおりの迫力に思えた。

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「伸びなり一撃まくりで、今日のイン9連勝の流れを断ち切るか」
 と見ていた本番はおそらくアジャストもあったか、スロー3艇の行き足はほとんど変わらず内から順繰り「新田が逃げて白井が差して」という準優・平穏1-2パターンに落ち着いた。節イチの伸び足を誇る石渡は、白井&松井のハイレベルな2着争いに競り負けて4着。伸び型フリークの私にとっては残念な脱落ではあったが、明日のファイナル1号艇の選手にとっては「目の上のタンコブが消えた」と言えるかも知れない。

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 惜しかったのは5コース松井の鬼気迫る握りマイ&レース足で、白井や石渡に割って入って2着を奪いに行ったが、常に前を行く白井の冷静な立ち回りに屈した。さすが「隠れ1号艇」(減点がなければ7・66)と唸らせるレースっぷりではあった。まんま1号艇なら、ガッチリ逃げきったことだろう。

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 それにしても、の新田の鬼足である。今日は一人旅なので他艇の比較はしにくいが、ターン出口から周回ごとに後続を千切る千切る! ゴールを通過したらばそれまでの節間トップタイムの1分48秒4。その後、12Rの毒島誠がコンマ02秒上回ったが、新田は展示タイムも含めてさほど速い時計を出さないタイプだけに、28号機の回り足の秀逸さが推し量れるだろう。もちろん、この超抜機とともにファイナル1号艇なら連チャンの一人旅になったと思うのだが、11Rのもうひとりの鬼足がそれを許さなかった。

圧倒的な1-2

11R
①寺田 祥(山口)05
②吉川元浩(兵庫)05
③峰 竜太(佐賀)05
④片岡雅裕(香川)06
⑤仲谷颯仁(福岡)11
⑥中澤和志(埼玉)06

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 結果から先に書くと、9R・10Rに続いてこのレースも1-2決着。しかも、前の2レースよりも圧倒的に他の追随を許さないワンツー決着だった。スリットほぼ横一線から寺田が逃げて、吉川が差して(やや握りマイのような差しではあった)ターンの出口でもう、後ろからはなんにも来ない。怖い怖い峰の異次元ターンも、パワーを極めた2人の引き波を掃除するレベルでしかなかった。うん、峰vs仲谷の3着争いは見応えたっぷりだったが、準優ダイジェストとしては“圏外のデッドヒート”と言うしかない。

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 2度目のSGタイトルに王手をかけた寺田70号機については何度も書いてきたが、もはや前検のそれとは別物である。初日の大整備で全部の足が良化し、3日目のセット交換(それまで無傷の3連勝だったのに!)でそれらの足がさらにパワーアップした。リーチ一発だけの手に、裏ドラが4個乗ったくらいの跳満パワーだ(笑)。とあるベテラン記者は「去年のエース63号機の部品が移植されたかも??」などと妄想を膨らませていたが、この5日間で節イチを争う足になったことは間違いない。

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 で、難なく2着を獲りきった吉川42号機のパワーも凄まじい。峰を瞬時に突き放したのみならず、前を行く寺田にぴったり追走して離れることはなかった。このレースの前までA+【出A・直S】と鑑定していたが、今日の追撃足も含めてSに昇格させる必要があるだろう。明日の最大の課題は6号艇という枠番で、それをどう克服するか。5号艇の白井は絶対にコースを譲らないから、おそらく6コースからの勝負。さすがに自力で寺田&新田の超抜コンビを攻め潰すのは難しそうだが、かつてGPトライアルで6コースまくり圧勝~ファイナル制覇という離れ業をやらかした男であることは肝に銘じておきたい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)