BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋オーシャンカップTOPICS 初日

魔の2マーク

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 今日の芦屋水面は、朝から7Rあたりまでソコソコ強めのホーム向かい風。つまり、2マークの旋回は逆に強めの追い風を喰らうのだが、今日はその風圧をモロに受けて変調をきたす艇が相次いだ。まずは開幕戦の2マーク、バック2番手争いを演じる湯川浩司が外から外へと全速で握ったらば、ボートが暴れてサイドがまったく掛からず消波装置に激突。そのままエンスト状態に陥って不完走となった。選手責任-5点にプロペラの破損・交換を強いられた湯川は、後半7R(4着)を終えて負傷帰郷。おそらく、心の傷もその背中を押したに違いない。

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 2Rからは、なぜか女子レーサーたちが次々と魔の手(風)に捕まった。その2Rは道中3番手で踏ん張っていた小野生奈が、2周2マークで普通に差しハンドルを入れたところ、斜め横風に煽られるように艇がバウンドして操縦不能に。なんとか持ち直したときには、舟券の圏内から置き去りにされていた。

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 続く3Rは③濱野谷憲吾のまくりにぴったり連動した④平高奈菜がズッポリのマーク差し。憲吾の内に舳先を突っ込んでアタマまである態勢だったが、2マークの握りマイが真横に流れて万事休す。藤岡俊介にも交わされ3着に甘んじた。
 さらに4Rは、インの遠藤エミが2コース池田浩二の差しをギリギリ凌いで逃げきったかに見えたが、2マークでやや強めに握ったら流れて暴れて2着を確保するのがやっとだった。なぜ女子ばかり3連発で煽りを喰ったのか。まさか、5キロ程度の軽量で吹き飛ばされとは思わないが(笑)、それぞれ2点または4点くらいを取りこぼしたロスは後でボディブローのように効いてくる気がしてならない。

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 続く5Rは平本真之がやや強引に握りすぎてフェンス際までぶん流れ、6Rは逆に落として回った太田和美がターンマークに衝突してエンスト失格の憂き目を見たが、おそらくそれは風とは無縁のターンミスだったと思われる。公営ギャンブルの中で、もっとも風の影響を受けやすいボートレース。今日の2マークは、そんな目に見えぬ自然の悪戯を痛感させる半日だった。

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 さて、そんな風の悪戯も味方につけて、ピンピン連勝のロケットスタートを切ったのが濱野谷憲吾だ。3Rは3コースから豪快に握り、2マークは的確な差しハンドルを入れての完勝。7Rはインから余裕たっぷりの逃走劇。3・1号艇での連勝をもって「断然のV候補」と呼ぶつもりはないが、スリット付近の行き足も上々で予選突破~優出まで突き抜ける可能性は高そうだ。前検で55キロあった体重も、明日の出走予定表では54キロまで減ってるし(笑)。20余年に渡って「東都のエース」を張り続けている男の、さらなる激走と減量に期待したい。
 一方、昨日の『前検を斬る』でSランクに推した平本真之52号機は、5号艇4着&1号艇2着というまったく煮え切らないスタートとなった。前半は2マークでの強引な握りマイが仇となって着を落としたが、道中の引き波をスパッと超えられないレース足にも物足りなさを感じてしまった。

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 で、後半の1号艇は毒島誠の秘宝・バナレ飛びを浴びて、まさかまさかの2コース進入に。そこから毒島をジカまくりで叩ききった行き足は強烈だったし、道中の競り合いでも毒島60号機を全体的に上回っていたと思う。そのあたりは評価するとしても、「前半は2番手から4着、後半は1号艇で取りこぼし」というリズムの悪さはかなり気になるところ。むしろ、3号艇から余裕たっぷりに2着を取りきった松井繁33号機の方が、機力面でも非の打ちどころがない抜群パワーに見えたのだが、どうだろうか。

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 最後はちょこっと付録。オーシャンカップと言えば、「ダービー勝負駆け」というオプションも忘れちゃならない。7月末の査定〆切まで、泣いても笑ってもラスト10日。今節のガチの勝負駆けレーサーを列挙しておこう。

昨日までのダービー勝率 
★瓜生正義 7.37
★中島孝平 7.36
★★太田和美 7.34
★★坪井康晴7.33
★★秦 英悟 7.32※
★★大上卓人 7.32※
★★★稲田浩二 7.31
★★★金子龍介 7.30
★★★★小野生奈 7.28※
★★★★湯川浩司 7.27
★★★★山口 剛 7.26
★★★★★原田幸哉 7.21※
――ボーダー7.21
★★★★★菊地孝平 7.16
★★★★★守屋美穂 7.12※
★★★★今垣光太郎 7.11
★★★★篠崎元志 7.10※
★★★★前田将太 7.09
★★★上平真二 7.08
★★★魚谷智之 7.06
(★は独断のヒリヒリ度、※は原則として今節がラスト勝負)

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 これは昨日までの勝率なので、ほとんどの選手が今日の成績で大なり小なり変動があったはず。もちろん、大いに注目したいのは★5個の「ヒリヒリトリオ」で、今節が最終決戦になりそうなボーダーど真ん中の原田幸哉は、最低でも3着平均=準優ボーダー6・00あたりを目指したいところ。同じく今節がラストになりそうな守屋美穂は、準優3号艇あたりの好成績で大逆転のダービー当確ランプを点すことができるだろう。さらに詳しい情報は、5日目の朝にアップするはず。そう、例年どおり敗者戦の舟券作戦とともに!(photos/シギー中尾、text/畠山)