BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ゴキゲンな春!

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 気温22℃。すっかり春である。いや、初夏とも言いたくなるほど、暖かい下関。週間予報にも軒並み、最高気温20℃以上の数字が並んでいる。 こうなると、「回転が上がらない」というコメントが増えたりもするわけだが、ドリーム記者会見にあらわれた日高逸子は違った。

「なんか、いい感じがしましたぁ。試運転で負ける人もいないし、スタート特訓もいい感じ。回転が上がってましたね」 弾んだ声でグレートマザーはそう語ったのである。さすがエースモーター! モーターがいまひとつのときには、少し顔を曇らせてピット内を小走りで駆け回る姿を見かけるものだが、今日のところはやや余裕の足取りにも見えた。実にゴキゲンの日高逸子の姿を見ていたら、なんだかこちらまで嬉しくなってきたぞ。

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 ゴキゲンといえば、今村“ミスター”豊も同様であった。ドリーム会見はまさしく独演会。あんまり喋りすぎて、次の順番だった大嶋一也が待ちぼうけを食ってしまったほどである。

「(ペラは何枚試しましたか?)5枚!」

 んなバカな。持ち込めるペラは3枚である。報道陣が大笑いすると、満足そうに「3枚試して、そのうち1枚をもう1回試して、また別ので特訓行ったので、5枚でしょ?」。ゴキゲンじゃなかったら、こんな回りくどい(笑)ギャグは出てきませんよね。

「(コースは?)相手が何をしでかすかわかんない人たちですからねえ。あ・い・て・が!」

 もちろん誰を指しているのかはすぐにピンと来るわけで、報道陣が笑っていると、ミスターはまたまた得意げな顔になるのであった。会見が終わって、去り際、「しゃべり疲れた」と言っていたが、疲れたどころか、実に嬉しそうにハツラツと帰っていくミスター。この人がゴキゲンだと、本当に癒されますね。

 

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 整備室では、西島義則がさっそく本体をバラしている。これは西島のルーティン。前検から徹底的に点検、整備を行ない(おそらく明日も、ドリーム1回乗りなので朝から整備に取り掛かるだろう)、早々にモーターを仕上げようとするのが、西島義則なのである。前検ではギアケース調整をする選手は、それこそほぼ全員と言っていいほど多いのだが、ここまでバラバラにしてしまう選手はそう多くはない。そして、西島はこれでパワーアップをしてしまうのだから、本当に仕事が早いうえにお見事なのだ。ちなみに、ドリーム会見では「たいしたことなかった」と足色について語っているが、「良くはなると思う」と言い切っているあたりに、思わず深くうなずいてしまった次第だ。

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 整備室には、岡孝の顔も見つけた。昨年の名人戦、我々は岡を「セクシー番長」と呼び、そのダンディな様子や優しいお人柄などを何度もお伝えした次第だが、笑顔はとびきり優しくて素敵だし、レース前の厳しい表情は実に凛々しく素敵なのである。で、今日は笑顔! モーターを点検しながら、整備士さんと話しながら、思い切り顔をほころばせて、年輪をも感じさせる深い笑みをこぼしていたのだった。昨年は優出を果たした岡だが、今年は優勝戦敗退のリベンジを果たせるだろうか。

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 西島と岡の様子は、スタート特訓&タイム測定が終わったあとのものだが、まだ特訓と測定が終わる前、水面では多くの選手が試運転で疾走するなか、瀬尾達也が一人、モーターの点検を行なっていた。どうやら、前節で水をもらってしまっていたようで、そのための点検を時間をかけて行なっていた様子。というわけで、本来は4班で特訓&測定の予定だったが、急遽9班(いちばん最後)に変更となって、新兵たちと一緒に特訓&測定を行なっている。前節の優勝機だけに、この点検が奏功すれば、デジタルスタート連発の快速ぶりが見られるのではないだろうか。

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 その9班、2号艇は田上晋六。スタート特訓では、多くの場合、1本目は枠なりに入り、2~3本目は思い思いのコースから練習をするわけだが、田上はなんと1本目から5コース(5艇立てだったので、大外)へ! 起こした位置は、明らかに6コースの場所で、さらに田上はこれを2本目、3本目と続けたのだった。オール大外! はい、そうです、チルト3度に跳ねておりました。前節は浜名湖の新プロペラ制度先行実施に参戦した田上は、優勝戦、チルト3度に跳ねて6コースから一気まくり! 優勝を飾っているのをご存知の方も多いだろう。田上は今節もその再現を見せるつもりのようだ。前検タイムもトップで、今節はアワカツヤのように若々しい6コースまくりを連発してくれるかもしれないぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)