BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川ヤンダビTOPICS 初日

 嗚呼、これもまた「若人の祭典」と呼ぶべきか……?? 多摩川ヤングダービーはいきなりの開幕1Rから④中村泰平、⑤中田達也、⑥豊田健士郎が集団フライング!!!という大波乱が発生した。続く2Rでも吉田裕平が鈴谷一平の艇に乗り上げて転覆(責任外。鈴谷が不良航法でマイナス10点)と、やんちゃな事故レースが続いてしまった。

 ただ、その後は最終レースまで全選手がなんとか無事故完走でゴールイン。今日の成績を大雑把に集計すると、こんな感じでありました。

【イン7勝・2コース3勝・3コース2勝/万舟2発】

 この数字を見ての所感としては、「初っ端からいろいろあった割りに、オーソドックスな立ち上がりかな?」ってな感じ。おそらく節間を通じて「イン6、7勝平均」という数字になると思うのだが、去年の徳山大会のデータを振り返ると、のっぴきならない展開だったことが分かる。

2021・徳山ヤングダービー
☆初日=1号艇7勝・万舟2発(今日と同じ!)
☆2日目=1号艇9勝・万舟0発
☆3日目=1号艇6勝・万舟1発
☆4日目=1号艇4勝!・万舟5発!!
☆5日目=1号艇9勝・万舟0発
☆6日目=1号艇8勝・万舟2発
★トータル=1号艇43勝29敗・万舟10発

 徳山だから総体的にインが強いのは当然として、日によってイン強弱の偏りが半端ない6日間だったのだな。特に、勝負駆け4日目の【イン惨敗&万舟多発!】というデータは自称・穴党にとって眩しい限り。20代の若武者だけの祭典だからこそ、崖っぷちの勝負駆け選手がセンター・アウト筋から大暴れする4日目であって欲しい。単なる偶然かも知れないけれど、そんな大穴の夢が膨らむ数字だと思うのだが、どうか。ちなみに、徳山4日目の万舟フォーカス&配当も列挙しておこう。

2021・徳山4日目の万舟フェスタ
☆2R=⑥③①38310円(1着・中田達也)
☆3R=④⑥①31770円(1着・下寺秀和)
☆7R=④①③21780円(1着・馬場剛)
☆10R=②③④12240円(1着・松井洪弥)
☆12R=②⑤③43290円(1着・中田達也)

 おっと、中田達也がピンピン2連勝で都合8万円オーバーの立役者に!! 今節の達也はいきなり勇み足でV戦線から消え去ったけど、後半9Rの道中ハッスルプレイには驚かされた。逆にフライング後だからこそ、今年もまた4日目あたりにでっかい大仕事をやらかすかも??
 さてさて、独断のパワー評価は明日以降に詳しくお伝えするとして、今日の全レースを観てちょいと気になった選手を並べておこう。

★井上一輝=F2ながら4Rでしっかりガッチリ逃げきり、後半8Rも2コースから怯むことなく踏み込んでイン栗城匠に多大なプレッシャーを与えていた。この2戦を見るだにまったく降りている気配なし。F2でオッズが跳ねるようなら、常に舟券に絡めたいレースっぷりだった。

★栗城匠=その井上からプレッシャーを受けながら、1マークを回ったら一瞬にして後続艇を5艇身ほどブッチギリ! 天性のターンスピードに拠る部分も大きいが、あの出口からの押し足は今後も警戒しておきたい。

★大山千広=好枠での2・1着だし、後半11R(女子戦)は⑤渡邉優美にあわや追い抜かれようなシーンもあってパワー評価は微妙だが、いつもより妙に高いテンションを感じるのは私だけ? 開会式で宣言した「そろそろ116期の存在感を!」という強い思いがそのまま水面に反映していて、このモチベーションがV戦線の頂点まで到達しても不思議じゃない気がしたのだが……それにしても、なんで今節はこんなに同期愛が強いのかしらん??

★末永和也=9R、イン中村魁生を2コースからブッ差したターンは圧巻の一語! ここ1年ほど天賦の才がグングン開花している末永クンだけに、あの差し抜けがパワーなのかターンスピードなのか、まったく判別できなかったぞ。2マークの他を突き放す豪快なターンも惚れ惚れするもので、佐賀のエースのDNAがまんま受け継がれた1周だった。

☆緊急企画/今日の翔吾22号☆
『晴れのち雨』
 3R6号艇2着・9R5号艇6着

 昨日、「前検で近江翔吾22号機だけが抜けて良く見えた、独壇場!!」などと言い放った手前、この人機の動向をストーカーチックに追っかけてみたい(優勝の可能性がある限り、取り上げ続けま~す)。
 1993年2月18日生まれの近江は、16歳でやまと学校に入学。107期ではもっとも若く(2番目に若い松尾夏海より、さらに1歳4カ月ほど年下!)、やまとリーグ勝率は4・33と水準よりかなり下だった。17歳と9カ月でデビューするも、なかなか勝ちきれずに9カ月後の76走目で嬉しい水神祭。この1着あたりから勝率が年に1点レベルで上昇してデビュー4年目にはA級レーサーの仲間入りを果たした。(翔吾物語は明日につづくw)

 さて、今日の翔吾22号は「晴れのち雨」という評価でいいだろう。前半3Rは6号艇から“ベテラン”らしく前付けの意思を見せるも、徹底ブロックを受けて6コース勝負。1マークも展開がなく大敗必至の見え方だったが、凄まじい追撃パワーで先行艇を追い抜きあれよあれよの2着でゴール! 【6号艇で2着】はゴルフスコアで『4アンダー』だからして、極上のロケットスタートと言ってもいいだろう。私はアタマ決め撃ちだったけどぉぉ(涙)。まあ、それにしてもの22号パワー。ミラクルな追い上げを目の当たりにした私は、「後半の5号艇も勝って、マジでV候補の筆頭になっちまうな」などと確信したのだが……。

 現実はそれほど甘くなかった。後半9Rは5号艇5コースから伸びなり握ったが、4コースの澤田尚也も同時に握り込んでバッドタイミング。やむなく減速して差しに構えたが、もはや完全に立ち遅れて最後方を余儀なくされた。さらに2マークでも眼前の黒野元基がキャビッたために危険回避で大減速。もはや追撃不能の差となり、そのままズルズルと6着に敗れ去った。そんなこんなで最大の敗因は「展開がなかった」だと思うのだが、前検や前半3Rに比べてスリット近辺のパンチ力がやや見劣ったのはちょいと気になるところ。明日の【7R2号艇】はバッチリ合わせきって、貴重な10点をもぎ取ってもらいたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)