BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――朝からアツい

 2Rはなかなかアツい組み合わせとなっていた。賞金ランク15~18位、なんとかこの順位をキープ、もしくは引き上げて安全圏に突入したい4人が揃っていたのだ。1号艇は18位の篠崎元志。ピット離れが微妙と見えたがなんとかインをキープして逃げ切った。まあ、予選の1着で順位が入れ替わるような差ではないが、しかし予選を戦っていくうえで初戦1着は大きい。対戦した他の選手に挨拶をして回る姿は、やはりスッキリと見える。

 アツかったのは3番手争いだ。15位の中島孝平、16位の吉田拡郎、17位の島村隆幸がくんずほぐれつの大接戦となったのだ。こちらも着順によって順位がどうこうということはないのだが、しかしひとつでも上の着順を獲って2走目以降につなげたいのは当然。特に中島は地元SGでもあるだけに、ツケマイの連発には気合もうかがえた。ただし、その気合むなしく中島は5着に競り負ける格好。勝っても負けても淡々としていることが多い中島だけに、落胆の色が濃く見えるレース後というわけではなかったが、もやもやは残っただろう。

 島村が3着を競り勝ち、吉田は僅差の4着。しかし吉田は2マークで先行する羽野直也に接触しており、羽野が最後方まで下がったことから不良航法とジャッジされるのが濃厚と見えた(実際にとられてマイナス10点。痛恨……)。それだけに、やはり表情は冴えないように見える。少なくとも逃げ込みをはかるには、準優には乗っておきたいだけに、減点を覚悟しなければならない状況は、心に暗雲垂れこめるものだろう。

 1RにはGⅡが組まれているが、シリーズオープニングを制したのは地元の西橋奈未。初日の1R1号艇はいわば地元の期待のあらわれだから、緊張感も強かったに違いない。堂々たる航跡での逃走! 三国開催が決まったときから出場を目指していたはずで、しかしF休みなどでヤキモキした時期もありながら、なんとか出場にこぎ着けてのオープニング1着。優勝したとしてもクイーンズクライマックスには届かない位置ではあるが、しかしこの勝利はとてつもなく大きいものに違いない。というのは、レース後の笑顔やハツラツとした動きにあらわれまくっていた。そういえば、先月のダービーでは吉田裕平が1R1号艇で1着、さらには選手宣誓の大役もこなして、最終的には優出を果たしている。まったく同じ境遇の西橋だ。ここで気分が解放されたことはポジティブなほうに転がる可能性はおおいにある。

 ところで、今朝は整備室がなかなかの賑わいだった。SG、GⅡともにドリーム組の本体整備が続出していたのだ。SGでは磯部誠。これまでのピット記事でも何度も書いているが、初日にドリーム組が本体整備を行なうのは珍しいことではない。時間がたっぷりあるので、点検の意味も含めて分解するわけだ。磯部のモーターは評価が高く、しかし前検での手応えは期待したほどじゃなかったようなので、そのあたりの確認も含めての整備だったか。

 GⅡでは守屋美穂、長嶋万記、川野芽唯が本体整備。SGと少し違う可能性があるのは、GⅡ組には2連対率下位のモーターが割り当てられていることだ。つまり、数字のないモーターに喝を入れている可能性もあるわけで、このあたりはドリーム戦で気配を確かめたいところ。

 その整備勢のなかに、白井英治もいた。白井はオープニングセレモニーのあとの試運転でトラブル。水面が静かになったので何かと思えば、白井のボートがレスキューに曳航されていたのである。ボートが正常な状態で曳かれていたので、転覆ではないようだったのだが、落水だとしたら身体が気がかり。で、ピットに行ったら、本体整備をしていたという次第なのだが、整備を終えてこちらに気づいた白井は、バツが悪そうに苦笑いを浮かべて「コケてはないよ」。どうやらエンストしてモーターが水をかぶって、その整備だったようだ。まあ、身体が無事なのは何より、「お恥ずかしい」と笑っていたので一安心、なのだった。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)