BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――爽やかな若者たち

 台風が接近してきているというのがなんとも悩ましいわけだが、今朝はまさに秋晴れ。風も涼やかで、ピットも非常に爽やかな空気に包まれている。こういう日だから、というわけではないけれども、若者たちの爽やかな振る舞いが実に清々しい。井上忠政は、朝会えばいつでも、丁寧に気持ちよく挨拶をしてくれる。かなり離れた場所からでも、こちらに気づくと声をあげておはようございます! まったくもって気持ちのいい若者なのである。今朝も、15mほど離れていたのに、そしてこちらはよそ見していたのに、おはようございます! もちろん僕だけでなく、その場にいたカメラマンさんたちにも頭を下げていた。

 1R、まくったものの差されて2着の小池修平も好青年だ。朝に顔を合わせて挨拶を交わすときなどは、ニコッと微笑みを浮かべる。レースぶりは豪快なまくり屋タイプだが、その笑みを見ると和むんだよなあ。ただし、今日のレース後はさすがにそういうわけにはいかない。展開を作っての2着、というのは我々としては評価したくなるものなのだが、敗れた本人はただただ悔しいだけだろう。そんな勝負師っぷりにもまた好感。後半は6号艇だが、鬱憤晴らすレースにしたいところだ。

 1Rで小池を差したのは横田貴満。GⅠ初1着おめでとう! レース後はさすがにスッキリした表情を見せていて、先輩たちからの祝福に目元を緩めて応えていた。控室への途上で、カメラマンたちがレンズを向けると、やはりニコリと笑いながら頭を下げる。横田とは今節が初対面で、なかなかいかつい顔つきだというのが第一印象なのだが、昨日一昨日の朝などは彼のほうから挨拶をしてきて、これまた好青年なのだ。というか、イケメンですよね。水神祭、楽しみにしているぞ。

 前田篤哉は、いつも人懐こく笑いながら、こちらに接してくれる。ヤングダービーで会うのはもう4回目で、そのピットでは何度も言葉を交わしてきた。今節は、2日目まで5着5着6着。残り3連勝でも得点率6・00には届かない計算で、昨日のレース後は意気消沈していたものだ。それでも「明日は1号艇が欲しい。逃げ切れれば、ボーダー次第では4日目に乗っていけるかも」と話しており、今日は望み通りの2R1号艇だった。逃げ切った前田は、こちらの姿に気づくと大きく息を吐いて、安堵の思いをあらわにして、そしてニッコリ。これで流れを変えていけるだろう。諦めずに頑張れ!

 その2R後、吉田裕平のエンジン吊りを終えた野中一平がニコニコと笑いながら会釈をしてきた。この男も、実に朗らかな好青年で、レース直前となれば別だが、普段はいつも笑顔を向けてくれる。水神祭で見せる茶目っ気もむべなるかなの陽気なキャラなのだ。今日は11R1号艇。ここを勝てばかなり視界が明るくなるだけに、気合の入る一戦。そのレース前にはきっと、対照的に厳しい顔を見せてくれるだろう。それを見るのもまた楽しみだ。あっ、今日はさすがに水神祭不参加かもな……。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)