BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――同期とか登番とか

 整備室で談笑している吉田拡郎と宇野弥生。珍しい組み合わせだなあ……と思った、次の瞬間に気づく。このふたり、同期じゃないか!
 そう、90期の同期生。年齢は4つほど違うが、宇野はなにしろ16歳デビュー。養成所の受験年齢の上限が引き上げられた現在は、同じ期のなかで年齢差が大きいのは珍しいことではなくなったが、20歳未満だった当時はなかなかの大差だった。90期といえば、石野貴之も同期であります。
 この大会には、SG常連以外の女子レーサーも多数参戦している。SGとGⅡの共催という特色ならではで、だからSGでは見かけない同期の絡みも見られるわけである。そしてそれは実に新鮮! 拡郎と宇野が同期だって、一瞬忘れてたもんなあ。

 10Rが終わって、地元の中島孝平がモーター架台の準備を始めた。新兵の役割だから、何も中島がやることはないのだが、地元のピットを知り尽くしているだけあって、ボートリフト周りに架台が足りないと気づいて動いた、というわけだ。それを見た堀之内紀代子が「どこに運べばいいの!?」と声を掛けて手伝い始めた。わーっ、ここも同期だ! ふたりは84期。笠原亮が同期で、中島と笠原はSGのピットではよく声を掛け合ったりしている。中島と堀之内はこれもまた新鮮! 堀之内は今節はチルト3度は諦めたようだが、だったら地元の雄である同期にアドバイスなどもらったらいかがでしょう。

 ちなみに、SGでもよく見かける平山智加と西村拓也、98期の絡みもちょいちょい見ますね。遠藤エミと山田康二、前田将太の102期勢とか。守屋美穂と片岡雅裕の101期コンビとか。1年間、同じ釜の飯を食ってきた間柄だから、男女の枠などそもそもないのかもしれない。ひとつタイトルを争うSGでもアドバイスを送り合うわけだから、目指すタイトルが違う今節などは特につながりも深まる、のかもしれない。あ、そういえば中田竜太&浜田亜理沙夫妻も同期ですね。登番も1番違いだ。あと、これまたそういえば、桐生順平と川野芽唯の100期コンビは今節まだ見かけておりません。もちろん、どこかで絡みはあったんでしょうけど。

 さてさて、今節は整備のことばかり書いているような気がするが、それだけ本体に取り掛かる選手が目立っているということである。今日の終盤の時間帯には菊地孝平がバラした。8Rでまくり差し快勝後に、である。これは少々驚かされたりもした。今節に限らず、パワー劣勢の選手がなんとか本体に喝を入れようとすることが多いのが当然。全編勝負駆けとも言える今節はなおさらであって、だから苦戦気味の選手がパワー一変、リズム一変を狙うものというのが道理のはずなのだが、勝った選手が速攻で本体を割っていたのだから驚こうというもの。菊地は4R、1号艇で6着大敗。今垣光太郎の怒濤のカドまくりを浴びたということもあったわけだが、その時点で8R後は本体、と考えていたのかもしれない。賞金ランク19位という立場だからこそ、勝ち負けという結果を超えた部分で、悔いのない勝負をしたいということなのだろう。

 あとは、中島孝平も本体整備に取り組んでいた。こちらは地元SGだというのに、苦戦真っ只中。今日は2着だったが、1号艇だったことを思えば、不本意な一戦だったことだろう。ここはリズム好転を狙っての乾坤一擲、という整備であろう。それでもなんとか得点率18位タイに踏ん張っており、明日の2走は今年最大の勝負駆けとなる。

 地元といえば、西橋奈未は男女あわせての登番最年少。ひとつ上が114期の羽野直也だから、119期の西橋はぶっちぎりの新兵である。地元ということもあって、ピットではとにかく忙しく飛び回っていて、その合間に調整も行なっているのだから、労働量は文句なしにナンバーワンである。だから、時にモーター架台を運搬するときに手が足りなくなることもあって、だから中島や堀之内も手伝ったりしているわけだが、最も多く手伝っているシーンを見るのは、これがなんと、日高逸子なのである。日高は男女あわせてぶっちぎりの登番最古参。そんなのまったく関係ないわよ! とばかりに率先して架台を運んだりしているのだから、頭が下がる。まあ、日高さんにやらせてしまってと西橋も恐縮しているでしょうが(笑)、そうした姿もグレートマザーはほんっとーーーにっ! 若々しいのであります。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)