BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トーナメント前半のピットから

●4R

 トーナメントはいきなり6号艇の勝利! 3コースを奪った田村隆信が、椎名豊がまくった展開をズバリと差し抜けた。これは3コース選択が大正解! 格上選手が進入から貫禄を見せつけた勝利ということになる。
 してやったりの1着に、田村は秋空のような爽快な笑顔。白井英治にからかわれるように祝福されると、さらに目が細くなっていた。一昨年の児島トーナメントでは復活戦に回って、そちらからファイナル6号艇へと駒を進めた。今回は堂々、セミファイナルに勝ち上がり!

 4カドとなりながら椎名、田村に先に攻められる展開になった菅章哉だが、それでも3着でセミファイナル行きを決めた。忸怩たるものはあるだろうが、ピットにあがって西山貴浩が「それでいい」とばかりにうなずくと、そこでは笑顔が生まれている。今年1月の常滑大会ではトーナメントで敗退。その後、悔しい胸の内を吐露していたものだが、その雪辱を果たした格好。セミファイナルこそ、枠番に関係なく力強いまくりを決めたいところだ。

●5R

 信州の星が3コースまくり一閃! 昨日、「アタマ狙っていきます!」と力強く宣言した金児隆太が、有言実行の1着勝ち上がりだ。椎名豊に称えられてふっと目を細めたあとは、比較的淡々としていたが、しかし気分が良さそうなのは明らか! 2着に入った森高一真にからかわれて、照れ臭そうに頭を下げながらも、目尻が下がっていた。いやあ、金児くんの見事な勝利を目の当たりにできて、信州出身のオッサンは嬉しいです! 舟券は買いそびれたのだが……。

 2着の森高は、エンジン吊りの間、「危ねっ…………危ねっ…………危ねっ」と繰り返していた。何回言うねん! 隣に立った西山貴浩が思わず突っ込んだ……ということはなかったが、何べんも何べんも口にするものだから、西山も苦笑いなのであった。だいたい何が危ねっなのかもよくわからなかったが、まあ、なんとかセミファイナル勝ち上がりを決められた、ということだろう。

●6R

 ここも3コースまくり決着! 主役は山一鉄也だ。近況はそこまででもないが、かつては徹底まくり屋だっただけに、その本領を地元で発揮したかたち。もともとの斡旋では登番最上位だったベテランが、豪快な一撃でおおいに魅せた。
「ありがとう! いっちゃん!」
 勝利者インタビューに向かう際、エンジン吊りを手伝ったいっちゃんにお礼。いっちゃんって誰……わっ、掲げた手の先にいたのは日高逸子! いっちゃん! 長年、水面で切磋琢磨した間柄だけに、その親密さがうかがえる。というか、後輩にいっちゃんと呼ばれる日高さんが凄いなあと感動した次第。ワタシは絶対に呼べません……。

 2着の山崎郡は、勝ち上がりを決めたといっても、やっぱり悔しそうに顔を歪めていた。1Rで転覆、中4レースという短い時間で転覆整備を行なわなければならず、底上げの調整をする余裕はなかったか。道中では3番手の赤坂俊輔に差を詰められる場面もあり、やはりパワーダウンしていたと考えるべきか。そうであれば、これは確実に消化不良の一戦。なんとか立て直して、明日のセミファイナルで雪辱したい。

●7R

 トーナメント逃げ切り一番乗りは森永淳! 興津藍の前付けで深い起こしになり、さらに和田兼輔が3カドに引くという厳しい隊形だったが、しっかりと押し切ってみせた。お見事! これはやはり気分がアップする逃げ切りだったようで、ボートリフトでせり上がる間にヘルメットをとった森永の表情は、いかにも満足そうな、いわばドヤ顔だった。ただし、冷や汗ものであったのもたしかで、その後は大袈裟に安どしてみせる様子も。ともかく、渾身の逃げ切りであったのは間違いないようだ。

 最年少の末永和也が大外から差して3着で勝ち上がり。好モーターを活かした部分もあっただろうが、巧みに艇団を割っていく走りからはやはりセンスの良さが垣間見えた。レース後は、エンジン吊りに参加してくれた先輩、対戦相手の先輩に素早く、丁寧にお辞儀をしまくり。戦った中田達也は控室に帰る途上でいったん整備室に立ち寄ったのだが、それを見た末永は走って整備室内まで追いかけ、頭を下げているのだった。礼節のある若者は気持ちいいね!(黒須田)