BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

盤石のパワー逃げ

9R
①香川素子(滋賀) 08
②鎌倉 涼(大阪)  12
③松尾夏海(香川)  15
④土屋実沙希(静岡)16
⑤金田幸子(岡山)  16
⑥三浦永理(静岡)  13

 素子はんがガッチリ逃げきった。三島敬一郎イチ推しの39号機は今日もゴキゲン。例によって突き抜けるような迫力はないものの、起こし~出足~行き足まで軽快そのもので、スロー発進でこそ持ち味が発揮できる柔軟な優良パワーと言いきっていいだろう。特にスリット近辺の行き足が強力なイメージもあり(その後は伸びないが)、ファイナルは枠番に応じてそのあたりの強弱を付けることになりそうだ。たとえば、3号艇なら自慢のスリット足を特化する、とか。

 で、案外というか、ちょっと不思議だったのが私の◎鎌倉21号機の足色だった。昨日まで出足・回り足特化タイプと鑑定していたのだが、今日はスタート展示のスリット近辺からグイグイ出て行き、素子39号のお株を奪う行き足仕様。展示タイムも昨日までとは別物の6秒77という速い数字を叩き出し、いざ本番もやはりスリットからインをグイグイ煽る驚愕のストレート足だった。
 こ、これは、全部の足が抜群になったのか??
 鎌倉アタマの2-1をしこたま買っていた私はそぞろときめいたが、1マークを回って唖然茫然。ややサイドの掛からぬターンになってしまったとは言え、出口付近でズルズルズルズル後退し、あっという間に最後方に置き去りにされてしまった。昨日まで、そこの部分=ターン回り~出口の押し足に惚れ込んでいたのに……。鎌倉の直前調整にどんな誤算があったのか、現時点では鎌倉のみぞ知る、ではあるのだが……。

 そして、準優にとってとびきり重要な2着を取りきったのは、3コースからしっかりスタート同体まで踏み込んだ夏海!! F2持ちの身の上、スタート展示ではひとりドカ凹みとなったが、いざ本番はしっかり修正。怖い怖い4カドの実沙希より早いタイミングでスリット通過し、外の攻めを封じて握りマイを放った。
 課題のスタートを克服し、自力展開に持ち込んでしまえば今節の夏海に不安材料はない。的確な位置取り、初動、スピード、そしてそれらを後押しする相棒35号機の出足が完璧にフィットし、危なげなくファイナルの切符を入手した。本当に、天晴れ×3発くらいの5日間だ。もちろん、明日の夏海は外枠に回るが、F2が災いして人気を下げるようなら、パワー的にもリズム的にも舟券に絡めて面白い存在とお伝えしておく。

薄氷の壁なし逃げ

10R
①大山千広(福岡) 11
②守屋美穂(岡山)  33
③海野ゆかり(広島)26
④角 ひとみ(広島)12
⑤長嶋万記(静岡)  07
⑥藤崎小百合(福岡)06

 絶体絶命の危険ゾーンから、イン千広が命からがら脱出した。なんたってスリットは↑この超凸凹隊形。勢い4カドの角が豪快に絞めまくり、1マーク手前で千広まで引き波の射程圏に入れる見え方だった。
 だが、簡単にまくられたら万事休すの千広も身体を張るような位置取りを応戦。「角さん、このまま叩きに来たら無理心中になりますよ!」的な位置取り&スピードで1マークを先取りし、角に半端な握りマイを強要した。見事な立ち回りで危機回避!

 今節の大山38号機は前検から「行き足良好」とマークしてはいたが、その後の実戦を見ていて「どこまでが選手の力量で、どこまでがパワーの後押しなのか」の線引きがよく分からないまま今に至っている。ただ、スリット近辺の行き足の良さだけは前検から同じようにゴキゲンで、この部分の足があれば明日もスロー水域から互角以上に戦える可能性は高い。回り足など出足系統は疑問点もあるけれど、とにかく今節の千広はリズムもターンも運までもキレッキレに仕上がっていて、このまま女王奪還があっても不思議ではない勢いだ、とは思っている(11R前の執筆、もしも明日1号艇ならその可能性はさらに何倍にも膨らむだろう)。

 1マークに戻ろう。角の強攻が堰き止められて5コースから角をマークしていた万記にチャンスが巡ってきたわけだが、今シリーズ攻めっ気120%の万記は角の航跡をなぞる勢いで突進! これまた軌道修正で差しに回っている間に、あっと驚く大外の超人気薄・藤崎が最内をするすると素通りしていた。
 これぞ典型的な「ごっつあん差し」だが、運も実力のうち。最アウトからトップタイミングのコンマ06まで踏み込んでいたからこその差し抜けは、9Rの夏海に続く天晴れ×3、大殊勲の2着とお伝えしておこう。

威風堂々の深イン逃げ

11R 並び順
①實森美祐(広島) 06
②田口節子(岡山) 21
⑤平山智加(香川) 20
③渡邉優美(福岡) 19
④櫻本あゆみ(群馬)13
⑥渡辺千草(東京) 23

 地元・平山の前付けもなんのその、100mちょいの深い起こしもなんのその、5コース櫻本&4カド優美のツープラトン絞めまくりもなんのその、「B1級のシンデレラ」實森が慌てず騒がず1マークを先取りし、あっという間にバック一人旅に持ち込んだ。スタートも唯我独尊のコンマ06! オール女子戦では珍しい前付け、深インでのこの数字はこれまた「天晴れ!」と言うしかない。

 相棒の61号機は何度も書いたので、もう多くを語る必要もないだろう。とにかく出足・回り足が超抜レベルで、今日も1マークだけにその強さが凝縮していた。節間を通じてゾーンも広そうで、明日になって急に変調をきするとも思えない頼もしいパートナー。ファイナル1号艇の若手選手に対する常套句だが、明日の實森の敵は大山でも香川でもなく實森自身とお伝えしておく。そうそう、明日は實森自身に「師匠の角ひとみ」というこれまた頼もしいオプションが追加されることになる。

 そしてそして、美祐以外は大乱戦となった1マークから2番手に抜け出したのは、5コースから絞めまくった櫻本! さすが「赤城のまくり怪獣」としたものだが、この絞めまくりが2コース田口に致命的な打撃を与えたため、レース後に不良航法=賞典除外となった。

 と、種を明かしながらの重要な3着争いは、恐ろしいほどの死闘となった。まずは今節の最古参登録番号にして超人気薄の千草さんが力強く抜け出し、その背後の左右から優美と平山が猛追し、4度に渡る猛烈な3艇の交差旋回の果てに地元の強者・平山がギリギリ3着を取りきった。そして、すでに種を明かしたように、この3着はそのままファイナルの最終切符に直結したわけだ。ラッキーな繰り上がりではあったが、道中5番手から追って追って3着を取ればこその優出。この流れで6号艇に滑り込んだ地元の元女王……軽視できるはずがない。(photos/シギー中尾、text/畠山)