BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――溜め息……

●がっくり……

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 すでに予選突破は絶望的でも、1号艇となれば気合は入る。西山貴浩は9R、最後に回ってきた白カポックに闘志を掻き立てたわけだが、嗚呼、まさかの6着……。
 今節は機力的に厳しく、苦戦を強いられた。それもあって、折々で生気のない様子が見られたものだったが、予選最後にとどめを刺されたか、レース後は「もう帰りたい……」と弱音を吐いていた。まあ、周りの人に聞かせて笑わせようとしていた感も強いのだが(笑)。残り2日、しっかり走ってね!

●スーパースターが来た

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 10Rは6号艇の峰竜太が動くが、磯部誠だけが譲っての5対1。磯部は6コースから一発にかけたが、締め込もうとしても峰に体当たりするのが精いっぱいだった。その勢いをもらったようなかたちで、峰は一気に外マイ一撃! 内4艇をまくり切ってしまった。緑カポックの峰が躍動!
「まぁ~たミネか……まぁ~たミネだよ」
 峰の天敵(?)西山貴浩が悪態をつく。これも要するに周りの人に聞かせて笑わせるやつです(笑)。と言いつつも、緑でも来るか、峰竜太! これで得点率は8.00。この時点でトップ通過の可能性を残すこととなった。
 レース後は磯部と顔を合わせて、笑い合う。今日の平和島に吹く風の定まらなさを語り合っていたようだったが、峰の表情はとにかく明るい! この一撃快勝で好感触をも得たはずだ。やっぱりスーパースター、来ちゃうんだなあ。

●辞退しろ!(?)

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 峰vs西山は、11Rで再戦があった。3着以内で予選トップ確定だった平本真之が、バックではいったんは先頭に立ちながら、2周1マークでもつれて後退。まさかのシンガリ負けを喫してしまった。ああっ、と悲鳴を上げた西山は、トップ誰ですか?と尋ねてきた。それまで2位につけていたのはあの男。11Rを隅っこで一人観戦していた峰竜太を指さすと、西山エキサイト!
「まぁ~たっ! あんたか! 辞退しろ!」
 そんなこと言われても、と笑う峰に、西山はさらに口撃を強める。さすがの峰も、もうタジタジなのでありました(笑)。
 いやはや、なんだかんだ言い合ったりやり合ったりしてるけど、ほんと、仲のいい二人だこと!

●悔しい!

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 平本真之の落胆ぶりはすさまじかった。もともと悔しさを隠さない男であり、顔を歪めるのは想定済だが、文字通り肩を落とし、がっくりとうなだれ、泣き出しそうな表情にもなっていた。たしかに見えていた予選トップの座。それが目前でこぼれ落ちていったのだ。たしかにバック内から辻栄蔵が伸びてきていたが、それでもなんとか2番手3番手をキープできていれば、まったく違う景色がそこにあったはずなのに。そう考えればなおさら悔しさは募る。後悔ばかりが襲うのであった。
 着替えを終えて、エンジン吊りを手伝ってくれた選手たちに頭を下げて回る平本。その間も、ふと眉間にシワは寄ってしまい、悔恨が抜けていないのをうかがわせた。この思いを吹っ切るには、優出して峰をぶっ倒すしかない!

●まさかの予選落ち

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 12R2号艇で登場した原田幸哉は、4着以上で予選突破だった。ところがまさかの6着。予選落ちが決まってしまったのだった。メモリアルの優勝戦ワンツーが、ダービー予選最終日の終盤でともに6着とは……。
 さすがの原田も、ピットにあがってくるとカタい表情を見せた。その沈痛な雰囲気を感じ取ったか、出迎えた桑原悠の表情も曇ってくる。6着という結果に対してもそうだろうし、予選落ちの事実もまた原田の心を殴打するものになったはずだ。苦笑いさえ浮かばない、巨大な落胆。もしかしたら自責の念も沸き上がっていたかもしれない。

●溜め息

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 今日の終盤は、たくさんの溜め息を聞かされたような気がする。11R4着の丸野一樹が、冴えない表情で「勝負弱いっすわ……」と言いながら歩み寄ってきた。3着なら6・17で予選突破確実。なのに1つ着順が足りなかった。もつれた2周1マーク、自身の位置取りについて反省の弁をも述べていて、とにかく後悔ばかりのレースだったようだ。
 とはいえ、その時点では17位だったのだ。実は僕はそれを認識しておらず、「まだ可能性はある」とか言ってピント外れの励ましを送っていた。そして丸野はスポーツ紙の記者さんにおおよその状況を聞いていたようで、だから僕のまるで19位以下になってしまったみたいな言い方に不安になったかも。すみません、算数苦手なもので……。
 12Rの結果を受けて、16位で予選突破。準優6号艇だ、メモリアルの再現を見せろ!

●艇界のオオタニさん?

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 10R3着で予選突破を確定的とした江口晃生。準優は外枠になりそうで、進入からおおいに沸かせてくれそうだ。
 その江口、着替えを終えてモーター格納に向かう途上で、シャーピン(プロペラ装着の際に出る鉄くずのようなもの)を拾ってポケットに突っ込んだ。その仕草、大谷翔平がフォアボールで一塁に歩く途中、ごみくずを拾って全米を沸かせたアレではないか! おぉ、艇界のオオタニさん!
 と感激していたら、池上カメラマンが「江口さん、ずっとやってますよ。あんた今までナニ見てたんですか」とマウントをとってくる。マジか! 装着場を横断するときなど、見つけた鉄くずを拾って、いったんは柱の根元に置いておき、次にゴミ箱のある整備室に向かう際にまとめて捨てにいくのだそうだ。へええ。江口さん、素晴らしい! 若手選手にはぜひ見習ってもらいたいものである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)